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大華繚乱

宗光 四 ❁✿✾ ✾✿❁︎

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  宗光を見上げる俺の顎を挟んで固定し、強く唇を押し付ける。噛むように荒々しく、飲み込むように強く。

  息苦しさに顔を振り、一瞬離れた唇の隙間から必死で酸素を取り入れても、宗光はすぐにその隙間を塞いだ。

  ようやく唇を開放すればすかさず喉元に食いつき、赤い痕を残すほどに吸い付く。
  そのあいだも手は肌を滑り、胸の尖りに辿り着くと、女の子にするみたいにわずかな脂質分を集めて揉みしだいた。そうして手に残った乳輪を指で挟み、尖りだけを口に含む。

「ちっさい乳首やな」
  ちゅく、と湿った音と共に、俺の体は強張った。

「胸、感じるんや?」
  言うと満足気に口角を上げ、見せつけるように紅い舌を出し、尖りを転がして舐める。腰にあった手も反対の胸を撫で、爪で一番先を弾いた。

「あっ、んッ。やっ」
  一度収まりかけていた熱が体を巡り、再び中心へと向かう。体が勝手にびくん、と跳ねた。

  宗光はいよいよ楽しそうに笑み、大きな手で俺の双丘の狭間をゆっくりと往復すると、陰嚢を優しく包み撫で、硬くなった根本に登り、揃えた指を裏の縫い目に沿ってそろりそろりと擦り上げた。

「それ、やだっ……」
  そんなふうに一つ一つをじっくりと触れられていると、体中に甘美な波が寄せてくる。
  仕事では、お客がここまで時間をかけて俺に触れることもなければ、俺も客にこんな触れ方をさせたことはない。

  ……客がなんでこんなに大事そうに商品おれを扱うんだよ……。

  「百合ちゃん、感じすぎると泣くんやね。ほんま可愛い……やばい。絶対ハマるな」

  再び唇が重なる。
  さっきまでの荒々しさはもうなく、最初と同じに俺の呼吸を阻まない、リズムを合わせたキス。反して手は逃げ腰の俺を逃すまいと、先走りで濡れた幹に五本の指をしっかりと絡め、スピードを伴って上下しつつもくびれを刺激した。

「……ん、ん……むね、みつ……っ、もう……ッあっ……」

  最後に鈴口を強く圧し割られて、俺は宗光の指を白く濡らした。

  「ええ子や。ちゃんと出せるやんか。仔猫ちゃん」
  「……何が仔猫だよ。この……ライオン」
  布団に沈んだままの俺の額にちゅ、とキスをする宗光の鼻をつまむ。

  「らいおん? 百合ちゃん時々知らん言葉使うね。ま、褒め言葉やんな?」
  ライオンは俺の首筋にじゃれついた。

  と、思ったら。

  白く濡れた手を菊座に回し、ぬるぬるとすり付けた。
  「まだまだ泣かすで?」
   指が一本、入り口を圧する。
  
  「宗光、いいって。これはほんとに俺がやるから!」
  「いい加減しつこいわ。俺がやる、って言ってるやろ。百合ちゃんの体、もう俺のモンやからな」

  指が押し入ってくる。けれど、まだ爪先ほどの挿入だろうに、強い圧迫感に菊座が収縮した。
  しばらく褥仕事から離れていたし「解し」もしていなかったからだろうか。自分が思うよりも随分と入り口がきつくなっている様子だった。

  「きっつ……これ、先に進んでええんか?」
  「うぅ……ごめ、糊、使って」
  「あぁ、そうやな」
  宗光は指を抜いて、俺からさっき取り上げた紙包みを取り、中の粉を口に含む。
  
それを当たり前に手に出すのかと待っていたら、突然に膝裏を持ち上げて俺の臀を引き上げ、そのまま直接菊座に運んだ。

「な、なにやってんだよ。……ぁっ」
  温かさのあるぬめった舌が菊座に張り付き、菊座の皺を広げる指が双丘の挾間にくい込む。

「待って……! ここは……っ」
  ここには触れられたくなくて身を捩って抵抗するのに、逃げた分だけまた、体を引っ張られる。

「やりにくいな。悪い、下向いて」
「宗光、やめ……っ」
  またもや抵抗虚しく、軽々と体勢を変えられ、あっという間に臀を高く持ち上げられた俺の菊座は、獰猛なライオンによって仕留められてしまった。

「や、やだ、だめ、だめっ……!」
   真心菊座吸いは楓にしか許したことがない。これは、心から愛した人にしか許したくないから。

  ……なのに……

  「ん、フッ……ぅ、あ、あぁん……っ」
  しっとりと濡らされていく感覚に、女の子みたいな高い声が勝手に漏れて、腰はひとりでに動く。

  いやだ、されたくない。ここで感じたくない。なのに、体が熱い。頭の天辺まで熱くって、脳みそ、溶けちゃう……!

  「ここ、弱いんやな……可愛いな。もっと啼いて、百合ちゃん。いっぱい声聞かせて」

  「やぁぁ。ん、んん、離して。ン、あっ、あぁッ……」
  舌が入り口を周回し、皮膚と粘膜の際を滑った。時に吸われ、熱い息がかかる。

  時の経過がわからなくなるほどにそれが繰り返され、俺の体が痙攣も同然にひくつき始めた頃、ちゅぷりと指が入った。

  さっきまでの抵抗が嘘みたいに宗光の三本の指を飲み込み、さらに奥へと導こうと腰が動く。
  「もっと奥?」

  くぷぷ、といやらしい音がして指は進んだ。
  「─────っあっ…………」
  背からうなじに向けて電気が走り、に届いたことを俺に知らせた。

  「ここ感じるん? ぐりぐり当たるなぁ」
  「や、あぁァァ」
  宗光の長い指は手加減知らずで中を動き、局部を執拗にこする。
  これ以上続けられると飛びそうになる意識を、頭を振って必死に繋ぎ止めた。
  
  「……百合ちゃん、前触ってないのに……淫らやな……」

  「……あ……?」
  宗光が撫でた太ももの内側に目をやると、白濁が広がっていた。

  嘘……なんで……。

  「入れるな?」

  「ぇ、あっ……!」
  間髪入れずにめり込んでくる熱い衝撃。

  ───熱い……こんな熱さをずっと待たせていたのか。

  「きつ……喰われそ……」

  宗光の呟く声に、鼻から息を吸い込み、吐く時に肩と腹の力を抜いた。
  「わ、中、畝った。ちょ、動かすな」
  「……っ、ん? ……力……抜いたんだけど」
  「はぁ? 今絡みついたで。ギュッって、俺のを抱きしめたやろ?」
  「抱き……? 変な実況すんなよ」

  ……なんで今、言い合いをしているんだろう? ここは例え芝居でも甘ったるい時を過ごす場面じゃないのか?

  「黙ろ……萎えたら勿体ない」
  「萎えるか、アホ。……こっちはすぐに達しそうで必死なんや。玄人やったら察せや」
  「あ……」

  腕を折って布団に付き、臀を高く上げた四つん這いの姿勢から振り返って宗光を見ると、軽快な口調とは真逆に眉を寄せ、額には汗を浮かべながら短く息を吐いていた。

  ──ああ。かわいいな。

  今、無性にこの男を抱きしめてやりたくなった。
  うつ伏せの今は腕を回してやることはできないから、俺の中でしっかり包んでやろう。俺の体温を宗光の熱さと混ぜて、ちょうどいい具合にしてさ。

  「ヤバイ。これホンマにはまる……。百合ちゃんの中、めちゃめちゃ気持ちいい」
  ぐりぐりと腰を回していた動きが前後の揺動だけになり、肌がぱちぱちとぶつかる音が室内に響いた。

  「ん、あっ……んんッ」
  「可愛い、百合ちゃん、可愛い」  
  宗光が耳元で繰り返し、耳の縁に歯を立てる。
 動きがどんどん早くなる。さらには宗光の腰骨の形を臀に感じるほどに、奥深くまで突き刺された。

  「っ……はぁ……っ悪い、もうっ……」
  繋がった部分が大きく膨らみ、ぶるりと震えた茎が下腹の最奥を圧する。

  そして、腹を満たす熱さがじんわりと広がり、宗光が果てたことを中でしっかりと感じた。



✳江戸時代「ライオン」は知られていません。
「獅子」と言う言い方では、狛犬のモデルになった、中国の毛のフサフサした犬がいて、それらは獅子舞にも使われたようです。
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