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Ⅱ.入学編
36.魔法バトル 前編
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「それなら2人が戦えばいいじゃない」
またくだらないことで私の取り合いをされるのは面倒だったので、手っ取り早くお互いのペアを提供してあげる。これで万事解決だ。私はナタリーとゆる~く魔法の見せ合いっこでもしようと思う。
「アゼン殿下と…? 魔法科目3位の方とまともな勝負ができるとは思いませんが…」
「言ってくれるね。いいよ、君と勝負しよう。そういえば僕達まともに手合わしたことがなかったね。機会さえあればいつでも相手してあげたのに」
「! なるほど、今日は殿下を公式に負かすことのできる絶好の機会というわけですね」
合点いったように微笑みを交わす2人。言葉の節々から不穏な空気を感じるのは気のせいだろうか? 笑顔が凍えるようなのだけど…。
「ルリアーノ様、なんだか寒くないですか?」
「ナタリーもそう思う?」
このままでは風邪を引いてしまいそうなので、ナタリーの手を取って私達2人にお日さまの魔法をかけた。うむ、あったかい。これで安心だ。
「ついうっかり殺してしまったら申し訳ありません。まだ加減が難しくて…」
「心配には及ばないよ。僕のカウンター魔法、殺傷力を2倍にして返せるから」
あれ、また寒くなった。
──さて、というわけで、アゼン様とザックの魔法バトルが始まろうとしています。
実況はわたくし、ルリアーノ・アルランデが送らせていただきます。
ちなみに成績トップ層である2人のバトルということで、クラス全員授業どころではなく、みんなで2人を囲むようにして観戦する形となった。
先生が怒りそうなものだが、彼が一番この勝負の行方に興味津々なようだから大丈夫だろう。私はやはり不穏な気配を拭えなくて気が気でないのだけど。
「それでは、始め!」
先生のホイッスルと同時に距離を取った2人。ザックは両手に大きな炎の塊を出現させ、アゼン様の右手には──ん? あれは氷の剣かしら?
「単純な魔法だけじゃザックに勝てないかもしれないけど……剣さえあれば僕に利がある」
「氷の剣ですか……そんなもので僕の炎を破れるとでも?」
「さあ? どうなるか楽しみだね」
次の瞬間、2人同時に距離を詰めた。ザックが両手の炎を1つに纏め、アゼン様目掛けて振り下ろす。おそらく直径10メートルはある炎の塊。あんなの当たったら一溜まりもないんじゃ──
「さすがだねザック……でも、」
しかしアゼン様は見事に氷の剣で炎を真っ二つにし、加えて剣先から氷の礫を何発も繰り出した。
風の魔法を加えているのか速度が尋常じゃない。いや、あれ当たったら即死だよね。ザックの身体穴だらけにするつもりですか!?
なんて思ったけど……
「ふふ、僕に氷魔法は効きませんよ」
全身を炎のオーラで包んだザックは、全ての氷を自身で受け止めた。ザックに近付いた瞬間溶けて無くなってしまった氷の礫。
何あれ……スーパーサ◯ヤ人ですか?
想像していた次元とまるで違うんですけど……もしかして2人とも最初私を誘ったってことは、あんなデスバトルを私に挑もうとしたってこと?
こわ……怖すぎ……良かった勝負を受けなくて。
学園に入学してから一番ホッとした瞬間だった。
またくだらないことで私の取り合いをされるのは面倒だったので、手っ取り早くお互いのペアを提供してあげる。これで万事解決だ。私はナタリーとゆる~く魔法の見せ合いっこでもしようと思う。
「アゼン殿下と…? 魔法科目3位の方とまともな勝負ができるとは思いませんが…」
「言ってくれるね。いいよ、君と勝負しよう。そういえば僕達まともに手合わしたことがなかったね。機会さえあればいつでも相手してあげたのに」
「! なるほど、今日は殿下を公式に負かすことのできる絶好の機会というわけですね」
合点いったように微笑みを交わす2人。言葉の節々から不穏な空気を感じるのは気のせいだろうか? 笑顔が凍えるようなのだけど…。
「ルリアーノ様、なんだか寒くないですか?」
「ナタリーもそう思う?」
このままでは風邪を引いてしまいそうなので、ナタリーの手を取って私達2人にお日さまの魔法をかけた。うむ、あったかい。これで安心だ。
「ついうっかり殺してしまったら申し訳ありません。まだ加減が難しくて…」
「心配には及ばないよ。僕のカウンター魔法、殺傷力を2倍にして返せるから」
あれ、また寒くなった。
──さて、というわけで、アゼン様とザックの魔法バトルが始まろうとしています。
実況はわたくし、ルリアーノ・アルランデが送らせていただきます。
ちなみに成績トップ層である2人のバトルということで、クラス全員授業どころではなく、みんなで2人を囲むようにして観戦する形となった。
先生が怒りそうなものだが、彼が一番この勝負の行方に興味津々なようだから大丈夫だろう。私はやはり不穏な気配を拭えなくて気が気でないのだけど。
「それでは、始め!」
先生のホイッスルと同時に距離を取った2人。ザックは両手に大きな炎の塊を出現させ、アゼン様の右手には──ん? あれは氷の剣かしら?
「単純な魔法だけじゃザックに勝てないかもしれないけど……剣さえあれば僕に利がある」
「氷の剣ですか……そんなもので僕の炎を破れるとでも?」
「さあ? どうなるか楽しみだね」
次の瞬間、2人同時に距離を詰めた。ザックが両手の炎を1つに纏め、アゼン様目掛けて振り下ろす。おそらく直径10メートルはある炎の塊。あんなの当たったら一溜まりもないんじゃ──
「さすがだねザック……でも、」
しかしアゼン様は見事に氷の剣で炎を真っ二つにし、加えて剣先から氷の礫を何発も繰り出した。
風の魔法を加えているのか速度が尋常じゃない。いや、あれ当たったら即死だよね。ザックの身体穴だらけにするつもりですか!?
なんて思ったけど……
「ふふ、僕に氷魔法は効きませんよ」
全身を炎のオーラで包んだザックは、全ての氷を自身で受け止めた。ザックに近付いた瞬間溶けて無くなってしまった氷の礫。
何あれ……スーパーサ◯ヤ人ですか?
想像していた次元とまるで違うんですけど……もしかして2人とも最初私を誘ったってことは、あんなデスバトルを私に挑もうとしたってこと?
こわ……怖すぎ……良かった勝負を受けなくて。
学園に入学してから一番ホッとした瞬間だった。
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