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幽韻之志

28/ご主人様の懐妊初夜・後編

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 口から抜け出る、それを…
 欲しいから整えましたと頭をひとつ下げて、横になり玲音を迎える。

 出来れば、この先に酷くされない事だけを祈りながら脚を開くとローションのボトルを渡される違和感。これは要らないのでは?迷う俺に押しの一手。
 蟻の門渡りと云われる縫い目の下に向かう指が辿り着く、煩悩の狭き門を目の当たりにして「え?」声に続いて覗き込む。


 男なのに、濡れる。

 
 だから俺を開発したいという男が後を絶たない。
 人体において様々な訓練を受けてきた玲音の事だ、いろんな経験…済…中の具合を確かめるべく指を進めると、首を傾げながら手首を返す。
 やはり扱いは心得ている様だ。

 「濡れてる…」
 「指、くらいしか挿れた事ないから…キツい、かも」
 「締まりがいいというより、これは」
 
 快楽に応じて、内部を保護するような分泌液が中に溜まる。外に流れ出るほど大量ではないものの透明でエッチな匂いがする粘液で満たされた内側の肉はとろっとろになり玲音はため息をついて腰を落とした。

 「Androgynous…」

 えんどらぁ…ネイティブな発音は聞き取りにくい。

 「妊娠の可能性は?」
 「無い。性別は男、ん…でも一応着けて」
 
 そもそも論で避妊を促したが断られ、それを押し当てる。
 ここから先は簡単に入らない。狭くて硬い蕾に先が滑ることから指を抜き差し、交互に押し込む。
 事実上、処女の俺に苦戦する玲音だが体を繋げる為には、何が有効か?知っての通り俺の恋心を操り頭を擦り込む、痛さに悲鳴。

 尻が割れたのかと思うくらい
 ビリッ!いっ…てぇ…変な汗が出てくる。
 性器やケツの穴を串刺しにする拷問を考えた奴すんげぇな!こんなに耐え難い情事を狂乱として掘りまくる雄の勇敢さも讃えたい。

 あ、抜けた。また挿ってく、る…いたただだだぁあああ!!

 「昌、力抜いて」
 「ん……玲音の、おっ…きくて、あ…あっ」
 「男の喘ぎ声は悲しいから聞きたくない」

 動かすなって
 口から、お前のち〇ぽ出てくる!!

 仰向けで両足を大きく開かれた格好で、揺さぶられる度に声が漏れる。
 臓器を押し上げられる違和感に何度か吐き戻しそうになるのを飲み込んで、背中のシーツを擦らせ、自分で口を押えて目を閉じる。

 玲音の顔が見れない
 こんなに側にいて、熱い体温を分かち合っているのに…

 違う事を考えていないと殴りそうだ!
 は…っ、早く終わってくれ。
 俺とは真逆に肌が重なると心臓が激しく飛び跳ねているのが分かる。玲音はテストロン分泌する極上なルックスで、俺を見下ろしていた。


 お フ ェ ロ モ ン 全 開


 見なきゃよかった!
 ああ、好きだ…育ち過ぎの筋肉も、意地が悪い性格も、玲音の全てが好きなのにアレがデカ過ぎてケツが割れる現状を打破できない。
 打ち込まれる感触で分かる。
 裏筋の尿道が盛り上がるほど興奮しているのが…や、やばい。

 「やばい、気持ち良すぎて…イキそう」

 感じてる!!!!!!

 前立腺の辺りを長めに押し上げてから肉壁をなぞって奥に押し進めると、矢印のような先端の角をめくるような感触に、膝を広げて休みながら、また繰り返す。

 「そこ…好きなの?」

 俺の頭を抱きかかえて頷く。

 「本当に初めてなの?」
 「繋がったのは玲音が…は…初めて」
 「はぁ…俺以外とやるなよ?う、わざと…だろ、お前っ」

 急に抱きかかえられ、肩に噛みつきながら息を弾ませる。

 「だめ、あおちゃん起きるよ」

 唇が届きそうな距離のまま玲音の胸に乗り上がり、抜けない様に…ああ、こっちの方がいいな。
 間接照明に照らし出される俺は乱れた前髪を直しながら腰を浮かせて落とす。この繰り返しで痛くない角度を掴んで、未だ血液が集中するそこを強く押し出した後で息を吸い込み腰を浮かせながら2、3回ヒクつかせて息を吐き切る。さっきより少し、好くなってきたけど…まだ頭の中が冷静な自分に支配されてて、感触だけを頼りに押し流せない。
 セックスは乗ったら有利、では無い。
 心を乗せた方が操縦できるアトラクションだ。
 まだ自分の体を上手く扱えないが、男をイカせる手練手管は心得ている。
 それだけが取り柄だ。

 どうせこれだって時間が経ったら忘れる、ただの遊び。

 数ある経験のひとつに過ぎない
 俺も、お前も…
 信じていた未来はどこにも無くて、唇を離して見つめる。
 切なくて声になる感情が玲音の上で激しく弾けて、苦しいのにそれを望む。
 期待や憧れは消えて無くなる
 ふたりの間に、何も残せない悲しみを胸に秘めて先急ぐ。

 「昌…イッた?」
 「わかんない。あ、そこ…擦られると、ひっ…いいっ」
 「こっち見ろよ」

 上体を起こされて、脇から下に指が流れる。

 「み、ないで…だめっ壊れる…やあっ、あ……っ……」
 「初めてなのに奥で感じるんだ?」

 拒むと手首を掴まれて胸に寄せられると同時に尻を支えられ、両足が浮く。

 「ここがイイんだろ、ほら…どうやってお願いするの?」
 「指…いや、もうできない。抜いてぇ…も、漏れる」
 「また勝手にイッて…」
 「イッてな…あっ…」
 「だめ、俺を見て。言えないなら教えてやるよ」

 耳元で卑猥な言葉を囁きながら首筋を這う唇が胸の先端に届くと、腹筋に力が入ってキュン!アソコが締まる感触に、ぞ…っとする。敏感になってる部分がローションをぶちまけたくらい濡れているのが音で分かった。

 この匂い…俺、いつの間に射精してたんだ。

 自分から抜きに出るなんて恥ずかしいのに、鼠径部を下から上に親指で強く押されて垂れさがるそこを手の中で揉まれると…また…これが噂のメスイキってやつか。
 射精の快楽は、放出時が絶頂ではなく射精を促す「間」が気持ちいい。射精が終わりの合図だが、この感覚は徐々に高まる快楽の中で波打つような刺激に襲われ、体感でイッてる最中に刺激されると断続的にイキ続ける。
 射精管理のようなコントロールが全くできない。
 体のどこを触られても気持ち良くて、視線を浴びせられることですら刺激的な戦慄の狭間から逃しはしない、執拗な追の手に許しを乞う俺はなんて哀れな生き物か。


 「中にすよ」


 玲音の一言に危機管理能力を呼び覚ます。
 それだけはやめて!不安を押し潰す、体感の激しさが増して恐怖とイキたがる感情が入り混じって玲音の下で必死に抵抗すると唇が重なり、最後にキスとか…それ、ズルい。
 腹の底に感じる躍動感に加えて、何度も奥まで腰を打ち付ける動きに呻き声を上げて受け入れる俺を見下ろす玲音の首から下がるネックレスに指輪が通されていることに気が付いた。

 「……ん、まだ……射る、動かす…な」
 「勝手になるんだって」
 「は?どういう体して…ん…う、ああ…」

 空っぽになるだけ搾取される玲音は力尽きて…ピクピク…反応が治まるまで吹き出る汗をそのままに俺の上で唸る。筋肉の柔らかな弾力は心地いいが体重の差は30キロ、肺が潰れそうだ。
 一息ついく玲音が抜かないので足を閉じると、腰が跳ねて脚の上に乗る。

 「また締め付けて、俺の精子で孕みたいの?」
 「抜いて…腹ん中が…トイレ行きたい」
 「いいよ?押し出してみろよ」
 「お前なぁ(まだ勃起してる…)」
 「ねぇ…俺とシテ、よかった?」
 「どうかな。初体験がこれじゃこの先、相手が気の毒だ」
 「今度は絶対好きって言わせるから…覚悟しろよ?ご主人様」

 嫌がっても顎に指が添えられ、頭の上から唇が降り注ぐ。
 俺たちの身体を伝うシャワーの雫が床を叩きながら流れていく夜明けに、もう一発。否。
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