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第一章
暴露
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「ああもう……疲れた……」
只今大学構内。今日の授業は全て終わったため後は帰るだけなのだが……いつ何処から倭人が現れるかわかったもんじゃないので迂闊に出歩けない。
とりあえずこの人通りがないトイレに引きこもって外の様子を窺うしか……。
なんとかこれまで、倭人に犯される最悪のパターンは回避中だ。
向こうは『俺がアイツと仲良くなりたい』などと勘違いしているが……まあいい。“話すかヤるか”なんて選択肢だったら“話す”を選ぶしかない。
とは言ってもどんなこと話すんだ……と疑問に思ったのだが、主にアイツの質問攻めだった。『有馬とはどんな関係なんだ』とか『他にお前の正体気付いてる奴いるのか』とか。
誠至とは高校時代からの腐れ縁で、正体知ってるのも誠至だけと答えたら意味ありげな顔で『ふーん……』とか言ってたけど。なんなんだ全く。
―――と、相変わらず意味不明な倭人だが気が抜けないことには変わりない。
どうやら俺が深層心理ではアイツを拒んでいないことがバレているらしく、隙あらばスキンシップを取ってこようとする。
俺も俺で一回アイツと顔を合わせてしまえば結局は流されてしまうことが既にわかっているので、顔を合わすまいとこうやって逃げているのだ。
「よし、もうそろそろ大丈夫かな……」
と、校舎から人の声が聞こえなくなってきたところでトイレから出る。
今日はバイトも休みだし、家帰ったらゴロゴロダラダラして最近酷使しまくってる身体を休めよう。
「千秋」
「ぎゃあああああ!!?」
と、完全に精神が緩み切ってるところで話しかけられたから奇声を上げてしまった。
クソ……油断した。出やがったな疫病神!!
「ちょ、千秋? 大丈夫?」
「……って、なんだ。琳門か」
ああびっくりした。てっきりまた倭人かと思ったよ。アイツほんと神出鬼没なんだもん。
こんだけ逃げ回ってるのにあの遭遇率は最早神の悪戯レベルじゃない。
「千秋最近さ……すぐどっか行っちゃうよね。べ、別に寂しいとかじゃないけどさ」
「!!?」
か、かわ……! 何この可愛い生き物!?
フイと背けてしまった横顔に飛びつきたくなる。というか気付いたら飛びついてた。
そうだ、確かに最近は倭人から逃げるのに夢中で琳門ともあまり話せていなかった。
わかったぞ!! 琳門不足だったからこんなに疲れてるんだな!!
「千秋一応聞くけど……何してんの?」
「琳門の精気を吸い取ってる」
「!? キモいから離れろ!!」
琳門の肩口に顔を埋めハスハスしていたら、突如ドン!! と突き飛ばされ俺は「ぶぼへっ!?」とかなんとかよくわからない呻き声と共に廊下に転がってしまった。
クッ……多少痛かったが……悔いはない。
これで当分はあの性欲大魔神に立ち向かえるだろう。
ああ気持ち良かった。いい匂いだった。あのまま押し倒してしまっても良かったかもしれない。
「全く……真面目な話! 千秋はいっつも何から逃げてんのさ!?」
また思い出してじゅるりと唾液を垂らす俺(外見はちゃんとセクシーイケメン千秋くんのままです)を呆れたように見て、さらにビシッ! と指をさす琳門。
何その指可愛い。咥えていいってこと?
なんて変態お茶目な千秋くんは今はしまっておいた方が良さそうだ。
「そ、それは……倭人が……」
「蘇芳!? なに、なんかされたわけ!?」
「いやっ、その、えっと……」
名前を出すなり途端に詰め寄ってくる琳門に口籠ることしかできない俺。
いや言えるかああああああ!!
『キスされた』→『女ってバレた』に繋がってしまう。そんなこと言ったら即アウト。軽蔑されて終わり。誰よりも琳門にだけはバレたくない……!
「また“秘密”なの……?」
「ッ!! ひひひ秘密なんてそそそそんなっ」
「だっていつになっても言ってくれないじゃん! 僕のこと唯一無二の親友だって言ったくせに……口だけだったんだッ!」
「!!? 琳門!!? そんな、ことは……っ」
ない、と言えば、自らこの重大な秘密をバラさなくてはならなくなる。
うううううわあああああああ。
俺はどうすればいいんだ。どうすれば……!!!
「もう言っちまえばいいじゃん」
「おま、そんな簡単に言うなよ!! ……って倭人!!?」
頭を抱えてウンウン唸っていたら、突如頭上から降り注がれた声。
軽はずみな言葉に『できるもんならやってるわ!!』とついカッとなり顔を上げると、そこには倭人が悠々と佇んでいた。
いやなんでいんだよお前!! もう帰ったはずだろ!?
「やーっぱりここにいたのな。お前このトイレ好きだもんなぁ?」
「!?」
バレてらあ!!
なんで!? なんで俺がよくこのトイレに篭ってること知ってんの!?
隠れてた意味……!
「ほら千秋チャンよぉ、お前が勿体振るせいで琳門チャン泣きそうじゃん」
そう言われ琳門の方に顔を向ければ、俯いて声にならない嗚咽を漏らしてる琳門……って、えええええ!!?
もう既に泣いちゃってんじゃないのこれ!?
「りりりり琳門?? 待って琳門??? ごめん俺が悪かった、俺が悪かったから……っ」
お願い泣き止んでええええ!!!
「隠しごと、しない……?」
「し、しない! ……とは言い切れないけど、あの、その、……」
「……ううっ、」
「ししししない!! もうしませんからぁ!!!」
ひいいいいもうどうすればいいのよコレ!?
やっぱりもう言うしかないの!? このまま泣かれるよりは潔く嫌われろってか!?
神様ほんと意地悪だなオイ!! まあ全部自業自得なんだけどさ!!
「はぁ……ったく見てらんねえな」
アタフタする俺を見て超長い溜め息を吐いたと思ったら、ゆったりとした動きで近付いてくる倭人。
な、何をする気だ何を。と、琳門を気にしつつも警戒していたら……、
「ッ!?」
「ほらよ、こーいうことだ」
なんといきなりキスしてきやがった!! いやなんでやねん!!!
どんな流れでそうなった!!? ひとっ欠片もそんなムードじゃなかったよね!?
「……、」
慌てて琳門を見ると、まさにポカンといった形相でこちらを凝視していた。
あ、良かった泣き止んでる……。って言ってる場合じゃないよね!? これ間違いなく新たな問題発生しちゃったよね!?
「お前ほんと何してくれちゃってんの!?」
「何って……いつもしてることだろ?」
「いつもって……間違ってはないけど……いや全然違う!! 少なくとも今! ここで! するべきではなかったよね!!」
「なんだって? 二人っきりになれるところでもう一回したい?」
「んなことひとっことも言ってないから!!」
あああもう今すぐ壁に頭を打ち付けたい。記憶を抹消したい。
琳門の記憶からも抹消……ってそれはさすがに出来ないか。琳門のベビーフェイスに傷を付けるなんて死んでもできるわけがない。
でも先程から全く動く気配のない琳門はどう扱えばいい??
何?? 今何考えてるの?? 絶賛軽蔑中ですか?? ……そうですかいっぺん死んできます。
「んじゃあそういうわけだから。コイツの正体は女。んで俺とそーいうことする仲。わかったらもう付き纏わないことだな」
俺が絶望している中、倭人の更なる追い打ちが炸裂したわけだけど……もう何も言い返す気力はなかった。
――――そしてもう、俺が琳門の表情を窺うことはなかった。
只今大学構内。今日の授業は全て終わったため後は帰るだけなのだが……いつ何処から倭人が現れるかわかったもんじゃないので迂闊に出歩けない。
とりあえずこの人通りがないトイレに引きこもって外の様子を窺うしか……。
なんとかこれまで、倭人に犯される最悪のパターンは回避中だ。
向こうは『俺がアイツと仲良くなりたい』などと勘違いしているが……まあいい。“話すかヤるか”なんて選択肢だったら“話す”を選ぶしかない。
とは言ってもどんなこと話すんだ……と疑問に思ったのだが、主にアイツの質問攻めだった。『有馬とはどんな関係なんだ』とか『他にお前の正体気付いてる奴いるのか』とか。
誠至とは高校時代からの腐れ縁で、正体知ってるのも誠至だけと答えたら意味ありげな顔で『ふーん……』とか言ってたけど。なんなんだ全く。
―――と、相変わらず意味不明な倭人だが気が抜けないことには変わりない。
どうやら俺が深層心理ではアイツを拒んでいないことがバレているらしく、隙あらばスキンシップを取ってこようとする。
俺も俺で一回アイツと顔を合わせてしまえば結局は流されてしまうことが既にわかっているので、顔を合わすまいとこうやって逃げているのだ。
「よし、もうそろそろ大丈夫かな……」
と、校舎から人の声が聞こえなくなってきたところでトイレから出る。
今日はバイトも休みだし、家帰ったらゴロゴロダラダラして最近酷使しまくってる身体を休めよう。
「千秋」
「ぎゃあああああ!!?」
と、完全に精神が緩み切ってるところで話しかけられたから奇声を上げてしまった。
クソ……油断した。出やがったな疫病神!!
「ちょ、千秋? 大丈夫?」
「……って、なんだ。琳門か」
ああびっくりした。てっきりまた倭人かと思ったよ。アイツほんと神出鬼没なんだもん。
こんだけ逃げ回ってるのにあの遭遇率は最早神の悪戯レベルじゃない。
「千秋最近さ……すぐどっか行っちゃうよね。べ、別に寂しいとかじゃないけどさ」
「!!?」
か、かわ……! 何この可愛い生き物!?
フイと背けてしまった横顔に飛びつきたくなる。というか気付いたら飛びついてた。
そうだ、確かに最近は倭人から逃げるのに夢中で琳門ともあまり話せていなかった。
わかったぞ!! 琳門不足だったからこんなに疲れてるんだな!!
「千秋一応聞くけど……何してんの?」
「琳門の精気を吸い取ってる」
「!? キモいから離れろ!!」
琳門の肩口に顔を埋めハスハスしていたら、突如ドン!! と突き飛ばされ俺は「ぶぼへっ!?」とかなんとかよくわからない呻き声と共に廊下に転がってしまった。
クッ……多少痛かったが……悔いはない。
これで当分はあの性欲大魔神に立ち向かえるだろう。
ああ気持ち良かった。いい匂いだった。あのまま押し倒してしまっても良かったかもしれない。
「全く……真面目な話! 千秋はいっつも何から逃げてんのさ!?」
また思い出してじゅるりと唾液を垂らす俺(外見はちゃんとセクシーイケメン千秋くんのままです)を呆れたように見て、さらにビシッ! と指をさす琳門。
何その指可愛い。咥えていいってこと?
なんて変態お茶目な千秋くんは今はしまっておいた方が良さそうだ。
「そ、それは……倭人が……」
「蘇芳!? なに、なんかされたわけ!?」
「いやっ、その、えっと……」
名前を出すなり途端に詰め寄ってくる琳門に口籠ることしかできない俺。
いや言えるかああああああ!!
『キスされた』→『女ってバレた』に繋がってしまう。そんなこと言ったら即アウト。軽蔑されて終わり。誰よりも琳門にだけはバレたくない……!
「また“秘密”なの……?」
「ッ!! ひひひ秘密なんてそそそそんなっ」
「だっていつになっても言ってくれないじゃん! 僕のこと唯一無二の親友だって言ったくせに……口だけだったんだッ!」
「!!? 琳門!!? そんな、ことは……っ」
ない、と言えば、自らこの重大な秘密をバラさなくてはならなくなる。
うううううわあああああああ。
俺はどうすればいいんだ。どうすれば……!!!
「もう言っちまえばいいじゃん」
「おま、そんな簡単に言うなよ!! ……って倭人!!?」
頭を抱えてウンウン唸っていたら、突如頭上から降り注がれた声。
軽はずみな言葉に『できるもんならやってるわ!!』とついカッとなり顔を上げると、そこには倭人が悠々と佇んでいた。
いやなんでいんだよお前!! もう帰ったはずだろ!?
「やーっぱりここにいたのな。お前このトイレ好きだもんなぁ?」
「!?」
バレてらあ!!
なんで!? なんで俺がよくこのトイレに篭ってること知ってんの!?
隠れてた意味……!
「ほら千秋チャンよぉ、お前が勿体振るせいで琳門チャン泣きそうじゃん」
そう言われ琳門の方に顔を向ければ、俯いて声にならない嗚咽を漏らしてる琳門……って、えええええ!!?
もう既に泣いちゃってんじゃないのこれ!?
「りりりり琳門?? 待って琳門??? ごめん俺が悪かった、俺が悪かったから……っ」
お願い泣き止んでええええ!!!
「隠しごと、しない……?」
「し、しない! ……とは言い切れないけど、あの、その、……」
「……ううっ、」
「ししししない!! もうしませんからぁ!!!」
ひいいいいもうどうすればいいのよコレ!?
やっぱりもう言うしかないの!? このまま泣かれるよりは潔く嫌われろってか!?
神様ほんと意地悪だなオイ!! まあ全部自業自得なんだけどさ!!
「はぁ……ったく見てらんねえな」
アタフタする俺を見て超長い溜め息を吐いたと思ったら、ゆったりとした動きで近付いてくる倭人。
な、何をする気だ何を。と、琳門を気にしつつも警戒していたら……、
「ッ!?」
「ほらよ、こーいうことだ」
なんといきなりキスしてきやがった!! いやなんでやねん!!!
どんな流れでそうなった!!? ひとっ欠片もそんなムードじゃなかったよね!?
「……、」
慌てて琳門を見ると、まさにポカンといった形相でこちらを凝視していた。
あ、良かった泣き止んでる……。って言ってる場合じゃないよね!? これ間違いなく新たな問題発生しちゃったよね!?
「お前ほんと何してくれちゃってんの!?」
「何って……いつもしてることだろ?」
「いつもって……間違ってはないけど……いや全然違う!! 少なくとも今! ここで! するべきではなかったよね!!」
「なんだって? 二人っきりになれるところでもう一回したい?」
「んなことひとっことも言ってないから!!」
あああもう今すぐ壁に頭を打ち付けたい。記憶を抹消したい。
琳門の記憶からも抹消……ってそれはさすがに出来ないか。琳門のベビーフェイスに傷を付けるなんて死んでもできるわけがない。
でも先程から全く動く気配のない琳門はどう扱えばいい??
何?? 今何考えてるの?? 絶賛軽蔑中ですか?? ……そうですかいっぺん死んできます。
「んじゃあそういうわけだから。コイツの正体は女。んで俺とそーいうことする仲。わかったらもう付き纏わないことだな」
俺が絶望している中、倭人の更なる追い打ちが炸裂したわけだけど……もう何も言い返す気力はなかった。
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