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XLVIII 飼いならされた猫-II

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「うぅん、やっぱり敬語崩すのは違う気がしますね。僕じゃない気がして落ち着かないです。……まぁ、貴女にはだいぶ効いたみたいですが」

「……う、るさ、い」

 たった一つ口調が変わっただけで、これ程迄に感じてしまうとは思わなかった。羞恥が抑えられず、苛立ちさえ沸き上がるというのに蜜壺の中は彼の性器を締め付けたまま。思考と意志、身体が全てバラバラに動いている気がして、堪らず彼の頬を平手で打った。

「ちょっと、なんで今僕叩かれたんですか」

「あんたが余計な事ばっかするから……!」

「セックスに余計な事も何も無いと思うんですが……、如何に相手を感じさせるか、でしょう」

「う、うるさいな!」

 再び彼に平手を飛ばすが、彼も少なからず私の行動が読めているのか軽々と避けて見せた。
 それだけでなく、素早い動きで私の手首を掴みベッドに拘束する。

「本当に、強がりますね。いい加減、自身がマゾヒストだと認めたらどうですか?」

「はぁ? 私別にマゾじゃないし」

「そうですか? 先程、僕の言葉と乱暴な行動で随分と呆気なく果ててしまっていた様ですが。それも、過去1番に感じていらっしゃった様ですし」

「……!」

 彼が僅かに腰を引き、蜜壺の中から性器を抜く。今日はもう辞めにしようと、そう言ったのは自分自身だというのに、彼の物が離れていく事に妙な寂しさを感じた。
 しかし、そう思ったのも束の間。彼が僅かに腰を動かし、体液が絡んだ性器を強烈な快楽を生むしこりに擦り付けた。

「……ッん」

 思わず漏れ出た声に、口を塞ごうと手を動かすが、腕は彼に拘束されたままで動かす事が出来ない。

「ふ、……ぁ、あっ……」

 何度も何度も擦り付けられ、更には体液が潤滑液になっているのか滑りも良く、舌先で刺激されている時の様な快楽が生まれる。

「僕が今、何を考えているか分かりますか?」

「……へ? い、今……? 分かる訳、無いじゃん」

「そうだと思いました。貴女は僕の心だけは読めないと、昔から仰っていましたからね。知りたいですか?」

「……知って、得するの?」

「どうでしょうか。それは貴女次第ですかね」

 彼の含みを持たせた言葉に、興味が膨らんでいく。しかし、彼の事だ。素直に教えてくれるとは思えない。

「……何をしたら、教えてくれるの」

 そう問うと、彼は満足気に口元を緩めた。

「察しが良いですね。……僕に秘部を見せる様に大きく足を開いて、何をされても抵抗せずに素直に果てる事が出来たら教えてあげましょう」

「なにそれ……! そんな事――」

「出来る筈ですよ、貴女なら」

 私を見つめる、期待を孕んだ視線。眼鏡の奥の瞳は鋭く、獲物を捕らえた捕食者の様だ。
 こんなのおかしいと、自分でも思う。聞かなくたって損はない。しかし、彼の話に興味があるだけでなく、彼に攻め立てられる事に、こうして主導権を握られる事に、性的興奮を覚えていると気付いた。
 彼の言う通り、自身はマゾヒストなのかもしれない。だがそんな事、絶対に認めたくない。
 葛藤が渦巻く中、ゆるゆると足を開いた。
 彼の視線が、開いた足の先である秘部に向けられる。

「良い子ですね」

 彼の指がそっと秘部に這い、ゆっくりと蜜壺の中に押し込まれた。そして体液を掻き出す様に指を動かした後、その指は呆気なくも抜かれる。
 一体何をするつもりなのかと鼓動を高鳴らせながら彼を見つめていると、彼が徐に体液を纏わらせた指を蜜壺の少し上へと滑らせ、指2本でしこりを挟み扱く様に動かし始めた。
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