15 / 30
第1章: 初等部
執事と喧嘩する
しおりを挟む
「お嬢様、そろそろ休んでください。」
「この試験でクラス分けが決まるのよ、下手なことは出来ないわ。」
「お嬢様は十分なほど実力を持っていらっしゃいます、心配など無用です。」
「他の人たちにだって負けていられないわ。」
私が剣の練習をやめる素振りを少しも見せないため、緋堂は大きな溜息をついて言うことをやめた。
現在、初等科3年の秋の終わりである。
今週末に、来年のクラスを決めることを兼ねた剣士科の試合がある。
初等科4年になると更に高度な授業も増えて、試験の結果を元にクラスが分かれる。
AクラスからFクラスまでで1クラスに20人といったところだ。
正直Aクラスから外れるとは思っていないが、そうでなくても上位の中でも上位にいないと私のプライドが許さない。雫や雨香くん、イルマくんたちにだって負けたくないという気持ちが強いのだ。
ただ、ここ数日休みもせず練習に明け暮れているので緋堂が私を心配した。
きっと大丈夫だ、そんな根拠の無い自信を持った私がバカだったのだが、このときの私はそんなことを1ミリも考えはしなかった。
「うう……。」
急激に視界がぐるぐると回り私の身体がゆらりと揺れる。そして、視界は暗転した。
簡単に言えば、疲労による熱である。
そりゃあ、成長しきってもいない小さな体で無理をしたら熱も出るに決まっている。
自分の中で、まだ弱い身体であることを少しだけ忘れていたのだ。もっと自分のことを理解しなければいけないと感じた。
ただ、別に容体も悪くないし、普通の熱で風邪だから。とはいえ、厄介というか……もっとも悪い状況に私は今置かれているのだ。
「緋堂、私が悪かったわ。だから怒らないで頂戴よ。」
緋堂は唇をつんと尖らせて、私の言葉に受け答えをせずに仕事をする。
私の執事だから、そこにはいるものの決して機嫌は良くないし、この部屋の雰囲気も悪い。
「ね? これからはもっと気をつけるわ、だから機嫌を直してよ。」
私がそういうと、緋堂は私のことをキッと睨んだ。
その視線に私はびくりと身体は震わせる。
「お嬢様は、今まで一度も私の忠告を聞き入れてくれたことがありません。それだと言うのに、私だけがお嬢様の言うことを聞き入れるのは割りに合わないと思いませんか?」
とてつもなく怒りの表情。
普通の執事はこんなこと言わないだろう……というか絶対に言わない。しかし、この環境に慣れた綾子にとって不思議には思わなかった。
普通の令嬢だったら、ここでクビは確定……もしかしたらそれ以上かもしれない。
「それは……これからはもっと、緋堂の言うことに耳を傾けるわ。」
「傾けるだけですか? それで聞き入れて貰えないと困りますね。」
確かに緋堂の言っていることも正論なのだが、私だってもっと自由にしたい。
剣術もうまくなりたいから練習をしたいし、綺麗な景色が見たいから木にも登る、町中でも興味を持ったものを見たいと思ってしまう。
「……善処するわ。」
私が少し口を尖らせて言うと「ハアァ。」とまた盛大なため息をつかれてしまった。
「どうしてこう、もっと御令嬢らしく振る舞えないのですか。」
「令嬢らしいって一体何よ。」
「そんなの自分で考えてくださいよ。」
そう吐き捨てられて私の中でイライラが募っていく。
一体なんなのだろうか、私は私じゃいけないのだろうか、どうして他の令嬢と同じでいなければいけないのだろうか。ぐるぐると多くの気持ちが混ざり合って、ぶつかって、わからなくなる。
「これが私よ、何が悪いのよ。」
気づいたらそう呟いていた。
そのあとに、ドスの効いた声で「は?」と一言聞こえる。緋堂が完全にキレていた。
いつもの穏やかな表情は一切なく、般若のような顔。
「いい加減にしろよ。あんた、周りにどんだけ迷惑かけてるか知ってんのかよ。あんたがいちいち何かする度に使用人がすっげぇ心配してんだよ、大事なお嬢様に何かあったらどうしようって。それは単にあんたがお嬢様だからってだけじゃねえよ、あんたのことを本当に大切に思ってるからだろ。それを何にも知らねえで好き勝手しやがって……あ"? 今日だって、どんだけ皆が心配したと思ってんだよ。俺だって散々心配かけてっからあんたのこと言えねえけど、俺なんかよりあんたのがタチが悪くて、迷惑かけてる、自覚しろ。」
いつもとは全く違う口調に表情。すごく怖かった、いつも優しいからより怖かった。
あんた、なんて呼ばれるのも今世では初めてのことだった。
「あー、もうやってらんねぇ。」
持っていたものをぶんっと投げ捨て、着けていたネクタイもガッと外しながらくるりと後ろを向いてネクタイすらも投げ捨てて部屋から出ていく。
こんなにも怒られたのは初めてのことだった、しかも執事に。
まさか執事があんな口調で怒るなんて……私じゃなかったら絶対クビじゃすまないわ。しかしながら、今の私にはそんなことを考えている余裕などなかった。
周りへの迷惑……精神年齢的にはいい大人のくせに、全然そんなこと考えていなかった、バカみたい。
少し考えればわかることだった、木に登るのも落ちたら大変で、迷子になった時だっていつどんな人に狙われるかわからない。今日だってそうだ……こうやって倒れることを心配して緋堂は休憩を提案した。それを私はまるで聞き入れなかった。緋堂だけじゃない、今まで多くの使用人を数え切れないほどに心配させてきたんだ。
どうしてこんな簡単なことわからなかったんだろう。
ただ、今すぐに謝りに行く気力も体力もない私は、しょぼんとしたままベッドで丸くなり目を閉じた。
次の日に目を覚ますと、いつも通り緋堂がいてとても驚いた。
「緋堂!? どうして……いるとは思わなかった。」
緋堂はバツの悪そうな顔をして合った目を逸らした。
「昨日は言いすぎました……申し訳ありません。」
緋堂は未だに気まずそうな顔をしながらも謝罪の言葉を述べた。
それから、ちらりと私の方を見て様子を伺った。
「私の方こそごめんなさい、自分のことばかりで度が過ぎていたわ。みんなにも申し訳ないことをしたと思っているわ、もちろん緋堂にも……本当にごめんなさい。」
私の言葉に緋堂はニコリと笑みを浮かべた。
「良かった、あの後ずっとお嬢様に嫌われてしまったのではないかと心配で。」
「そんなことない、感謝してるの。まあ、執事としては失格ものよね。」
私がふふっと笑って言うと、緋堂も微笑を浮かべて眉を下げる。
「つい、感情に流されてしまいました。あの時ほどお嬢様に仕えていて良かったと思ったことはありません。」
「あら、それはどういうことかしら?」
いつものやりとりが完成した。二人で笑いあう楽しい日々。
「みんなにも謝らなくちゃ、緋堂も付き合ってくれるわよね?」
「勿論ですよ、その前に体調を直してください。」
「わかってるー。」
私はぼふっと布団をかぶって横になった。
後日、緋堂と皆に一言ずつ謝りに行った。みんな何もなくて良かったと言ってくれて、これからはもっと気をつけなければと心に決めたのであった。
でも、剣の鍛錬は少しだけ無茶させて欲しいわ。
「この試験でクラス分けが決まるのよ、下手なことは出来ないわ。」
「お嬢様は十分なほど実力を持っていらっしゃいます、心配など無用です。」
「他の人たちにだって負けていられないわ。」
私が剣の練習をやめる素振りを少しも見せないため、緋堂は大きな溜息をついて言うことをやめた。
現在、初等科3年の秋の終わりである。
今週末に、来年のクラスを決めることを兼ねた剣士科の試合がある。
初等科4年になると更に高度な授業も増えて、試験の結果を元にクラスが分かれる。
AクラスからFクラスまでで1クラスに20人といったところだ。
正直Aクラスから外れるとは思っていないが、そうでなくても上位の中でも上位にいないと私のプライドが許さない。雫や雨香くん、イルマくんたちにだって負けたくないという気持ちが強いのだ。
ただ、ここ数日休みもせず練習に明け暮れているので緋堂が私を心配した。
きっと大丈夫だ、そんな根拠の無い自信を持った私がバカだったのだが、このときの私はそんなことを1ミリも考えはしなかった。
「うう……。」
急激に視界がぐるぐると回り私の身体がゆらりと揺れる。そして、視界は暗転した。
簡単に言えば、疲労による熱である。
そりゃあ、成長しきってもいない小さな体で無理をしたら熱も出るに決まっている。
自分の中で、まだ弱い身体であることを少しだけ忘れていたのだ。もっと自分のことを理解しなければいけないと感じた。
ただ、別に容体も悪くないし、普通の熱で風邪だから。とはいえ、厄介というか……もっとも悪い状況に私は今置かれているのだ。
「緋堂、私が悪かったわ。だから怒らないで頂戴よ。」
緋堂は唇をつんと尖らせて、私の言葉に受け答えをせずに仕事をする。
私の執事だから、そこにはいるものの決して機嫌は良くないし、この部屋の雰囲気も悪い。
「ね? これからはもっと気をつけるわ、だから機嫌を直してよ。」
私がそういうと、緋堂は私のことをキッと睨んだ。
その視線に私はびくりと身体は震わせる。
「お嬢様は、今まで一度も私の忠告を聞き入れてくれたことがありません。それだと言うのに、私だけがお嬢様の言うことを聞き入れるのは割りに合わないと思いませんか?」
とてつもなく怒りの表情。
普通の執事はこんなこと言わないだろう……というか絶対に言わない。しかし、この環境に慣れた綾子にとって不思議には思わなかった。
普通の令嬢だったら、ここでクビは確定……もしかしたらそれ以上かもしれない。
「それは……これからはもっと、緋堂の言うことに耳を傾けるわ。」
「傾けるだけですか? それで聞き入れて貰えないと困りますね。」
確かに緋堂の言っていることも正論なのだが、私だってもっと自由にしたい。
剣術もうまくなりたいから練習をしたいし、綺麗な景色が見たいから木にも登る、町中でも興味を持ったものを見たいと思ってしまう。
「……善処するわ。」
私が少し口を尖らせて言うと「ハアァ。」とまた盛大なため息をつかれてしまった。
「どうしてこう、もっと御令嬢らしく振る舞えないのですか。」
「令嬢らしいって一体何よ。」
「そんなの自分で考えてくださいよ。」
そう吐き捨てられて私の中でイライラが募っていく。
一体なんなのだろうか、私は私じゃいけないのだろうか、どうして他の令嬢と同じでいなければいけないのだろうか。ぐるぐると多くの気持ちが混ざり合って、ぶつかって、わからなくなる。
「これが私よ、何が悪いのよ。」
気づいたらそう呟いていた。
そのあとに、ドスの効いた声で「は?」と一言聞こえる。緋堂が完全にキレていた。
いつもの穏やかな表情は一切なく、般若のような顔。
「いい加減にしろよ。あんた、周りにどんだけ迷惑かけてるか知ってんのかよ。あんたがいちいち何かする度に使用人がすっげぇ心配してんだよ、大事なお嬢様に何かあったらどうしようって。それは単にあんたがお嬢様だからってだけじゃねえよ、あんたのことを本当に大切に思ってるからだろ。それを何にも知らねえで好き勝手しやがって……あ"? 今日だって、どんだけ皆が心配したと思ってんだよ。俺だって散々心配かけてっからあんたのこと言えねえけど、俺なんかよりあんたのがタチが悪くて、迷惑かけてる、自覚しろ。」
いつもとは全く違う口調に表情。すごく怖かった、いつも優しいからより怖かった。
あんた、なんて呼ばれるのも今世では初めてのことだった。
「あー、もうやってらんねぇ。」
持っていたものをぶんっと投げ捨て、着けていたネクタイもガッと外しながらくるりと後ろを向いてネクタイすらも投げ捨てて部屋から出ていく。
こんなにも怒られたのは初めてのことだった、しかも執事に。
まさか執事があんな口調で怒るなんて……私じゃなかったら絶対クビじゃすまないわ。しかしながら、今の私にはそんなことを考えている余裕などなかった。
周りへの迷惑……精神年齢的にはいい大人のくせに、全然そんなこと考えていなかった、バカみたい。
少し考えればわかることだった、木に登るのも落ちたら大変で、迷子になった時だっていつどんな人に狙われるかわからない。今日だってそうだ……こうやって倒れることを心配して緋堂は休憩を提案した。それを私はまるで聞き入れなかった。緋堂だけじゃない、今まで多くの使用人を数え切れないほどに心配させてきたんだ。
どうしてこんな簡単なことわからなかったんだろう。
ただ、今すぐに謝りに行く気力も体力もない私は、しょぼんとしたままベッドで丸くなり目を閉じた。
次の日に目を覚ますと、いつも通り緋堂がいてとても驚いた。
「緋堂!? どうして……いるとは思わなかった。」
緋堂はバツの悪そうな顔をして合った目を逸らした。
「昨日は言いすぎました……申し訳ありません。」
緋堂は未だに気まずそうな顔をしながらも謝罪の言葉を述べた。
それから、ちらりと私の方を見て様子を伺った。
「私の方こそごめんなさい、自分のことばかりで度が過ぎていたわ。みんなにも申し訳ないことをしたと思っているわ、もちろん緋堂にも……本当にごめんなさい。」
私の言葉に緋堂はニコリと笑みを浮かべた。
「良かった、あの後ずっとお嬢様に嫌われてしまったのではないかと心配で。」
「そんなことない、感謝してるの。まあ、執事としては失格ものよね。」
私がふふっと笑って言うと、緋堂も微笑を浮かべて眉を下げる。
「つい、感情に流されてしまいました。あの時ほどお嬢様に仕えていて良かったと思ったことはありません。」
「あら、それはどういうことかしら?」
いつものやりとりが完成した。二人で笑いあう楽しい日々。
「みんなにも謝らなくちゃ、緋堂も付き合ってくれるわよね?」
「勿論ですよ、その前に体調を直してください。」
「わかってるー。」
私はぼふっと布団をかぶって横になった。
後日、緋堂と皆に一言ずつ謝りに行った。みんな何もなくて良かったと言ってくれて、これからはもっと気をつけなければと心に決めたのであった。
でも、剣の鍛錬は少しだけ無茶させて欲しいわ。
2
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。
楽しんで頂けると幸いです。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
光の王太子殿下は愛したい
葵川真衣
恋愛
王太子アドレーには、婚約者がいる。公爵令嬢のクリスティンだ。
わがままな婚約者に、アドレーは元々関心をもっていなかった。
だが、彼女はあるときを境に変わる。
アドレーはそんなクリスティンに惹かれていくのだった。しかし彼女は変わりはじめたときから、よそよそしい。
どうやら、他の少女にアドレーが惹かれると思い込んでいるようである。
目移りなどしないのに。
果たしてアドレーは、乙女ゲームの悪役令嬢に転生している婚約者を、振り向かせることができるのか……!?
ラブラブを望む王太子と、未来を恐れる悪役令嬢の攻防のラブ(?)コメディ。
☆完結しました。ありがとうございました。番外編等、不定期更新です。
闇黒の悪役令嬢は溺愛される
葵川真衣
恋愛
公爵令嬢リアは十歳のときに、転生していることを知る。
今は二度目の人生だ。
十六歳の舞踏会、皇太子ジークハルトから、婚約破棄を突き付けられる。
記憶を得たリアは前世同様、世界を旅する決意をする。
前世の仲間と、冒険の日々を送ろう!
婚約破棄された後、すぐ帝都を出られるように、リアは旅の支度をし、舞踏会に向かった。
だが、その夜、前世と異なる出来事が起きて──!?
悪役令嬢、溺愛物語。
☆本編完結しました。ありがとうございました。番外編等、不定期更新です。
【完結】悪役令嬢は婚約者を差し上げたい
三谷朱花
恋愛
アリス・デッセ侯爵令嬢と婚約者であるハース・マーヴィン侯爵令息の出会いは最悪だった。
そして、学園の食堂で、アリスは、「ハース様を解放して欲しい」というメルル・アーディン侯爵令嬢の言葉に、頷こうとした。
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~
白金ひよこ
恋愛
熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!
しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!
物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる