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第二十二話 ブタっぽい俺の異世界スキルとマジックリュック

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 森に向かうための準備を始めた俺は、とりあえずリュックに手をかけた。

 俺がリュックに手をかけたのは、蝙蝠たちが日頃食べているおやつエサが、オークや灰色狼や蝙蝠肉みたく、重ねて担げない物だった場合に備えてだ。

 そのために俺はリュックを手にしたのだが、その瞬間あることを思い出していた。

「そういや穴が開いてたんだった」

 そう蝙蝠エサを入れようと思っていた肝心のリュックに穴が開いていたことを思い出した俺は、手に掴んで持ち上げたリュックをすぐさま放そうとするが、手にしているリュックに開いているはずの穴からは、下に何も物が落ちていないことに気がついた。

「あれ? おかしいな? 物が落ちてない。どういうことだ?」

 不思議に思った俺は、リュックを持ち上げたまま鉈オークによって開けられたはずのリュックの背中側の穴を確認しようと、慎重にリュックをひっくり返した。

「あれ穴がない?」

 どういうことだ? 空いていた穴が塞がってる?

 現実にはあり得ない出来事を目撃したら、ふつうの人は驚くだろうが、俺はすでに何度か驚いたあとだったので、冷静に物事を判断することができた。

 なので、俺は首にかけているサングラス(サンバイザー)をかけると、リュックに視線を落とした。

 マジックリュック。

 見た目に反して、たくさんの物を詰め込める。

 便利な自己修復機能つき。                       

 やっぱりか。このリュックも俺と一緒に異世界に来たせいで、俗に言うマジックアイテムつまり、マジックバッグみたいになっちまったんだ。

 俺は思わず異世界転移、転生ものの便利アイテム、マジックリュックを手に入れることになって、思わず両手の拳を握りしめていた。

 なぜなら、このマジックリュックがあれば、もうオークを放置して灰色狼に横取りされることがなくなるだけではなく、とりすぎた食料を蓄えておけるからだ。

 しかもこのマジックリュックがあれば、これから向かおうとしている蝙蝠たちのおやつエサの場所にある蝙蝠たちのおやつエサがオーク肉や蝙蝠肉などと違って重ねて持ち運べないような小さな果実だったとしても、しこたま詰め込んで、持ち変えることができるからだ。

 マジックリュックの確認を終えた俺は、ついでに異世界に来るときに持っていた様々なものを鑑定してみることにした。

 理由は簡単だ。もしかしたら、俺も知らない便利な技能を持ったマジックアイテムと化しているかもしれないからだ。

 そう思った俺は、まずいつもお世話になっている肩から掛けている二本ある水筒の一本である水筒(カレー用)を鑑定してみることにした。

 水筒(カレー用)

 カレーを生み出すカレー専用の水筒。

 毎日減った分だけカレーが湧いて来る。至高の一品。

「おおぉぉおおっ俺が望んでいる無尽蔵に湧き出るカレーか!?」

 俺は水筒(カレー用)のあまりのチート能力にしびれて、思わず驚きの声を発してししていた。

「これは、まぎれもなく当たりだ!! カレーさえあればどこでだって生きていけるぜっはぁっ!!」

 水筒(カレー用)のあまりにチートな能力を目にして、テンションMAXになり、思わず両手を天に掲げて喜びを爆発させた。

「と、待て待て落ち着け、俺。まだ鑑定するものはたくさんある」

 俺はそうやって腹に手を当てて自分を落ち着かせると、深く深呼吸をして自分を落ち着かせてから水筒(カレー用)を肩にかけなおす。

 それからまず手を伸ばしたのは、敗れたリュックの中に放置しておいたら、匂いに誘われたオークに盗まれかねなかったポテチ袋だ。

 俺は喜びすぎて、顔から外れていたサングラス(サンバイザー)をかけ直すと、ズボンのポケットに無造作に突っ込んでいたポテチ袋を取り出して視線を向ける。

 ポテチの袋

 毎日ポテチがわいてくる♬ 

 ただし袋が修復不可なほど破壊されると、二度とポテチはわいてこない。

「おおおおおおおおおおおっっっ!!! ポテー――――――――――――チッ!!! お前はどこまですごい奴なんだぁあああ―――――――!!!!!」

 俺は思わず大興奮して、両手をわななかせながらポテチ袋たちを天へと掲げた。

「うしっ今度は、これだ!」

 ポテチ袋を慎重に直ったリュックにしまった俺が次に取り出したのは、いつもお世話になっている一本しかない百円ライターだ。

 実はいつガスがなくなるかと思って戦々恐々としていたのだ。

 理由は簡単だ。

 ガスがなければ、火がなければ俺の得意な丸焼き料理も、焼き鳥料理も作れないからだ。

 百円ライター

 無尽蔵に湧き出すガスを有し、なおかつ無限に使える火打石を兼ね備えた至高の一品

「おおっただの百円ライターなのに化けたなっこれが世にいうハイパーチート。レアチートか!?」

 俺は百円ライターを天に掲げてから黙とうをして拝むと、大事そうにズボンリュックのミニポケットにしまった。

「うん。どれも好い性能だ! さすが異世界に流れ着いた俺の愛用品たちだぜ!」

 俺は俺の持っていた者たちの物凄いチートスキルたちを見て、満足げに頷いた。

「っと、こんなことしてる場合じゃなかった。蝙蝠たちが毎日食ってるおやつエサを探しに行くんだった」

 自分の目的を思い出した俺は、直ったリュックを背中に担ぎ、オーク戦で回収した武器たちをリュックに詰めた後鉈を手に立ち上がった。

「よしッ行くか!」

 俺は気合の声を上げると蝙蝠のおやつエサを求めて森へと進んでいった。
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