宇宙(そら)の魔王

惑星イシュラ戦域 魔王ＶＳレヴァティーン艦隊② 同時刻地上制圧部隊

　同時刻。惑星イシュラ地上制圧部隊。

「ウオオオオッ!」

　短い金髪をまるで剣山のように逆立たせ、度重なる戦闘で傷だらけになった地上部隊の戦闘服である銀色の鎧に身を包んだジーンが、地上を走り自分に向かい迫りくる戦車に向かって、雄叫びを上げながら、人の身の丈を有に越すほどの光り輝く巨大な光刃、フォトンブレードを降り下ろす。

　ジーンが振り下ろした光の刃は、己に向かってくる戦車を真っ正面から真っ二つに叩っ斬る。

　叩き斬られた戦車は、数舜後には爆発四散し、辺りに爆炎を撒き散らした。

　同時にジーンは、この場にいる仲間に罵声を飛ばす。

「おいっエリスッニーナッ気を抜くなよ！」

「ジーン。誰に言っている？」

　ジーンと同じく銀色の鎧に身を包んでいるエリスと呼ばれたジーンと同い年ほどの二十歳前後の美しいウェーブのかかった長い金髪をした美女が、氷のように何の感情も込められていないような無機質な言葉で返事を返しながら、空を滑空する機械制御された戦闘機の片翼をジーンと同じ光の刃、フォトンブレードで斬り飛ばす。

　エリスに片翼を切り飛ばされた戦闘機は、あっけなく地表に落下して爆炎をあげる。

「そうだ。気を抜いているのはジーン。お前のほうだ」

　エリスとジーン。二人と同じ銀色の鎧に身を包み、型ほどで切りそろえられた金髪をした一六，七歳ぐらいの切れ長の瞳をした美少女と言って差し支えないほどの顔だちをした少女が声をあげながら、ジーンの背後から迫ってきた先兵と呼ばれる機械兵士たち数体を、光の刃で有無を言わさず斬り飛ばす。

「あははっ助かったぜニーナ」

「ったく。これだからお前は詰めが甘いと……」

　ニーナが呆れたようにして、ジーンに小言を返そうとした時だった。

　はっとした感じに、エリスが足元から迫っている何かを鋭敏に感じ取り、とっさに声を張り上げたのは。

「ジーン！　ニーナ！　よけろ！　下だ！」

「なっ！？」

「なんだこりゃあっ！？」

　二人は珍しく声を張り上げたエリスの声に反応して、すんでのところでとっさに体をそらす。

　そのおかげで次の瞬間、地表から吹き上がるように放出された赤色のレーザー光線を何とか交わすことに成功する。

　二人はいきなり地面から放たれたレーザf－光線を目にしながら驚きの声を上げた。

「ひゅ～エリスの声がなかったらやばかったぜ」

　額に浮き出た汗をぬぐいながら、レーザー光線が消えていった方角を見上げながらつぶやくジーン。

「ああ、助かったエリス」

　ニーナもジーンに倣い声をかける。

「気にするな」

　いつもの表情一つ変えない冷静な口調で答えるエリス。

　そんなエリスの肩にジーンが、腕回しながら嬉しそうに言う。

「さすが俺の相棒だぜ」

「世辞はいい。それより二人とも気を抜くな」

　エリスが肩に回されたジーンの手を振りほどきながら、二人に警戒を促す。

「ああ」

「おう。わかってるって」

　三人の地上制圧部隊に回された銀色の鎧に身を包んだヴァルキリーたちは、何が起こっても互いにフォローし、対応できるよう背中合わせになり、どこから攻撃が来ても互いにフォローし、対処できるようそれぞれがフォトンブレードという光刃を油断なく構え、より一層気を引き締めながら周囲を警戒し始めた。