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Ⅱ.入学編
50.ライバル令嬢の悩み 前編
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一人で悩んでいても解決策は見つからないと思い、意を決してナタリーに話してみることにした。
「実は…ずっとライバルだと思っていた人がいたの」
「ライバル、ですか」
「ええ。私には覆すことのできない運命があって、それならばその過程は思いっきり楽しもうと今まで奮闘してきたのだけど…」
さすがに乙女ゲームについては言えないからなんだか抽象的になってしまったけど大丈夫だろうか。
ナタリーを見ると、ふむ…と真剣に聞いてくれているようなので続けてみる。
「その楽しむ過程で重要になってくるライバルが、なんていうかその…思っていたのとは違ったというか」
「期待外れ、とかですか?」
「え? ええまあ、そうとも言えるわね」
おお、相変わらずハッキリ言うなこの子は。いや勝手に期待していた私も悪いのだけど。
「なるほど、それで悩まれていたのですね」
「まあ悩みってわけでもないんだけどね。ただこれからどうしようかなって」
「うーん…ルリアーノ様が仰っていた“覆すことのできない運命”というものが何か若干気になりますが…」
「あはは…そこは気にしないでもらえると助かるわ」
「…その運命はルリアーノ様にとって良いものなのですか?」
「…え?」
そんなことを聞かれるとは思っていなかったからびっくりした。
思えば、断罪が良いか悪いかだなんて今まで考えたこともなかった。それが当たり前に訪れると思っていたので考える必要がなかったのだ。
まあ客観的に見れば悪いものかもしれないが、終わりが見えている方が存分に楽しめると考えていたわけだし、殺されない限りは断罪後も楽しめるかもしれない。
とすれば特筆すべきデメリットはないようにも思う。
ただ、あえて断罪されたいかと聞かれれば……
「特に感情はないのだけど、必ずしもその運命である必要はないと思うわ」
うん、別に私はドMでもないし現状に特に不満があるわけでもない。このままいくと少々刺激不足ではあるが、だからといって破滅フラグを進んで歩みたいわけではない。
「なら良かったですわ! それならばその運命を覆すために奔走されるのは如何です?」
「運命を覆す、ねぇ…」
確かにそれも一興かもしれない。
そもそも、断罪される経緯は攻略対象達がヒロインに恋をして、そこで邪魔者となるライバル令嬢ことルリアーノがこの舞台から消されるといったものだ。
したがって、断罪されないためには攻略対象達がヒロインを好きにならないよう阻止すれば良い。
例えば、ヒロイン以外の対象……ルリアーノに恋するよう仕向けるとか──って、あれ?
「……ッ」
「どうしたんですか? いきなり押し黙って」
「私……すでにそれっぽいことしてしまっていたわ……」
「はい…?」
「実は…ずっとライバルだと思っていた人がいたの」
「ライバル、ですか」
「ええ。私には覆すことのできない運命があって、それならばその過程は思いっきり楽しもうと今まで奮闘してきたのだけど…」
さすがに乙女ゲームについては言えないからなんだか抽象的になってしまったけど大丈夫だろうか。
ナタリーを見ると、ふむ…と真剣に聞いてくれているようなので続けてみる。
「その楽しむ過程で重要になってくるライバルが、なんていうかその…思っていたのとは違ったというか」
「期待外れ、とかですか?」
「え? ええまあ、そうとも言えるわね」
おお、相変わらずハッキリ言うなこの子は。いや勝手に期待していた私も悪いのだけど。
「なるほど、それで悩まれていたのですね」
「まあ悩みってわけでもないんだけどね。ただこれからどうしようかなって」
「うーん…ルリアーノ様が仰っていた“覆すことのできない運命”というものが何か若干気になりますが…」
「あはは…そこは気にしないでもらえると助かるわ」
「…その運命はルリアーノ様にとって良いものなのですか?」
「…え?」
そんなことを聞かれるとは思っていなかったからびっくりした。
思えば、断罪が良いか悪いかだなんて今まで考えたこともなかった。それが当たり前に訪れると思っていたので考える必要がなかったのだ。
まあ客観的に見れば悪いものかもしれないが、終わりが見えている方が存分に楽しめると考えていたわけだし、殺されない限りは断罪後も楽しめるかもしれない。
とすれば特筆すべきデメリットはないようにも思う。
ただ、あえて断罪されたいかと聞かれれば……
「特に感情はないのだけど、必ずしもその運命である必要はないと思うわ」
うん、別に私はドMでもないし現状に特に不満があるわけでもない。このままいくと少々刺激不足ではあるが、だからといって破滅フラグを進んで歩みたいわけではない。
「なら良かったですわ! それならばその運命を覆すために奔走されるのは如何です?」
「運命を覆す、ねぇ…」
確かにそれも一興かもしれない。
そもそも、断罪される経緯は攻略対象達がヒロインに恋をして、そこで邪魔者となるライバル令嬢ことルリアーノがこの舞台から消されるといったものだ。
したがって、断罪されないためには攻略対象達がヒロインを好きにならないよう阻止すれば良い。
例えば、ヒロイン以外の対象……ルリアーノに恋するよう仕向けるとか──って、あれ?
「……ッ」
「どうしたんですか? いきなり押し黙って」
「私……すでにそれっぽいことしてしまっていたわ……」
「はい…?」
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