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22.王妃教育
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王宮に来た次の日から、休む間もなく王妃教育が始まりました。
「ライラ様! また間違えておりますよ!」
只今外国語の勉強中です。
…正直心がめげそうです。
破壊の妖精を何とかするまでは頑張ろうと意気込んだばかりなのに情けない。
前世でも特別勉強ができたわけではなかったけど、それは今も同じみたい。
しかも十何年もペンなんて握ってなかったからもう何が何だかさっぱりわからない。
先生たちは厳しいし怖いし、アルフィに甘やかされてきた私にはちょっとキツイ…。
王妃になるのってこんなに大変なのか…。
そりゃそうだよね、一国を背負って立つ国王の奥さんなんだもん。
そう簡単になれるわけじゃない。
そしてこれが一番肝心なんだけど、私は王妃なんかこれっぽっちもなりたくない。
つまり全くやる気が出ない。
「ライラ様! 集中してください!」
うう、でも先生は怖いよ~~。
渋々ペンを走らせていると、扉からちょこんと小さい影が見えた。
「あら、あなたが噂の。お兄様の婚約者ね」
太陽みたいに輝く金髪にルビーのような赤い瞳。
アルフィをちっちゃくして女装させたような風貌の女の子が、こちらをキッと睨んでいる。
か、か、か、可愛い~~~!!
アルフィの妹かな? めちゃくちゃ可愛いんだけど!!
「あなたみたいな平民が、お兄様と結婚できると思わないで!」
なんか王妃様みたいな厳しいこと言われてる気がするけど、全然気にならない。
私は気付いたらペンを放り投げてアルフィ2号を抱きしめていた。
「ラ、ライラ様!?」
「ちょっと、なに勝手に触っているの! 不敬よ!」
あ、しまった。
アルフィと同じ外見だからつい気が緩んでしまった。
この国の王女様だもんね。
私なんかが許可なく触っていい存在じゃない。
さわさわと彼女の頭を撫でていた手を慌てて離し、90度に腰を折った。
「申し訳ございません、王女様。大変失礼いたしました。もしよろしければ、お名前を伺ってもよろしいでしょうか」
私より20cmほど身長が低いので目線を合わせて話しかける。
すると王女様は一瞬だけ、寂しそうな、物足りなそうな顔を見せた。
あれ…? もしかしてもっと頭撫でてほしかったのかな?
「し、仕方ないわね。特別に教えてあげる。エメルロット・ドルチエ・デロイストよ」
ふん、と偉そうに自分の名前を教えてくれたエメルロット…エメちゃんでいっか。
ダメだ、やっぱりめちゃくちゃ可愛い。
「エメルロット様、よろしくお願いいたします。わたくしはライラと申します。…失礼とは存じますが、もう一度頭を撫でてもよろしいでしょうか。その…エメルロット様があまりにも可愛らしいもので…」
「ライラ様!」
不敬と知りながらも目の前のふわふわな綿菓子みたいな金髪を前に欲望を抑えきれず懇願してみると、すかさず先生が咎めるような声を出した。
ちぇ~、はいはい、諦めて大人しく勉強しますよ。
残念だなぁ…こんなに気持ち良さそうなのに…もう一度触れたらもっと勉強集中できるのに…。
そうしょんぼりしていると、ドレスを掴んで顔を真っ赤にしているエメちゃんがぷるぷると震えながら口を開いた。
「ど、どうしてもと言うのなら、さ、触らせてあげてもよろしくってよ?」
「本当ですか!? ありがとうございます!」
やったー! ご本人の許可が下りた!
それでは遠慮なく…ということでふわっふわでさらっさらなウェーブがかった金色の髪を撫でる。
わ~最高の気分~。
エメちゃんは恥ずかしそうに下を向いているけど、しゃがんでいる私にはわかる。
少しだけ嬉しそうにはにかむエメちゃんが。
うん、凄まじい破壊力だ。可愛いは正義。
私、エメちゃんと仲良くなりたいな。
「ライラ様! また間違えておりますよ!」
只今外国語の勉強中です。
…正直心がめげそうです。
破壊の妖精を何とかするまでは頑張ろうと意気込んだばかりなのに情けない。
前世でも特別勉強ができたわけではなかったけど、それは今も同じみたい。
しかも十何年もペンなんて握ってなかったからもう何が何だかさっぱりわからない。
先生たちは厳しいし怖いし、アルフィに甘やかされてきた私にはちょっとキツイ…。
王妃になるのってこんなに大変なのか…。
そりゃそうだよね、一国を背負って立つ国王の奥さんなんだもん。
そう簡単になれるわけじゃない。
そしてこれが一番肝心なんだけど、私は王妃なんかこれっぽっちもなりたくない。
つまり全くやる気が出ない。
「ライラ様! 集中してください!」
うう、でも先生は怖いよ~~。
渋々ペンを走らせていると、扉からちょこんと小さい影が見えた。
「あら、あなたが噂の。お兄様の婚約者ね」
太陽みたいに輝く金髪にルビーのような赤い瞳。
アルフィをちっちゃくして女装させたような風貌の女の子が、こちらをキッと睨んでいる。
か、か、か、可愛い~~~!!
アルフィの妹かな? めちゃくちゃ可愛いんだけど!!
「あなたみたいな平民が、お兄様と結婚できると思わないで!」
なんか王妃様みたいな厳しいこと言われてる気がするけど、全然気にならない。
私は気付いたらペンを放り投げてアルフィ2号を抱きしめていた。
「ラ、ライラ様!?」
「ちょっと、なに勝手に触っているの! 不敬よ!」
あ、しまった。
アルフィと同じ外見だからつい気が緩んでしまった。
この国の王女様だもんね。
私なんかが許可なく触っていい存在じゃない。
さわさわと彼女の頭を撫でていた手を慌てて離し、90度に腰を折った。
「申し訳ございません、王女様。大変失礼いたしました。もしよろしければ、お名前を伺ってもよろしいでしょうか」
私より20cmほど身長が低いので目線を合わせて話しかける。
すると王女様は一瞬だけ、寂しそうな、物足りなそうな顔を見せた。
あれ…? もしかしてもっと頭撫でてほしかったのかな?
「し、仕方ないわね。特別に教えてあげる。エメルロット・ドルチエ・デロイストよ」
ふん、と偉そうに自分の名前を教えてくれたエメルロット…エメちゃんでいっか。
ダメだ、やっぱりめちゃくちゃ可愛い。
「エメルロット様、よろしくお願いいたします。わたくしはライラと申します。…失礼とは存じますが、もう一度頭を撫でてもよろしいでしょうか。その…エメルロット様があまりにも可愛らしいもので…」
「ライラ様!」
不敬と知りながらも目の前のふわふわな綿菓子みたいな金髪を前に欲望を抑えきれず懇願してみると、すかさず先生が咎めるような声を出した。
ちぇ~、はいはい、諦めて大人しく勉強しますよ。
残念だなぁ…こんなに気持ち良さそうなのに…もう一度触れたらもっと勉強集中できるのに…。
そうしょんぼりしていると、ドレスを掴んで顔を真っ赤にしているエメちゃんがぷるぷると震えながら口を開いた。
「ど、どうしてもと言うのなら、さ、触らせてあげてもよろしくってよ?」
「本当ですか!? ありがとうございます!」
やったー! ご本人の許可が下りた!
それでは遠慮なく…ということでふわっふわでさらっさらなウェーブがかった金色の髪を撫でる。
わ~最高の気分~。
エメちゃんは恥ずかしそうに下を向いているけど、しゃがんでいる私にはわかる。
少しだけ嬉しそうにはにかむエメちゃんが。
うん、凄まじい破壊力だ。可愛いは正義。
私、エメちゃんと仲良くなりたいな。
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