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学園編

信じてたのに!

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 試験結果の発表は試験の翌日だった。つまり、今日である。
学園までの道中、アルカティーナはひたすら祈っていた。

 どうか、どうか一位じゃありませんように!

 こんな祈りを、もし前世の自分が聞いたらどう思っていたことだろう。
首席をとれ、首席しか認めない。
そういう親だったから、今こんなことを考えていることが信じられない。

 今日は試験結果だけではなく、クラス発表も行われるらしいが、クラスはほぼ間違いなくSクラスだろう。前世の記憶が19年分もあるのにSクラスじゃなかったら逆に辛い。

 「ゼンはどうですか?試験、自信あります?」

 今更ではあるが、尋ねてみる。

 「あ~…まぁ、普通?」

 …ちょっ、待って。待って下さい!?
何ですかその微妙な反応は!
わたくしにはゼンしかいないのに!
凄く嫌な予感がするんですけど!

 焦りが顔に出てたのか、ゼンが安心させるかのように微笑んだ。

 「いや、心配しなくても大丈夫だぞ。ちょっと一箇所計算ミスしてたのを思い出しただけだからな」

 「なんだ、それだけですか…よかったぁ~」

 一箇所計算ミスくらいなら、わたくしより上に行くでしょうし、安心安心!



 そう思っていた時期も、わたくしにはありました………………。

 「お嬢様、首席じゃないですか。流石です」

 人前でなかったら、ゼンに泣きついていたこと間違いなしです。わたくしったら、何が『安心安心!』なのですか!一箇所計算ミスくらいなら~って、わたくしは一箇所も間違えてないのに何が『安心安心!』!?最悪です!少しくらい手を抜けばよかった…!

 はたから見れば涼しい顔をしているように見えるアルカティーナだったが、内心では大荒れである。大体、結果発表が全生徒の前に貼り出されるなんて聞いていない。お陰でさっきから物凄い視線を感じる。
 でも、アルカティーナがどう抵抗しても、試験結果は変わらない。もう一度、掲示された結果を見て、ため息をつく。

 
 一位 アルカティーナ・フォン・クレディリア
         (得点400/400)
         →Sクラス

 二位 ゼン(398/400) →Sクラス

 三位 アメルダ・サクチル(382/400)
         →Sクラス


 何度見ても結果は同じです。辛い。
でも、それよりも!!
アメルダ、凄くないですか?
ゼンが頭いいのは薄々分かってましたけど、アメルダは予想外でした…。

 因みに、リサーシャはケアレスミスの結果、375点で五位でした。勿論Sクラスなので、クラスは同じです。
あと、ヒロイン様はAクラスでしたね。
点数は忘れましたけど。

 こうしてアルカティーナは、一週間後に控える在校生達との対面式にて、新入生代表の挨拶をさせられ……することになった。
 帰り道、馬車の中で「うにぁあああ!!!ゼン~~~~~!!信じてたのに!信じてたのにいいいいいい!!」と泣きついたのは言うまでもない。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 ヒロイン様は、馬鹿ではありません。
むしろ頭は良いです。

 アルカティーナは頭が凄く良いです。
でも、ある意味馬鹿です。笑笑。
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