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出会い編

なんでそうなる。

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 「ねえ、見て見て!見てください、ゼン!アメルダからお手紙が来ました!」

 あれから一ヶ月ほどがたちました。
結果から言えば、ゼンとわたくしは晴れてお友達になりました。二人目ゲットです、やりました!!
 今では互いに素の自分を前面に出し合っています。
良いお友達です。

 「あぁ、サクチル伯爵令嬢の…。良かったな。確かデビュタントパーティーで仲良くなったんだろ?」

 良かったな、と子供をあやす様に答える彼こそがゼンです。素のゼンです。
前と全然違うって??それはわたくしのセリフです。
 素のゼンは、この一ヶ月で知ったのですが、とても大人です。包容力があるというか、護衛役だからか、頼りになるというか。 
 本人には恥ずかしくて言えませんが、一緒にいて落ち着く感じの人です。お母様みたいな感じ、と言えば分かりやすいでしょうか。
まあ、ゼンはびっくりする程美形様なので最初の頃は落ち着きませんでしたけど。

 「はい、そうなんですよ!!もうすっごく可愛いんですよ??一時期は嫌われたかもしれないって悩んでたんですけど、全然そんなことなかったみたいで!こうして文通しているのです!!ふっふっふっ。可愛いって、最高ですよね。」

 「…お嬢は、そんなに可愛いものとか、可愛い人が好きなのか?」

 ゼンは、わたくしを「お嬢」と呼びます。
ティーナで良いと言ったのですが、一応護衛役という立場があるので「お嬢」で妥協です。
その代わり敬語は無しですけど。
 
 「え?はい、勿論ですとも。可愛いの大好きです!」

 むふふ、将来可愛いぬいぐるみとか集めてコレクションするのです。密かなわたくしの夢ですよ!
するとゼンは何を思ったのか、それまでの包容力ある笑顔を真顔にして意味不明なことを言い始めました。

 「なら、お嬢はこれから暇な時間は鏡を見つめて過ごしたら良いんじゃないか?可愛いのが好きなんだろ?」

 「それは誰得ですか。ナルシストじゃないんですから!!」

 ゼンってば、変な冗談はやめて下さいよっ!
 自分の、たいして優れてもいない容姿を見つめる趣味はありませんよ。
 何故かゼンには呆れた様な顔をされましたが…何故ですか?納得いきません……。

 「お嬢は可愛いぞ?」

 「ゼン……それって、」

 なんてことでしょう。わたくしったらどうして今まで気づかなかったのですか!?
そういうことだったんですね、ゼン!
 
 アルカティーナは小動物の様に大きな瞳を潤ませた。

 「やっと分かりましたよ、ゼン…」

 「分かってくれたか。」

 アルカティーナは、大きく頷いた。

 「はい…!過労で目が悪くなったんですね……!!気付いてあげられなくってごめんなさい。」

 「なんでそうなる。」

 ゼンのツッコミにアルカティーナは目を瞬かせ、そうか!と再び理解を示した。

 「そう、そうですよね。気が利かなくてごめんなさいゼン!明日は一日お休みをあげるから、城下町の眼科にでも行ってきて?」

 「だからなんでそうなるかな。」

 どうにもアルカティーナは自己評価が低すぎる。
ゼンは、深いため息をついた。
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