48 / 50
ビッグラブ編
魔王様、勇者様 幸せに包まれて R18
しおりを挟む
夜は大宴会で、またもや集会所は大騒ぎ。
なんと言っても勇者様と(元)魔王様の結婚式だ。二人がいれば、たとえこの先新しい魔王が誕生しようとも、愛の力で悪を滅してくれる。そう強く信じられるくらい、二人からは力強いオーラが発せられていた。
深夜まで続いた宴会は集会所で酔い潰れる村人を続出させ、仮眠所のようだ。
ハンナも、ルナトゥスが魔の森に消えた時から断っていた酒に酔って眠ってしまうし、ジェイミーもかわるがわる注がれる祝の酒を断われず、強くはないのに全て飲んでしまった。
「ふにゃー。もうだめりゃ~」
「ジェイミー、大丈夫か? 家に帰るか?」
顔を真っ赤にしたジェイミーは軟体動物のように身体を揺らし、ルナトゥスの肩にもたれかかる。
「うん。もう眠たいよぉ~ルナも眠いらろぉ? 帰りょ……」
言いながら、もう眠っている。
ジェイミーはルナトゥスを背負い、ハンナの元まで行ってハンナの肩を揺らした。
「姉さん、姉さんも帰ろう」
「うぁん? わらしはいいわ~。久しぶりらからもうちょっと飲むーカンパーイ! ジェイミー、ルナ、おめれとー!」
祝ってはくれるが、ハンナの顔も盃も、隣に座っているマダム・ヨーコに向いている。
マダム・ヨーコは苦笑しつつ「ハンナは任せなさい」とルナトゥスを送り出してくれた。
家に着き、ルナトゥスはジェイミーをベッドに下ろす。
ジェイミーはせっかくのベールも王冠もずれて、結婚衣装のトガも着崩れている。
ルナトゥスはそれを順に寛げてやった。そういえば服を脱がして着替えさせてやるのは初めてかもしれない。ルナトゥスも幼い体の頃は手伝ってもらうこともあったが、基本的には自分でやるよう躾けられてきた。
思い返すとふふ、と笑みが溢れる。
育児スキルゼロのくせに、幼児化した魔王を連れ帰り、助けたお人好しな男。
姉のハンナに頼りっぱなしなのに、自分を頼れとばかりに胸を張った調子のいい男。
それでも繋いでくれた手も抱きしめてくれた手も、最初から温かくて。
この温かい「ぽかぽかほわほわ」の正体を知りたくて、この家で暮らすと決めた。
今ならもう、その正体を知っている。
「──愛しているから……」
心の声が漏れ出る。それくらいジェイミーに愛を感じている。温かさも、欲する気持ちも全て、ジェイミーへの愛。
愛なんて知らなかった。けれど確かに感じる。今それは目の前にあり、ルナトゥスを満たしている。
「ジェイミー、愛してる」
酔っ払ってふにゃふにゃ寝言を言っているジェイミーの額に口付けた。
「ん……ルナ?」
気配を感じ、ジェイミーは薄く目を開けた。その先には、真っすぐに自分を見つめる、黒い瞳を揺らしているルナトゥス。
「どうした、ルナ。嫌な夢でも見て起きたか? おいで。抱っこしてあげる」
寝ぼけまなこのジェイミーには、瞳が濡れたルナトゥスが小さなルナに見えて、ベッドに転んだまま大きく手を広げる。
ルナトゥスはふふ、と笑って、抱きしめられるではなく、ジェイミーを抱きしめた。
「うっ、ルナ。おっきくなったな。おもっ、重い!」
「そうだ。もう小さなルナじゃない」
「ふぇぇ? 俺を潰す気だにゃあ?」
言いながらもジェイミーは笑っていて、とても楽しそうだ。
「潰さない。大事にする」
ルナトゥスがジェイミーの両の手首を取り、まずは唇へ、次に顎に、首筋に、喉仏に……順に唇を置いていく。
離れる時には優しい水音を立て、まるで小鳥が啄むように。
「ぁんっ……ルナ、くすぐったいよぉ……」
ジェイミーが身を震わせ、捩る。白い体躯がなめらかな曲線を描き、その姿にさえ欲情するルナトゥスは、手のひらを肩から腹に滑らせた。
「あ、あぁっ……」
手のひらは太ももの間を分け入っていく。ジェイミーはまた身を捩り、太ももをぐっと締めてしまう。
それでもルナトゥスの手はもう、ジェイミーの昂りをしっかりと捉え、狭い隙間の中で上下に動いた。
「ら、らめ、ルナっ……」
「だめじゃない。これはジェイミーが教えてくれたこと。俺はそれをやっているだけだ」
酔ってぼんやりした頭の隅で記憶が蘇る。
以前ルナトゥスに自慰を教えるつもりが、請われてしてやったことがあった。
あの時のルナトゥスの淫らな表情が浮かぶと、ジェイミーの太ももは緩んだ。
ルナトゥスの手の中で、血脈を浮かせて快感に喘ぐ昂りが露呈する。
「や、やら。ルナ。恥ずかしいから見るな。な? また俺がやってやるから、ルナは触らなくていい」
力の入らない体を持ち上げ、ルナトゥスのものに触れようする。が、目に入った雄々しさに息を呑み、動きが止まってしまった。
「なん、なんら、これ。木の幹? 杭? 祈りの塔?)
見たことも聞いたこともない大きさに、ジェイミーは三度瞬きをした。
(前の姿の時も大っきいほうだとは思ったけど、これは……)
思わず生唾をゴクリと飲んでしまうが、今までジェイミーはルナトゥスの父であり兄だったのだ。恐れをなしてどうする。俺が導いてやらねば!
ジェイミーは覚悟を決めた。
なんと言っても勇者様と(元)魔王様の結婚式だ。二人がいれば、たとえこの先新しい魔王が誕生しようとも、愛の力で悪を滅してくれる。そう強く信じられるくらい、二人からは力強いオーラが発せられていた。
深夜まで続いた宴会は集会所で酔い潰れる村人を続出させ、仮眠所のようだ。
ハンナも、ルナトゥスが魔の森に消えた時から断っていた酒に酔って眠ってしまうし、ジェイミーもかわるがわる注がれる祝の酒を断われず、強くはないのに全て飲んでしまった。
「ふにゃー。もうだめりゃ~」
「ジェイミー、大丈夫か? 家に帰るか?」
顔を真っ赤にしたジェイミーは軟体動物のように身体を揺らし、ルナトゥスの肩にもたれかかる。
「うん。もう眠たいよぉ~ルナも眠いらろぉ? 帰りょ……」
言いながら、もう眠っている。
ジェイミーはルナトゥスを背負い、ハンナの元まで行ってハンナの肩を揺らした。
「姉さん、姉さんも帰ろう」
「うぁん? わらしはいいわ~。久しぶりらからもうちょっと飲むーカンパーイ! ジェイミー、ルナ、おめれとー!」
祝ってはくれるが、ハンナの顔も盃も、隣に座っているマダム・ヨーコに向いている。
マダム・ヨーコは苦笑しつつ「ハンナは任せなさい」とルナトゥスを送り出してくれた。
家に着き、ルナトゥスはジェイミーをベッドに下ろす。
ジェイミーはせっかくのベールも王冠もずれて、結婚衣装のトガも着崩れている。
ルナトゥスはそれを順に寛げてやった。そういえば服を脱がして着替えさせてやるのは初めてかもしれない。ルナトゥスも幼い体の頃は手伝ってもらうこともあったが、基本的には自分でやるよう躾けられてきた。
思い返すとふふ、と笑みが溢れる。
育児スキルゼロのくせに、幼児化した魔王を連れ帰り、助けたお人好しな男。
姉のハンナに頼りっぱなしなのに、自分を頼れとばかりに胸を張った調子のいい男。
それでも繋いでくれた手も抱きしめてくれた手も、最初から温かくて。
この温かい「ぽかぽかほわほわ」の正体を知りたくて、この家で暮らすと決めた。
今ならもう、その正体を知っている。
「──愛しているから……」
心の声が漏れ出る。それくらいジェイミーに愛を感じている。温かさも、欲する気持ちも全て、ジェイミーへの愛。
愛なんて知らなかった。けれど確かに感じる。今それは目の前にあり、ルナトゥスを満たしている。
「ジェイミー、愛してる」
酔っ払ってふにゃふにゃ寝言を言っているジェイミーの額に口付けた。
「ん……ルナ?」
気配を感じ、ジェイミーは薄く目を開けた。その先には、真っすぐに自分を見つめる、黒い瞳を揺らしているルナトゥス。
「どうした、ルナ。嫌な夢でも見て起きたか? おいで。抱っこしてあげる」
寝ぼけまなこのジェイミーには、瞳が濡れたルナトゥスが小さなルナに見えて、ベッドに転んだまま大きく手を広げる。
ルナトゥスはふふ、と笑って、抱きしめられるではなく、ジェイミーを抱きしめた。
「うっ、ルナ。おっきくなったな。おもっ、重い!」
「そうだ。もう小さなルナじゃない」
「ふぇぇ? 俺を潰す気だにゃあ?」
言いながらもジェイミーは笑っていて、とても楽しそうだ。
「潰さない。大事にする」
ルナトゥスがジェイミーの両の手首を取り、まずは唇へ、次に顎に、首筋に、喉仏に……順に唇を置いていく。
離れる時には優しい水音を立て、まるで小鳥が啄むように。
「ぁんっ……ルナ、くすぐったいよぉ……」
ジェイミーが身を震わせ、捩る。白い体躯がなめらかな曲線を描き、その姿にさえ欲情するルナトゥスは、手のひらを肩から腹に滑らせた。
「あ、あぁっ……」
手のひらは太ももの間を分け入っていく。ジェイミーはまた身を捩り、太ももをぐっと締めてしまう。
それでもルナトゥスの手はもう、ジェイミーの昂りをしっかりと捉え、狭い隙間の中で上下に動いた。
「ら、らめ、ルナっ……」
「だめじゃない。これはジェイミーが教えてくれたこと。俺はそれをやっているだけだ」
酔ってぼんやりした頭の隅で記憶が蘇る。
以前ルナトゥスに自慰を教えるつもりが、請われてしてやったことがあった。
あの時のルナトゥスの淫らな表情が浮かぶと、ジェイミーの太ももは緩んだ。
ルナトゥスの手の中で、血脈を浮かせて快感に喘ぐ昂りが露呈する。
「や、やら。ルナ。恥ずかしいから見るな。な? また俺がやってやるから、ルナは触らなくていい」
力の入らない体を持ち上げ、ルナトゥスのものに触れようする。が、目に入った雄々しさに息を呑み、動きが止まってしまった。
「なん、なんら、これ。木の幹? 杭? 祈りの塔?)
見たことも聞いたこともない大きさに、ジェイミーは三度瞬きをした。
(前の姿の時も大っきいほうだとは思ったけど、これは……)
思わず生唾をゴクリと飲んでしまうが、今までジェイミーはルナトゥスの父であり兄だったのだ。恐れをなしてどうする。俺が導いてやらねば!
ジェイミーは覚悟を決めた。
23
お気に入りに追加
624
あなたにおすすめの小説
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 独自設定、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
【完結】もふもふ獣人転生
*
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。
ちっちゃなもふもふ獣人と、攻略対象の凛々しい少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。
本編完結しました!
おまけをちょこちょこ更新しています。
第12回BL大賞、奨励賞をいただきました、読んでくださった方、応援してくださった方、投票してくださった方のおかげです、ほんとうにありがとうございました!
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!
棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。
腐男子(攻め)主人公の息子に転生した様なので夢の推しカプをサポートしたいと思います
たむたむみったむ
BL
前世腐男子だった記憶を持つライル(5歳)前世でハマっていた漫画の(攻め)主人公の息子に転生したのをいい事に、自分の推しカプ (攻め)主人公レイナード×悪役令息リュシアンを実現させるべく奔走する毎日。リュシアンの美しさに自分を見失ない(受け)主人公リヒトの優しさに胸を痛めながらもポンコツライルの脳筋レイナード誘導作戦は成功するのだろうか?
そしてライルの知らないところでばかり起こる熱い展開を、いつか目にする事が……できればいいな。
ほのぼのまったり進行です。
他サイトにも投稿しておりますが、こちら改めて書き直した物になります。
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
【完結】乙女ゲーの悪役モブに転生しました〜処刑は嫌なので真面目に生きてたら何故か公爵令息様に溺愛されてます〜
百日紅
BL
目が覚めたら、そこは乙女ゲームの世界でしたーー。
最後は処刑される運命の悪役モブ“サミール”に転生した主人公。
死亡ルートを回避するため学園の隅で日陰者ライフを送っていたのに、何故か攻略キャラの一人“ギルバート”に好意を寄せられる。
※毎日18:30投稿予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる