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11.初デート

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そうして私達は日が暮れるまで商店街を楽しんだ。
ド田舎に引っ越してからお母さんの手料理しか食べていなかったから、屋台の食べ物が新鮮だった。
前世では夏祭りとかで屋台巡りしていたけど、もう遥か昔のことに感じる。
さすがに綿あめなど斬新な機械を使った食べ物はなかったけど、日本に引けを取らない食べ物も何個かあった。

今食べてるコレも、お好み焼きみたいで美味しい。マヨネーズがないのがちょっと物足りないけどね。
今度お母さんに作ってもらおうかな~。

「姉さん…じゃなかった。ライラ、口の端にソースついてるよ」
「んー、ありがとう。というか、呼びにくかったら姉さん呼びのままでいいよ?」

さっきからちょいちょい間違えられるんだよね。
そりゃあ前世でずっと姉さん呼びだったから間違えるのも仕方ない。

その点私は間違えて呼ぶ気配全くないけど。
人のこと言えないが、アルフィの見た目と前世の弟が似ても似つかないので自然とアルフィ呼びが定着した。

その理論で行くとアルフィも間違えないはずなんだけど…姉さんの方が呼びやすいのかな?
それなら無理して変える必要ない。
さすがに王子様として声を大にしては言えないだろうけど。私が王様か王妃様の隠し子に思われちゃう。

まあ人に聞かれない程度だったら本人が呼びやすいようにしてあげよう、そう思ったのだけど、アルフィは少し考える素振りをしただけですぐに首を横に振った。

「ううん。もう姉さんは姉さんじゃないんだし。これからは間違えずにライラって呼ぶよ」
「…そう? アルフィがそう言うならそれでいいけど」

なんとなく、アルフィのその発言は、自分に言い聞かせているようにも感じた。
──それから、アルフィが呼び間違うことは二度となかった。
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