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18.妖精会議

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そういえば、昨日もそのようなことを言われた気がする。

「一体何に近付いちゃダメなの?」
『だから、あの金髪の子よ!』
「アルフィのこと?」

初めてアルフィと会った時も何故か怖がっていた妖精たちを思い出す。
なんでそんなにアルフィを気にしているんだろう?
ちょっと過度なシスコンなだけで見た目は綺麗な王子様なのに。

その疑問はすぐに解決した。

『あの子には破壊の妖精がついてるの!』
「破壊の妖精?」

なんか物騒な名前の妖精だな…。
初めて聞いたけど、どんな子なんだろう。
名前から察するに、アクアやファイア達みたいなのほほんとした感じではなさそうだ。

『そう、破壊の妖精は史上最悪の妖精って言われてて、気に入った魂を見つけると精神支配して破壊衝動を植え付けるの』
「何それ怖」

え、恐ろしすぎる。想像を軽く超えていた。うちの弟、そんなヤバイ妖精に気に入られるような人に転生しちゃったわけ?
いや、この場合は弟の魂が気に入られているわけだから、王子様に転生しなくても結局破壊の妖精に目をつけられてたのかな?
よくわからないけど、そのまま放置していたらヤバそうだ。

『そうだよ怖いよ! 私たちが大好きなライラがそんな危険人物と一緒にいるとかすごい嫌なんだからね!』
『そうだそうだ! 俺がもっと強かったらあんな奴コテンパンにしてやるのに…!』
『うちらじゃ束になっても破壊の妖精には勝てないもんね…本当はライラを守りたいのに…』

いつの間にやらファイアとウィンド達も側に来ていた。
悔しそうな表情をする妖精たち。

「みんな…」

そっか。知らずのうちにこんなに心配してくれていたんだ。
アルフィとの結婚を回避しようと必死で全然気付かなかったよ。

それにしても破壊の妖精ってそんなに強いんだ。
私からしたらみんなの力も相当すごいと思うけど、そんな彼等が束になっても勝てないなんて…。

アルフィ大丈夫かな…。

『ライラ~早く逃げようよぉ』

フローラが懇願するように言ってきた。
他のみんなも同じような顔でこちらを見る。

私だってアルフィとの結婚は避けたい。だけど……

「うーん…そうしたいのは山々なんだけど、アルフィが心配だな…」

そんなヤバイ妖精に付き纏われているアルフィを見捨てて逃げるなんてこと、私にはできそうもない。

よし、このままじゃ寝覚めが悪いし、まずは破壊の妖精をなんとかしよう。
それと同時に、アルフィには私以外に好きな子ができてくれるといいんだけど…。
そうしたら心置きなく婚約破棄できるってもんだ。

まあ、それらについてはおいおい考えよう。

とりあえずは夜ご飯だ! お腹空いたな~!
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