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平凡なβの俺が幼馴染のαに恋をしている話

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「ぷっ」
 二人で同時に吹き出す。
「俺たち、同じところでぐるぐる回ってたんだな」
「そうだな。でも、もう終わり。性別なんか関係ない。番とか運命とかに引っ張られたんじゃなく、自分たちの気持ちで惹かれ合った俺たち、最強。……だろ?」
「うん……んっ!?」
 
 痛って!
 言い終わりに唇に噛みつかれて、ファーストキスだったのに、ときめきよりも驚きで胸が跳ねた。

「祐都、お前なぁ」
「もう、我慢しねーからな。覚悟しな」
「覚悟って。ん、んんっ!!」

 祐都の重み全部が体にかかる。荒々しく唇が重なり、最初から口を大きく開かされて、付け根が痛くなるほど舌を吸われる。
 俺を喰いつくしてしまいそうな、激しいキス。
 アルファとかオメガとか関係ないって佑都は言ったけど、こんな時はやっぱり感じる。佑都の圧倒的なアルファ感を。
 体格は変わらないのに全然押し返せない。組み敷かれて、佑都に蹂躙されていく────抗うつもりもないのだけれど。



「あっ、佑都、やだっ」
「やだ、じゃねーだろ。こんなに凝(しこ)らせて、すっげー感じてんじゃん。樹の「やだ」は「イイ」だな」
「違っ、さっきから、乳首ばっか、も……なくなるからやめ、ひっ!」

 舌で巻き取るように吸われ、反対側もねじって引っ張られている。
 胸を触られているのにおかしい。きーん、って電気が走るみたいに、腹の下に熱が集まる。ジーンズが苦しい。

「あー。そっか。乳首ばっかじゃ嫌だよな。こっちもしてやるよ」
 言うなりボタンを開けられ、ジーンズを寛げられた。
「はは、えっろ。すっげぇ濡れてるし」
 乳首からは離れてくれたけど、下着ごと熱の塊を掴まれて。
「やめ、佑都、あ、あぁっ……!」
「……え? 今のでイったのか? 親指でちょっとこすっただけだぞ」
「うっせ……言う、なよ。めちゃくちゃ、情けないじゃん……」
 恥ずかしいのと、でも、快感の余韻にまだ翻弄されていて、俺はびくびくと震えながら眉を寄せた。

「かわい……樹、めちゃくちゃ可愛い……」
「やっ、佑都、もうイったから、イったから触んなぁ」
「無理、樹が可愛すぎて無理。マジで我慢できねぇ」

 可愛いとか。
 嘘だろ? ベータでどこもかしこも平々凡々な俺が可愛い? 

「あ、あ、触んなって言ってんのに、ゆう、は、あぁっ!」
 下着もジーンズも剝ぎ取られた。片足を肩に乗せられて、いったん柔らかくなったそこをぐちぐちと上下される。出したばかりの生ぬるい白濁が淫靡な音を立てて鼓膜に響いてくる。

「いーつき。顔、隠すなよ。可愛い顔、見せて?」
 扱きながら顔を寄せてきて、ぺろっと唇を舐めてくる。

「や……も、許して」
「なに言ってんの? 悪いことしてないだろ。ほら、顔見せてみ」
「嫌だって言ってんの!」
 今すっごいアホ面してる。気持ち良くて、ガラじゃないのに佑都に可愛いと思ってもらえたことが嬉しくて、絶対に変な顔してるから。

 俺は体を捻り、佑都の肩から足を降ろして枕に顔を押し付けた。体がうつ伏せになる。
 これなら顔を見られないで済むだろう。
 ……と思ったのに!
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