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惚れ薬
惚れ薬
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寮生活をしている受け。部屋に戻ると、同室の片思いの先輩がいた。
先輩は部活が忙しいし友人も多くいるのでほとんど部屋にいないのに珍しい。
「お疲れです…」
心の中では
「今日もイケメン!かっこいい!いい匂い!」
とドキドキなのに、悟られては駄目だと顔を逸らしてしまう。
「あのさ」
「は、はい!」
突然声をかけられた。
ニヤけそうになり可愛い系の顔をしかめる。
「お前って俺のこと嫌いだよな」
「えっ?」
違います。めちゃめちゃ好きなんです。しかも恋愛の意味で!
なんて、言えるわけもなく。
「それで…お前と話したくて…まあ座るか」
促されて先輩のベッドに並んで座った。
うわ、ドキドキする。
「これ、飲みながら話そう」
先輩はお茶のペットボトルをくれた。キャップも開けてくれる。
優しい~。
緊張で喉が張り付いていたし、先輩がお茶をくれたのが嬉しくてゴクゴク飲んだ。
「…どうだ」
「どう?」
「俺の事、好きか?」
「へっ、なんでそれを!」
「え、本当に?」
何が本当なんだろう。しかしこれはチャンスだ。話がしたいと言ってくれたし、受けの事を嫌いなわけじゃなさそうだ。
「俺、先輩の事が好きです」
「すごい即効性だ…」
「即効性?」
「い、いや。その…俺も初めて会った時からお前が好きなんだ」
「うそ! 先輩がっ?……あっ…!?」
急に心臓が跳ね、体が熱くなった。目もジンジンする。
「先輩、熱い……」
手に持っていたボトルが落ちて、服を濡らした。目には涙が浮かぶ。
「っつ……」
先輩は受けの濡れた上半身を見て息を詰めた。胸が透けている。
「き、着替えを出す」
そう言って自分の服を出して着替えを手伝ってくれるが、大きな手が肌に触れ、受けはびくっと体を揺らした。
「先輩、なんか体が変ですぅ」
すごく敏感になっている。手が触れるたびに体がぞわぞわしてくる。
「先輩、好きぃ…抱きしめてぇ」
先輩も好きだと言ってくれた。臆することはもう無い。
もっと触れてほしくて体を寄せると、先輩はこらえきれずと言ったように抱きしめてくれた。
頬がこすれ、唇が当たる。
キスしてもらえる...!
期待に胸を高鳴らせ、涙を一粒流して瞼を閉じた。
だが…。
「駄目だ! 惚れ薬で無理やり好きにならせるなんてやっぱり駄目だ」
べりっと体を引き剝がされる。
「え? 惚れ薬?」
「すまん、科学部のやつに貰ったから試してみようと。まさか効くと思わなくて」
「え、いえ、薬は効いてない…いや、効いているのかな??」
心だけじゃなく体も先輩を欲しているから、元々の好きが2倍になっているような気がする。
「そう、薬のせいだ。お前が俺を好きなんてあるわけない、俺達は男同士だし」
「それは違います! 俺は先輩を好きなんですってば!」
「薬の作用でそう思うだけだ。こんなの虚しいだけなのに、俺は情けない男だな。悪かった。俺と同室を嫌がってる様だったから、薬が切れたら余計気持ち悪いだろう。いつか襲ってしまうかもとなるべく部屋に戻らないようにしていたが、これで踏ん切りがついた。部屋を変えるよう寮長に言う」
切な気に言う先輩はやっぱりイケメンだが、そうやって一人で話をまとめてしまうなんてずるい。逃がさないから!
「だから、俺の話を聞いてくださいってば!俺は薬なんかなくても先輩が好きなんです!入寮した時からです。俺も一目惚れです!」
熱っぽくてふうふう言いながら先輩を押し倒した。どうにでもなれ!と唇を奪う。
「ん、んんっ」
初めてだけど想像だけは何度もしてきた。唇を挟んで、何度もちゅるちゅる吸って舌も動かした。先輩も夢中で応えてくれる。
「…まさか…本当に?」
顔が離れてから、しっとりと濡れた唇で先輩が言う。
頷く受け。
そうすると今度は先輩からキスしてきて、反対に押し倒される。
「んっ、先輩、好きっ」
「俺も好きだ、ん、んんっ」
先輩の手が、せっかく着替えた服を脱がそうとする。
ああ、今日両想いになって、今日結ばれるんだ…幸せ…。
「はーい!そこまで!」
「へっ!?」
バタンとドアが開いて、白衣を着た科学部の二人が入ってきた。
ちなみに一人は風紀委員長も兼ねている。
「うーん、ただの体力増強剤が精力増強にも効くとはな」
「うむ。新しく効用を足しておこう」
二人は甘い雰囲気をぶち壊してあーだこーだ言っている。
「は…?体力、増強剤?」
先輩が聞くと
「お前がうじうじしてるから後押ししてやったんだよ。こいつがお前を好きなことは見え見えだったから、きっかけさえあれば上手く行くだろうと嘘ついた。感謝しろ」
「そうだぞ。でも不純交遊は寮では禁止だ。卒業まで我慢しろ。じゃあな」
と言って出て行く二人。
残された受けと先輩はポカンとしていたが顔を見合わせ、改めて告白し合う。
「先輩きっかけを作ってくれてありがとうございます」
「お前が勇気を出してくれたからだ。ありがとう。好きだ…」
「大好きです。先輩…」
自然と唇が重なる。
その後禁止事項を守れるはずもなく、鍵をしっかりと締めて濃厚な時間を過ごす受けと先輩なのである。
*その頃、科学部の風紀委員じゃない方はほくそ笑んでいた。
「あいつら、今頃サルだろうな。実は本当に精力増強剤だったんだよなぁ…俺も相棒に試してみよ。風紀委員長が風紀を乱すところ、最高だろうなぁ」
おしまい
先輩は部活が忙しいし友人も多くいるのでほとんど部屋にいないのに珍しい。
「お疲れです…」
心の中では
「今日もイケメン!かっこいい!いい匂い!」
とドキドキなのに、悟られては駄目だと顔を逸らしてしまう。
「あのさ」
「は、はい!」
突然声をかけられた。
ニヤけそうになり可愛い系の顔をしかめる。
「お前って俺のこと嫌いだよな」
「えっ?」
違います。めちゃめちゃ好きなんです。しかも恋愛の意味で!
なんて、言えるわけもなく。
「それで…お前と話したくて…まあ座るか」
促されて先輩のベッドに並んで座った。
うわ、ドキドキする。
「これ、飲みながら話そう」
先輩はお茶のペットボトルをくれた。キャップも開けてくれる。
優しい~。
緊張で喉が張り付いていたし、先輩がお茶をくれたのが嬉しくてゴクゴク飲んだ。
「…どうだ」
「どう?」
「俺の事、好きか?」
「へっ、なんでそれを!」
「え、本当に?」
何が本当なんだろう。しかしこれはチャンスだ。話がしたいと言ってくれたし、受けの事を嫌いなわけじゃなさそうだ。
「俺、先輩の事が好きです」
「すごい即効性だ…」
「即効性?」
「い、いや。その…俺も初めて会った時からお前が好きなんだ」
「うそ! 先輩がっ?……あっ…!?」
急に心臓が跳ね、体が熱くなった。目もジンジンする。
「先輩、熱い……」
手に持っていたボトルが落ちて、服を濡らした。目には涙が浮かぶ。
「っつ……」
先輩は受けの濡れた上半身を見て息を詰めた。胸が透けている。
「き、着替えを出す」
そう言って自分の服を出して着替えを手伝ってくれるが、大きな手が肌に触れ、受けはびくっと体を揺らした。
「先輩、なんか体が変ですぅ」
すごく敏感になっている。手が触れるたびに体がぞわぞわしてくる。
「先輩、好きぃ…抱きしめてぇ」
先輩も好きだと言ってくれた。臆することはもう無い。
もっと触れてほしくて体を寄せると、先輩はこらえきれずと言ったように抱きしめてくれた。
頬がこすれ、唇が当たる。
キスしてもらえる...!
期待に胸を高鳴らせ、涙を一粒流して瞼を閉じた。
だが…。
「駄目だ! 惚れ薬で無理やり好きにならせるなんてやっぱり駄目だ」
べりっと体を引き剝がされる。
「え? 惚れ薬?」
「すまん、科学部のやつに貰ったから試してみようと。まさか効くと思わなくて」
「え、いえ、薬は効いてない…いや、効いているのかな??」
心だけじゃなく体も先輩を欲しているから、元々の好きが2倍になっているような気がする。
「そう、薬のせいだ。お前が俺を好きなんてあるわけない、俺達は男同士だし」
「それは違います! 俺は先輩を好きなんですってば!」
「薬の作用でそう思うだけだ。こんなの虚しいだけなのに、俺は情けない男だな。悪かった。俺と同室を嫌がってる様だったから、薬が切れたら余計気持ち悪いだろう。いつか襲ってしまうかもとなるべく部屋に戻らないようにしていたが、これで踏ん切りがついた。部屋を変えるよう寮長に言う」
切な気に言う先輩はやっぱりイケメンだが、そうやって一人で話をまとめてしまうなんてずるい。逃がさないから!
「だから、俺の話を聞いてくださいってば!俺は薬なんかなくても先輩が好きなんです!入寮した時からです。俺も一目惚れです!」
熱っぽくてふうふう言いながら先輩を押し倒した。どうにでもなれ!と唇を奪う。
「ん、んんっ」
初めてだけど想像だけは何度もしてきた。唇を挟んで、何度もちゅるちゅる吸って舌も動かした。先輩も夢中で応えてくれる。
「…まさか…本当に?」
顔が離れてから、しっとりと濡れた唇で先輩が言う。
頷く受け。
そうすると今度は先輩からキスしてきて、反対に押し倒される。
「んっ、先輩、好きっ」
「俺も好きだ、ん、んんっ」
先輩の手が、せっかく着替えた服を脱がそうとする。
ああ、今日両想いになって、今日結ばれるんだ…幸せ…。
「はーい!そこまで!」
「へっ!?」
バタンとドアが開いて、白衣を着た科学部の二人が入ってきた。
ちなみに一人は風紀委員長も兼ねている。
「うーん、ただの体力増強剤が精力増強にも効くとはな」
「うむ。新しく効用を足しておこう」
二人は甘い雰囲気をぶち壊してあーだこーだ言っている。
「は…?体力、増強剤?」
先輩が聞くと
「お前がうじうじしてるから後押ししてやったんだよ。こいつがお前を好きなことは見え見えだったから、きっかけさえあれば上手く行くだろうと嘘ついた。感謝しろ」
「そうだぞ。でも不純交遊は寮では禁止だ。卒業まで我慢しろ。じゃあな」
と言って出て行く二人。
残された受けと先輩はポカンとしていたが顔を見合わせ、改めて告白し合う。
「先輩きっかけを作ってくれてありがとうございます」
「お前が勇気を出してくれたからだ。ありがとう。好きだ…」
「大好きです。先輩…」
自然と唇が重なる。
その後禁止事項を守れるはずもなく、鍵をしっかりと締めて濃厚な時間を過ごす受けと先輩なのである。
*その頃、科学部の風紀委員じゃない方はほくそ笑んでいた。
「あいつら、今頃サルだろうな。実は本当に精力増強剤だったんだよなぁ…俺も相棒に試してみよ。風紀委員長が風紀を乱すところ、最高だろうなぁ」
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