11 / 81
Ⅰ.出会い編
11.アゼン様の攻略法
しおりを挟む
アゼン様に手を引かれてやってきたのは温室のように花で埋め尽くされている部屋だった。
「改めまして、ルリアーノ・アルランデと申します。至らぬ点は多いと思いますが、これからどうぞよろしくお願いいたします」
「まだ10歳なのにとても礼儀正しいんですね。僕はアゼン・ラハード。気軽にアゼンと呼んでください」
「では私はルリアーノとお呼びください」
お互いに微笑みを交わす。まあファーストコンタクトとしてはまずまずじゃないかしら。
私のことを年齢の割にはしっかりしていると褒めるアゼン様だけど、私と年齢は1つしか変わらないはずだ。
アゼン様だって11歳の割にはすごく大人びている。私は転生者で精神年齢詐欺みたいなものだしね。
さて、そんなアゼン様についてだけれど今現在でわかっているのは、国王になるための才覚を持ち、それでいて平民に対する慈悲も持ち合わせているパーフェクト王子様ってことくらいだ。
加えてゲームではヒロインに対し少し意地悪なところからサド要素もあるのではないかと思っている。
これらのことから導き出される彼の攻略方法──それは、彼にとことん生意気な態度を取ること。
彼は完璧すぎるが故、あらゆることを特に努力をせずにできてしまう。この点ではルリアーノと似ている。したがって私同様退屈なのである。
私の場合攻略対象を落とすという楽しみを見つけたけれど、アゼン様はヒロインに会うまで見つけられなかった。
ヒロインと会って予想通りに動かない彼女に興味を持ったのだ。
つまり、私がアゼン様の興味を引くような性格を演じればいい。
ゲームの中のルリアーノはアゼン様の話にただ相槌を打つだけだし、有能なのに控えめな性格のせいでいつも一歩引いていた。
アゼン様からしたら張り合いがなかったのだ。
だけど私は控えめでもないし自分の有能っぷりはとことんひけらかすつもりでいる。
「アゼン様のお噂は聞いています。とても賢いそうで」
「そんなことないですよ。ルリアーノだって」
うん、予想通りの謙遜。さてここからが勝負ですよ王子様?
「いえ私なんて……忙しくてまだ世界創生論は3章までしか読んでいないんです」
「……世界創生論ですか?」
その時、ピクリとアゼン様の眉が動いたのを見逃さなかった。
世界創生論は古代語で書かれているため、まずは古代語の習得が必須。しかしそれも習い始めるのは丁度このくらいの歳なのでまずマスターしている人はいないだろう。
まあアゼン様は優秀という噂だからもうすぐマスターする頃かしら?
それでもこのルリアーノには遠く及ばないけどねっ!
「改めまして、ルリアーノ・アルランデと申します。至らぬ点は多いと思いますが、これからどうぞよろしくお願いいたします」
「まだ10歳なのにとても礼儀正しいんですね。僕はアゼン・ラハード。気軽にアゼンと呼んでください」
「では私はルリアーノとお呼びください」
お互いに微笑みを交わす。まあファーストコンタクトとしてはまずまずじゃないかしら。
私のことを年齢の割にはしっかりしていると褒めるアゼン様だけど、私と年齢は1つしか変わらないはずだ。
アゼン様だって11歳の割にはすごく大人びている。私は転生者で精神年齢詐欺みたいなものだしね。
さて、そんなアゼン様についてだけれど今現在でわかっているのは、国王になるための才覚を持ち、それでいて平民に対する慈悲も持ち合わせているパーフェクト王子様ってことくらいだ。
加えてゲームではヒロインに対し少し意地悪なところからサド要素もあるのではないかと思っている。
これらのことから導き出される彼の攻略方法──それは、彼にとことん生意気な態度を取ること。
彼は完璧すぎるが故、あらゆることを特に努力をせずにできてしまう。この点ではルリアーノと似ている。したがって私同様退屈なのである。
私の場合攻略対象を落とすという楽しみを見つけたけれど、アゼン様はヒロインに会うまで見つけられなかった。
ヒロインと会って予想通りに動かない彼女に興味を持ったのだ。
つまり、私がアゼン様の興味を引くような性格を演じればいい。
ゲームの中のルリアーノはアゼン様の話にただ相槌を打つだけだし、有能なのに控えめな性格のせいでいつも一歩引いていた。
アゼン様からしたら張り合いがなかったのだ。
だけど私は控えめでもないし自分の有能っぷりはとことんひけらかすつもりでいる。
「アゼン様のお噂は聞いています。とても賢いそうで」
「そんなことないですよ。ルリアーノだって」
うん、予想通りの謙遜。さてここからが勝負ですよ王子様?
「いえ私なんて……忙しくてまだ世界創生論は3章までしか読んでいないんです」
「……世界創生論ですか?」
その時、ピクリとアゼン様の眉が動いたのを見逃さなかった。
世界創生論は古代語で書かれているため、まずは古代語の習得が必須。しかしそれも習い始めるのは丁度このくらいの歳なのでまずマスターしている人はいないだろう。
まあアゼン様は優秀という噂だからもうすぐマスターする頃かしら?
それでもこのルリアーノには遠く及ばないけどねっ!
0
お気に入りに追加
625
あなたにおすすめの小説
執着系逆ハー乙女ゲームに転生したみたいだけど強ヒロインなら問題ない、よね?
陽海
恋愛
乙女ゲームのヒロインに転生したと気が付いたローズ・アメリア。
この乙女ゲームは攻略対象たちの執着がすごい逆ハーレムものの乙女ゲームだったはず。だけど肝心の執着の度合いが分からない。
執着逆ハーから身を守るために剣術や魔法を学ぶことにしたローズだったが、乙女ゲーム開始前からどんどん攻略対象たちに会ってしまう。最初こそ普通だけど少しずつ執着の兆しが見え始め......
剣術や魔法も最強、筋トレもする、そんな強ヒロインなら逆ハーにはならないと思っているローズは自分の行動がシナリオを変えてますます執着の度合いを釣り上げていることに気がつかない。
本編完結。マルチエンディング、おまけ話更新中です。
小説家になろう様でも掲載中です。
乙女ゲームに転生した世界でメイドやってます!毎日大変ですが、瓶底メガネ片手に邁進します!
美月一乃
恋愛
前世で大好きなゲームの世界?に転生した自分の立ち位置はモブ!
でも、自分の人生満喫をと仕事を初めたら
偶然にも大好きなライバルキャラに仕えていますが、毎日がちょっと、いえすっごい大変です!
瓶底メガネと縄を片手に、メイド服で邁進してます。
「ちがいますよ、これは邁進してちゃダメな奴なのにー」
と思いながら
Wヒロインの乙女ゲームの元ライバルキャラに転生したけれど、ヤンデレにタゲられました。
舘野寧依
恋愛
ヤンデレさんにストーカーされていた女子高生の月穂はある日トラックにひかれてしまう。
そんな前世の記憶を思い出したのは、十七歳、女神選定試験が開始されるまさにその時だった。
そこでは月穂は大貴族のお嬢様、クリスティアナ・ド・セレスティアと呼ばれていた。
それは月穂がよくプレイしていた乙女ゲーのライバルキャラ(デフォルト)の名だった。
なぜか魔術師様との親密度と愛情度がグラフで視界に現れるし、どうやらここは『女神育成~魔術師様とご一緒に~』の世界らしい。
まあそれはいいとして、最悪なことにあのヤンデレさんが一緒に転生していて告白されました。
そしてまた、新たに別のヤンデレさんが誕生して見事にタゲられてしまい……。
そんな過剰な愛はいらないので、お願いですから普通に恋愛させてください。
異世界転生先で溺愛されてます!
目玉焼きはソース
恋愛
異世界転生した18歳のエマが転生先で色々なタイプのイケメンたちから溺愛される話。
・男性のみ美醜逆転した世界
・一妻多夫制
・一応R指定にしてます
⚠️一部、差別的表現・暴力的表現が入るかもしれません
タグは追加していきます。
この世界に転生したらいろんな人に溺愛されちゃいました!
めーめー
恋愛
前世は不慮の事故で死んだ(主人公)公爵令嬢ニコ・オリヴィアは最近前世の記憶を思い出す。
だが彼女は人生を楽しむことができなっかたので今世は幸せな人生を送ることを決意する。
「前世は不慮の事故で死んだのだから今世は楽しんで幸せな人生を送るぞ!」
そこから彼女は義理の弟、王太子、公爵令息、伯爵令息、執事に出会い彼女は彼らに愛されていく。
作者のめーめーです!
この作品は私の初めての小説なのでおかしいところがあると思いますが優しい目で見ていただけると嬉しいです!
投稿は2日に1回23時投稿で行きたいと思います!!
転生先が羞恥心的な意味で地獄なんだけどっ!!
高福あさひ
恋愛
とある日、自分が乙女ゲームの世界に転生したことを知ってしまったユーフェミア。そこは前世でハマっていたとはいえ、実際に生きるのにはとんでもなく痛々しい設定がモリモリな世界で羞恥心的な意味で地獄だった!!そんな世界で羞恥心さえ我慢すればモブとして平穏無事に生活できると思っていたのだけれど…?※カクヨム様、ムーンライトノベルズ様でも公開しています。不定期更新です。タイトル回収はだいぶ後半になると思います。前半はただのシリアスです。
深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~
白金ひよこ
恋愛
熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!
しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!
物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?
乙女ゲームのヒロインに転生したので、推しの悪役令嬢をヒロインにしてみせます!
ちゃっぷ
恋愛
恋人なし・友達なし・一人暮らしの乙女ゲーム好きなアラサー/星川夏菜。
ある日、ふっと気がついたら大好きだった乙女ゲーム『星降る夜に』のヒロイン/ナジマに転生していた。
腐った国/レイラと、心に闇を抱えたイケメンたちをヒロインが救うという乙女ゲームだったが……彼女にはイケメンたちなんてどうでも良かった。
彼女の関心を集めていたのは美しく聡明で誇り高い、ヒロインのライバルキャラとなる悪役令嬢/アミーラ・ファハンロ。
しかし彼女はヒロインがどのイケメンとどんなエンディングを迎えようとも、断罪・悲劇・裏切りの結末を迎えるキャラだった。
「つまりヒロインに転生した自分がうまく立ち回れば、悪役令嬢の彼女を幸せにすることができるのでは……?」
そう思い至った夏菜は乙女ゲームの世界に転生してもイケメンそっちのけで、大好きな悪役令嬢をヒロインにするべく画策する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる