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幼少期編

これは…そう、発作です!

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 「私」の唯一の後悔は、大切な人達に嘘をつき続けていた事でした。
だから、「わたくし」は出来る限り嘘はつかないでおこうとは思っていたのですが……。

 それ以前にみたいです。

「いやいやいや、まずいですよ!どうしましょう…!嘘つけないなんて社交界では只の役立たずです!」
 「まあまあ。落ち着きなさいなティーナ」 
お母様はそう言って、涙目のわたくしをポムポム撫でてくれました。…むふふ、嬉しいです。
 お母様は頭を撫で撫でしながら優しく言いました。
 「いい?確かに嘘がつけないのは社交界においては致命的な欠陥よ?でもティーナ。貴方はまだ三歳。つまり、社交界に出るまであと九年も猶予があるのよ?」
 だから、その九年の間に何とかすれば良いのよ、と言われましたが、まぁ確かにそうですね。
と言うかそうしなければ本当にまずいですよ!
国一番の公爵家の令嬢が役立たずなんて笑えたもんじゃありません!!
 「そうですね…。お母様、わたくし頑張ります!」
胸の前でガッツポーズを決め込むと…
 「潤んだ瞳!上目遣い!!ガッツポーズっっ!!!あ、あぁ…リトル、マイ、エンジェル…!!!」
お母様が急に意味不明なことを言ってバタリと床に倒れました。

 ……え?

 「お母様っっ⁉︎どうしたのですか?まさかご病気…?あっ!そうだ、人を呼ばないと…。ティル!ティルー!」
わたくしの悲鳴じみた声に慌てて「どうかなさったのですか⁉︎⁉︎」と駆けつけたティルに、
 「助けてティル!お母様が!」
と叫ぶとティルはスッとわたくしから目線を横にずらし、お母様を一瞥します。
 ティルはお母様を目に止めるとニッコリと微笑んだ。
えっ?何で笑ってるのですか??
お母さんが倒れたのに…。
ティルは笑顔のままツカツカとやって来て、お母様の首根っこをグワシッ!と掴むと…って、え?お母様、猫扱いされてませんか?わたくし、ティルがナノをああやって掴んでたの見たことあるんですけど…
 「ご安心くださいませお嬢様。奥様は私が責任をもってお運びしますので。」
 「ありがとうございますティル!でも、お母様大丈夫でしょうか…。」
 「ふふっ…お嬢様は本当にお優しい。あぁ、奥様は大丈夫ですよ?これは…そう、発作です!」
 「発作⁉︎⁉︎大丈夫じゃないですよそれ!!」
結局、お母様はティルに首根っこを掴まれたまま、ズルズル引きずられていきました。
 発作の人を引き摺っても大丈夫なものなんでしょうか。ティルが鼻で笑って「大丈夫です、大丈夫です」と言っていたし、大丈夫なのだとは思いますけど。

 楽しみにしていた聖霊さんのお勉強は中止となりました。ショックです…。
 でもそれ以上にお母様が心配です。
早く良くなってくださいねお母様!!
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