53 / 81
Ⅱ.入学編
42.ミシェルを探せ
しおりを挟む
それからというもの、私に進んで話しかけてくれる子はおらず、楽しそうにおしゃべりしているグループのみんなをただ眺めていた。たまにナタリーがグループの誰かがした質問を伝えてくるくらいだ。わざわざナタリーを介さなくても、直接私に聞いてくれればいいのに…と思ったが怖がられているのなら仕方ない。質問してくれるだけ良しと思おう。
途中チラチラとアゼン様やザックの様子を見たけれど、案外上手くやっているようだった。ザックは女子生徒に囲まれるとすぐどっかに行ってしまったけれど…。
おそらく孤児院で虐められていたせいで、まだ大人数に囲まれることに慣れていないのだろう。ミシェルに酷いこともしていたし、人との距離感がわからないのかも。できるなら助けに行ってあげたいけれど、あえて見守るというのも弟の成長のためには必要なことだ。それに先程ああ言ってしまった手前私から喋りかけに行くのは少し憚られるし。
さて、親睦会もそろそろ終わりかしらね。
そういえばまだ一度もミシェルを見ていないけどどこにいるのかしら? アゼン様やザックと絡んでいたら邪魔しに行こうと思っていたのに。
…どうせここにいても暇だし、ちょっと探しに行こうかな。この前ザックがケガさせてしまったところも大丈夫か確認したい。
そう思って席を離れようとすると、すぐに高い壁二つに阻まれた。
「姉様どこに行くんですか?」
「ダメだよ、一人でどこかに行ったら」
ええ…何故二人がここに…。
さっきまで確かにあっちのテーブルで談笑していたのに。瞬間移動ですか?
ていうか、私のこと子どもか何かだと思っているんだろうか。
「ちょっと人を探しに」
「またダリルのところ?」
「いや今回はちが…、って」
わあああびっくりした。何今の質問。「また」ってなに? やっぱり婚約パーティーのことバレてる?
「ふーん。じゃあ誰を探しに行くのかな?」
「えっと…ミシェルさんを…」
「それってあの面倒な女のこと? 何故姉様が彼女を探すのですか?」
「何故って…普通に話したいだけだけど」
君がケガさせたところが大丈夫か確認しに行くんだよ! あとヒロインの性格をちゃんと知るためにも一度話しておきたい。
ていうかなんでそんなに止めようとするのかしら。……もしかして私がミシェルに危害を加えると思ってる? アゼン様の中では私が彼女に嫉妬していると思っているみたいだし、人気のないところで隠れて虐めるんじゃって心配しているのかも。
心配しなくったって、自ら死にに行くような真似はしない。クールなライバル令嬢らしくマウントを取るくらいだ。
「心配だから一緒についていくよ」
「やっぱり…心配なのですね…」
「ルリは放っておくと何するかわからないから」
何それ。いつから私危険人物扱いされるようになっちゃったの。今まで誰かを虐めることなんてしてないのに…。
さっきも男子生徒に怖がられてしまったし、何か危険なオーラでも放っているのかしら。
「彼女なら裏で後片付けの準備をしてくれているはずだよ」
「え?」
アゼン様が会場の準備室に向かう扉の方を指し示す。
いや、後片付けの準備ですって? じゃああなた達は何してるの?
ミシェルを虐めているのは私じゃなくてアゼン様とザックでは、と思った瞬間だった。
途中チラチラとアゼン様やザックの様子を見たけれど、案外上手くやっているようだった。ザックは女子生徒に囲まれるとすぐどっかに行ってしまったけれど…。
おそらく孤児院で虐められていたせいで、まだ大人数に囲まれることに慣れていないのだろう。ミシェルに酷いこともしていたし、人との距離感がわからないのかも。できるなら助けに行ってあげたいけれど、あえて見守るというのも弟の成長のためには必要なことだ。それに先程ああ言ってしまった手前私から喋りかけに行くのは少し憚られるし。
さて、親睦会もそろそろ終わりかしらね。
そういえばまだ一度もミシェルを見ていないけどどこにいるのかしら? アゼン様やザックと絡んでいたら邪魔しに行こうと思っていたのに。
…どうせここにいても暇だし、ちょっと探しに行こうかな。この前ザックがケガさせてしまったところも大丈夫か確認したい。
そう思って席を離れようとすると、すぐに高い壁二つに阻まれた。
「姉様どこに行くんですか?」
「ダメだよ、一人でどこかに行ったら」
ええ…何故二人がここに…。
さっきまで確かにあっちのテーブルで談笑していたのに。瞬間移動ですか?
ていうか、私のこと子どもか何かだと思っているんだろうか。
「ちょっと人を探しに」
「またダリルのところ?」
「いや今回はちが…、って」
わあああびっくりした。何今の質問。「また」ってなに? やっぱり婚約パーティーのことバレてる?
「ふーん。じゃあ誰を探しに行くのかな?」
「えっと…ミシェルさんを…」
「それってあの面倒な女のこと? 何故姉様が彼女を探すのですか?」
「何故って…普通に話したいだけだけど」
君がケガさせたところが大丈夫か確認しに行くんだよ! あとヒロインの性格をちゃんと知るためにも一度話しておきたい。
ていうかなんでそんなに止めようとするのかしら。……もしかして私がミシェルに危害を加えると思ってる? アゼン様の中では私が彼女に嫉妬していると思っているみたいだし、人気のないところで隠れて虐めるんじゃって心配しているのかも。
心配しなくったって、自ら死にに行くような真似はしない。クールなライバル令嬢らしくマウントを取るくらいだ。
「心配だから一緒についていくよ」
「やっぱり…心配なのですね…」
「ルリは放っておくと何するかわからないから」
何それ。いつから私危険人物扱いされるようになっちゃったの。今まで誰かを虐めることなんてしてないのに…。
さっきも男子生徒に怖がられてしまったし、何か危険なオーラでも放っているのかしら。
「彼女なら裏で後片付けの準備をしてくれているはずだよ」
「え?」
アゼン様が会場の準備室に向かう扉の方を指し示す。
いや、後片付けの準備ですって? じゃああなた達は何してるの?
ミシェルを虐めているのは私じゃなくてアゼン様とザックでは、と思った瞬間だった。
0
お気に入りに追加
627
あなたにおすすめの小説
転生したら当て馬王子でした~絶対攻略される王太子の俺は、フラグを折って幸せになりたい~
HIROTOYUKI
ファンタジー
目覚めたら前世で姉に無理やりやらされていた乙女ゲームの世界だった!これは異世界転生っていうやつ?なんと気づけば俺は姉に全クリさせられた乙女ゲームのキャラに転生していた。それも、身分だけはピカイチの通称チュートリアル殿下に⁉必ず攻略されセカンドではキープ君扱い、さらにどんなエンドでも絶対振られて辺境に!(バッドエンドはその地で変死)巻き込まれて不幸になる悪役令嬢。それよりも何よりもあんな尻軽な聖女?にキープされ捨てられる、そんな人生絶対嫌だ‼
乙女ゲーム初心者のためというコンセプトのもと制作された乙女ゲーム。攻略対象はただ一人。基本操作(チュートリアル)を習得するためだけに、ベタ中のベタを体験するためだけに存在する、王道俺様王子。そんな王太子殿下に転生してしまった、前世はごく普通、だけど乙女ゲームの達人(不本意)だった男子高校生が、知ってた王子と随分と違う今の自分に戸惑いながらも、神とも言える強制力から逸脱するため、いろんなものを流しながら頑張る、5歳児から始まる物語。 ※話の視線はタイトル名の人物です
(感想についてはネタバレも含まれます)
迅英の後悔ルート
いちみやりょう
BL
こちらの小説は「僕はあなたに捨てられる日が来ることを知っていながらそれでもあなたに恋してた」の迅英の後悔ルートです。
この話だけでは多分よく分からないと思います。
私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。
木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアルティリアは、婚約者からある日突然婚約破棄を告げられた。
彼はアルティリアが上から目線だと批判して、自らの妻として相応しくないと判断したのだ。
それに対して不満を述べたアルティリアだったが、婚約者の意思は固かった。こうして彼女は、理不尽に婚約を破棄されてしまったのである。
そのことに関して、アルティリアは実の父親から責められることになった。
公にはなっていないが、彼女は妾の子であり、家での扱いも悪かったのだ。
そのような環境で父親から責められたアルティリアの我慢は限界であった。伯爵家に必要ない。そう言われたアルティリアは父親に告げた。
「私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。私はそれで構いません」
こうしてアルティリアは、新たなる人生を送ることになった。
彼女は伯爵家のしがらみから解放されて、自由な人生を送ることになったのである。
同時に彼女を虐げていた者達は、その報いを受けることになった。彼らはアルティリアだけではなく様々な人から恨みを買っており、その立場というものは盤石なものではなかったのだ。
好き避けして、幸せになれると思ってるんですか?
megane-san
恋愛
両片思いの2人。シャイな彼は、好き避けしてしまい2人の距離はなかなか縮まらない。焦ったい時間だけが過ぎていき、恋が結ばれる前に女の子が亡くなってしまう。
2人は前世の記憶を持って転生を繰り返すが、転生しても彼の好き避けという悪癖は直らない。彼との出会いを繰り返した女の子が選んだ最終的な選択とは?
愛を疑ってはいませんわ、でも・・・
かぜかおる
恋愛
王宮の中庭で見かけたのは、愛しい婚約者と私じゃない女との逢瀬
さらに婚約者は私の悪口を言っていた。
魅了で惑わされた婚約者への愛は消えないけれど、
惑わされる前と変わらないなんて無理なのです・・・。
******
2021/02/14 章の名前『後日談』→『アザーズ Side』に変更しました
読んで下さりありがとうございます。
2020/5/18 ランキング HOT 1位 恋愛 3位に入らせていただきました。
O(-人-)O アリガタヤ・・
コメントも感謝です。
とりあえず本編の方の更新を優先させていただきますので、申し訳ありませんがコメントの返答遅くなります。
愛されていると思っていた私。だけど、婚約者が溺愛していたのは私の妹でした。
ほったげな
恋愛
婚約者は私に愛を囁いてくれる。愛されていると思っていたけど、本当は彼は私の妹のことを愛していた。そして、彼との婚約を破棄して…?!
婚約者の勇者に殺された貴族令嬢。ザコ魔導士に愛されながら復讐をする。
シハ
恋愛
【全11話】
貴族令嬢のリアナは、スプリングホルム一の美男子、勇者ジェラミーと婚約をしていました。
しかし、森を散策しているとき、婚約者のジェラミーに殺されてしまいます。
ジェラミーはリアナより家柄がよい宰相の娘との結婚を望んでいたのです。
ジャラミーは宰相の娘、ナターシャと共謀し、リアナを殺害したのです。
しかし、リアナは奇跡的に蘇ります。
使用人のノエルによって生き返ったのです。
ノエルは弱い魔力をもつ魔導士でした。
魔導士のノエルは密かに人間の女性であるリアナを愛していました。
ノエルはリアナを傷つけた勇者ジェラミーに怒りをむけます。
リアナはノエルの頼りない魔法を使い、復讐を決意します。
そして、リアナとノエルはジェラミーとナターシャが婚約を発表する盛大な晩餐会に乗り込みます。
婚約破棄、復讐、溺愛の物語。
single tear drop
ななもりあや
BL
兄だと信じていたひとに裏切られた未知。
それから3年後。
たった一人で息子の一太を育てている未知は、ある日、ヤクザの卯月遥琉と出会う。
素敵な表紙絵は絵師の佐藤さとさ様に描いていただきました。
一度はチャレンジしたかったBL大賞に思いきって挑戦してみようと思います。
よろしくお願いします
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる