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何言ってるのクロリン!! 違うでしょうが!!
そんな満面の笑みで言ってるところ悪いけどそんなんじゃ全然ダメだよ!!
クソ、やっぱり天然を突き抜けてるクロリンに任せたのは失敗だったな。
「へぇ。それは嬉しいな。僕達がお似合いだって。勿論キャディも嬉しいよね?」
「だ、だからちが──」
「え? まさか嬉しくないだなんて言わないよね?」
「ッ! ま、まさか! う、嬉しいに決まってます!」
「だよね」
こ、怖い。怖すぎる。
慌ててさっきのクロリンの発言を訂正しようとしたのにタイミングが悪すぎた。
私が口を開いた瞬間の冷たい一睨みに全身が粟立った。
副音声で『否定したらどうなるかわかってるよね?』って聞こえたぞ。恐怖で婚約者を殺す気か。
ただ、悔しいけどクロリンの発言のおかげでエドウィンの機嫌は損ねなかったようだ。
これで私が言ったことがバレた暁には最悪の事態になっていただろう。
時にはクロリンの天然さも役に立つのだな、と認識を改めることにした。
「そうだ、言い忘れるところだった」
なんとか危機から逃れたことで一息ついていると、思い出したようにエドウィンが口を開いた。
どうやら何か用があって私を探していたみたいだ。まあ用がなくても常に私を探しているのだけど。
「さっき皇太子殿下からパーティーのお誘いがあってね。僕も婚約者と一緒にどうかってさ」
「パーティーですか?」
「うん、最初は断ったんだけどね、まだ僕達正式に婚約発表してなかったでしょ? そろそろお披露目した方がいいんじゃないかって」
どう? と気さくに問いかけてくるエドウィン。
確かに言われてみれば婚約発表はしたことがなかった。そもそも今までパーティーにすら参加していなかったのでその機会がなかったのだ。
「まあ着飾った君の姿を害悪どもに見られるのは虫唾が走るけど、知らないところで変な虫が寄ってきても嫌だしちゃんと牽制する必要もあるかと思ってね」
そうにっこりと話すエドウィン。
うん、ちょっと何言ってるかわからない。言葉が汚すぎて私の耳じゃ理解が及ばないなぁ~。
ていうかこんなの純粋無垢なクロリンには刺激が強すぎるんじゃ……。
そう思ってチラリとクロリエを見たのだが、本人は呑気にふわふわと笑っていた。
おそらく本当の意味で何を言っているかわからないご様子。
さすが脳内お花畑だ。今回ばかりはその呑気さが少し羨ましい……。
「そ、そうですね。皇室主催のパーティーなら変な人もいないでしょうし行ってみるのもいいかもしれませんね」
“変な人もいないでしょうし”の部分を願いを込めて言う。
大丈夫かな、もしパーティーで私に話しかけてくるような男がいたらタダじゃ済まないぞ。
──私が。
勿論男の心配などしていない。それによって機嫌の悪くなったエドウィンから私がとばっちりを受けないかが心配なのだ。
ルーカスの時の二の舞になどなりたくないのである。
そんな満面の笑みで言ってるところ悪いけどそんなんじゃ全然ダメだよ!!
クソ、やっぱり天然を突き抜けてるクロリンに任せたのは失敗だったな。
「へぇ。それは嬉しいな。僕達がお似合いだって。勿論キャディも嬉しいよね?」
「だ、だからちが──」
「え? まさか嬉しくないだなんて言わないよね?」
「ッ! ま、まさか! う、嬉しいに決まってます!」
「だよね」
こ、怖い。怖すぎる。
慌ててさっきのクロリンの発言を訂正しようとしたのにタイミングが悪すぎた。
私が口を開いた瞬間の冷たい一睨みに全身が粟立った。
副音声で『否定したらどうなるかわかってるよね?』って聞こえたぞ。恐怖で婚約者を殺す気か。
ただ、悔しいけどクロリンの発言のおかげでエドウィンの機嫌は損ねなかったようだ。
これで私が言ったことがバレた暁には最悪の事態になっていただろう。
時にはクロリンの天然さも役に立つのだな、と認識を改めることにした。
「そうだ、言い忘れるところだった」
なんとか危機から逃れたことで一息ついていると、思い出したようにエドウィンが口を開いた。
どうやら何か用があって私を探していたみたいだ。まあ用がなくても常に私を探しているのだけど。
「さっき皇太子殿下からパーティーのお誘いがあってね。僕も婚約者と一緒にどうかってさ」
「パーティーですか?」
「うん、最初は断ったんだけどね、まだ僕達正式に婚約発表してなかったでしょ? そろそろお披露目した方がいいんじゃないかって」
どう? と気さくに問いかけてくるエドウィン。
確かに言われてみれば婚約発表はしたことがなかった。そもそも今までパーティーにすら参加していなかったのでその機会がなかったのだ。
「まあ着飾った君の姿を害悪どもに見られるのは虫唾が走るけど、知らないところで変な虫が寄ってきても嫌だしちゃんと牽制する必要もあるかと思ってね」
そうにっこりと話すエドウィン。
うん、ちょっと何言ってるかわからない。言葉が汚すぎて私の耳じゃ理解が及ばないなぁ~。
ていうかこんなの純粋無垢なクロリンには刺激が強すぎるんじゃ……。
そう思ってチラリとクロリエを見たのだが、本人は呑気にふわふわと笑っていた。
おそらく本当の意味で何を言っているかわからないご様子。
さすが脳内お花畑だ。今回ばかりはその呑気さが少し羨ましい……。
「そ、そうですね。皇室主催のパーティーなら変な人もいないでしょうし行ってみるのもいいかもしれませんね」
“変な人もいないでしょうし”の部分を願いを込めて言う。
大丈夫かな、もしパーティーで私に話しかけてくるような男がいたらタダじゃ済まないぞ。
──私が。
勿論男の心配などしていない。それによって機嫌の悪くなったエドウィンから私がとばっちりを受けないかが心配なのだ。
ルーカスの時の二の舞になどなりたくないのである。
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