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第一章
わんこ系②
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「ちょっ、何あの2人! 他とオーラが違うんですけど!」
「や、やばいほどカッコ良くない!?」
「背高い方も爽やかでいいけど隣にいる人なんて綺麗すぎて……」
「どうする? 声かける?」
「え!? マジ? あんなレベル高いのにいく自信……」
「お、お兄さん達~、良かったら私達とお茶しません!?」
「あ! 先越されちゃったじゃん!!」
な、なんだこの騒がれようは……。
ただ街を歩いているだけなのにいつもの比じゃないんだけど。しかも女の人達みんなおどおどしてるし。
「ごめん、今日はコイツとだけって決めてるんだ。また今度誘って?」
先輩の力、恐るべし……。
「あ、そうなんですか! わかりましたッ」
「そ、それならまた今度……」
「――ねえっもしかして2人ってソッチ系!?」
「じゃない!? 2人だけの空気できてるし……っ美形カップル萌えるわ~」
うん、それから勘違いの数も尋常じゃないね。それもこれも先輩がさっきからベタベタベッタベタするせいだ。
今だって肩を組まれて歩きにくいことこの上ない。まあ手を繋がれないだけマシだけど。
抵抗するとその分一層密着してくるから諦めた。学習することは大切なのだ。
「っていうか、どこ向かってるんですか?」
「んー? 着いてからのお楽しみ~」
はぁ……ほんとに目的地なんてあるのだろうか。それすらも疑わしい。
この先輩の考えてることはイマイチよくわからない。子犬みたいな顔して平気で騙してくるからな。
しかしそんなことは杞憂とばかりに、目的地にはすぐ着いた。
「ここって……」
「楽しそうだろ? 最近ご無沙汰でさ~」
いやっ、あの! ここどう見てもカップル達の巣窟、ラブホテルなんですけど!?
全然杞憂じゃなかったよ! 何考えてんのこの人!?
やっぱり私のことバレてる? からかってんの? ちょっとパニクり過ぎて頭回らない!
「おい、何立ち止まってんだ? こっちだぞ?」
……はい、ただの建物違いでした。
◆◇◆
そこはよくあるスポーツアトラクション施設だった。ボウリングからバッティングセンター、その他球技にスケートまであらゆるジャンルのスポーツを楽しむことができる。
なんて佐伯先輩らしい……ってどんだけ紛らわしい場所に建ってるんだ! ここホテル街の中心なんですけど!?
「なあ千秋、最初はテニスでいいか?」
「あ、はい……」
なんだ、てっきりサッカーやるのかと思ってたら、まさかのラケットスポーツ。
ガットが緩めに張られた、少しちゃっちい感じのラケットを渡されそれぞれ反対側のコートに立つ。
サーブの構えをする先輩は、それこそテニスの王◯様に出てきそうなほど様になってた。
「そーれっ」
「はっ」
「お! 千秋やるなぁ~。それならこれはどうだっ」
そう言って鋭いスライスショットを打ってくる先輩。
ちょ、先輩のくせに大人気ない! ていうかそんな技どこで学んだんだ!?
―――と、いっても別にこれくらいじゃ動揺しないけど。
スコーン! と先輩の打ってきた球にさらに回転をかけて打ち返す。
へっへーん。なんてったって高校まではテニス部だったんだよね。テニスの勝負を持ちかけられた時は思わずニヤけそうになっちゃったよ。
「……!」
先輩は全く反応できずにバウンドするボールをただ見つめるだけ。
よし、今日で一番イイ顔を見ることができた。
この人といるとずっとペース乱されっぱなしだから丁度いいわ。そうちょっと得意気で踏ん反り返っていると。
「……面白い。見かけによらず運動神経いいんだな。これはかなり楽しめそうだ。勿論勝負はこれからだよな?」
……すっかり熱血スイッチの入った先輩が緩く笑みを浮かべて構えていた。
っておい! 嘘だろ!? めっちゃやる気じゃん!
怖!? 俺腕には自信あるけど体力そんなないよ!
「そーれっ」
って少し待てーーーい!!
「や、やばいほどカッコ良くない!?」
「背高い方も爽やかでいいけど隣にいる人なんて綺麗すぎて……」
「どうする? 声かける?」
「え!? マジ? あんなレベル高いのにいく自信……」
「お、お兄さん達~、良かったら私達とお茶しません!?」
「あ! 先越されちゃったじゃん!!」
な、なんだこの騒がれようは……。
ただ街を歩いているだけなのにいつもの比じゃないんだけど。しかも女の人達みんなおどおどしてるし。
「ごめん、今日はコイツとだけって決めてるんだ。また今度誘って?」
先輩の力、恐るべし……。
「あ、そうなんですか! わかりましたッ」
「そ、それならまた今度……」
「――ねえっもしかして2人ってソッチ系!?」
「じゃない!? 2人だけの空気できてるし……っ美形カップル萌えるわ~」
うん、それから勘違いの数も尋常じゃないね。それもこれも先輩がさっきからベタベタベッタベタするせいだ。
今だって肩を組まれて歩きにくいことこの上ない。まあ手を繋がれないだけマシだけど。
抵抗するとその分一層密着してくるから諦めた。学習することは大切なのだ。
「っていうか、どこ向かってるんですか?」
「んー? 着いてからのお楽しみ~」
はぁ……ほんとに目的地なんてあるのだろうか。それすらも疑わしい。
この先輩の考えてることはイマイチよくわからない。子犬みたいな顔して平気で騙してくるからな。
しかしそんなことは杞憂とばかりに、目的地にはすぐ着いた。
「ここって……」
「楽しそうだろ? 最近ご無沙汰でさ~」
いやっ、あの! ここどう見てもカップル達の巣窟、ラブホテルなんですけど!?
全然杞憂じゃなかったよ! 何考えてんのこの人!?
やっぱり私のことバレてる? からかってんの? ちょっとパニクり過ぎて頭回らない!
「おい、何立ち止まってんだ? こっちだぞ?」
……はい、ただの建物違いでした。
◆◇◆
そこはよくあるスポーツアトラクション施設だった。ボウリングからバッティングセンター、その他球技にスケートまであらゆるジャンルのスポーツを楽しむことができる。
なんて佐伯先輩らしい……ってどんだけ紛らわしい場所に建ってるんだ! ここホテル街の中心なんですけど!?
「なあ千秋、最初はテニスでいいか?」
「あ、はい……」
なんだ、てっきりサッカーやるのかと思ってたら、まさかのラケットスポーツ。
ガットが緩めに張られた、少しちゃっちい感じのラケットを渡されそれぞれ反対側のコートに立つ。
サーブの構えをする先輩は、それこそテニスの王◯様に出てきそうなほど様になってた。
「そーれっ」
「はっ」
「お! 千秋やるなぁ~。それならこれはどうだっ」
そう言って鋭いスライスショットを打ってくる先輩。
ちょ、先輩のくせに大人気ない! ていうかそんな技どこで学んだんだ!?
―――と、いっても別にこれくらいじゃ動揺しないけど。
スコーン! と先輩の打ってきた球にさらに回転をかけて打ち返す。
へっへーん。なんてったって高校まではテニス部だったんだよね。テニスの勝負を持ちかけられた時は思わずニヤけそうになっちゃったよ。
「……!」
先輩は全く反応できずにバウンドするボールをただ見つめるだけ。
よし、今日で一番イイ顔を見ることができた。
この人といるとずっとペース乱されっぱなしだから丁度いいわ。そうちょっと得意気で踏ん反り返っていると。
「……面白い。見かけによらず運動神経いいんだな。これはかなり楽しめそうだ。勿論勝負はこれからだよな?」
……すっかり熱血スイッチの入った先輩が緩く笑みを浮かべて構えていた。
っておい! 嘘だろ!? めっちゃやる気じゃん!
怖!? 俺腕には自信あるけど体力そんなないよ!
「そーれっ」
って少し待てーーーい!!
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