上 下
1 / 189
一章

始まり

しおりを挟む
 
「アルフレッド。お前を廃嫡する。以後、我が家門を名乗ってはならぬ」

 その日、私は実の父からそう告げられた。
 その声は叫んだわけではない普通に話す程度の言葉。だが、そのことが場、私にはやけに大きく響いたように聞こえた。

「……ち、父上。それは、どのような冗談で?」

 父の言葉に、かろうじてそれだけを返すことができた。だが……

「冗談などではない。そのことは理解していよう?」

 私の言葉に返ってきたのは私の言葉に対する肯定ではなく、否定。
 それはつまり、先ほどの言葉はそのままの意味であり、その言葉が意味するところは……私の……。

 こうなることは前もって伝えられていたし、この世界と自身の状況を認識してってからはこうなる可能性も考慮していた。
 だがそれでも、そうはならないでほしい。嘘であってほしいと願い続けていた。

「我がトライデンは『王国の守護者』と呼ばれている。そして、代々当主が使う魔創具は、我が家名が示すように——このトライデントだ」

 父はそう言いながら右手を薙ぎ払うように動かした。
 それだけであればただ空気が動く程度の結果で終わっただろう。だが、そうではない。
 父が腕を振ったのに合わせて、先ほどまでは存在していなかった先端が三叉に分かれた槍——トライデントが私の眼前に突きつけられていた。

 突如現れた槍の正体。それは『魔創具』と呼ばれるもの。
 魔創具とは、魔法の素養がある者が自身の体に紋様を刻むことで専用の道具を生成する秘術によって生み出した道具のことを言う。
 その紋様で生み出すものはただの物質ではなく、魔法の効果が込められている特殊な道具となる。炎を放つ剣、どんなことをしても砕けない盾、肉体を極限まで強化する鎧など様々だ。珍しいところでは考えた通りの文字を自動で書くペンや、描いた設計図通りの建物を建てる紙などもある。

 魔創具は武具とは限らず色々あるが、その効果は紋様に籠められた魔法によって変わる。
 故に強力な、あるいは有用な魔創具を作るために紋様は各家門で代々研究され、引き継がれてきた。

 父の手にしているこのトライデントもそう。トライデン家と呼ばれる我が家が何代も世代を重ね、その末にたどり着いた秘伝の武具。
 本来であれば、私も次期当主としてその紋様を刻み、トライデントを生成することができるようになるはず〝だった〟のだが……

「だが、お前のそれはなんだ? フォークだと?」

 そう。私は魔創具を生成するための紋様を刻む儀式にて失敗し、『トライデント』ではなく『フォーク』を生成する紋様を刻んでしまった。

「ああ、確かに先端が三叉に分かれた金属製の道具だ。なるほど、特徴だけでいえば間違いではないな。——馬鹿にしているにも程がある。そのようなもので『守護者』を名乗ることができるはずもなかろう」

 我がトライデン家は代々王国の守護者として名を轟かせてきた。その勇名は国内だけではなく他国にも轟き、我が家があるからこそ戦争が抑えられているとすら言われるほど。
 そして、それは全て代々受け継いだトライデントのおかげでもある。

 だから、そんなトライデントを使用することができないのであれば、父の言うことも理解できる。できるが、やはり受け入れることはできない。いや、したくなかった。

「ですがっ! これは事故でっ……! それに、ここに込められた効果は想定通りの——」

 そもそも、私がトライデントの紋様を刻むミスなどを犯したのは、儀式の最中に事故が起こったからである。そのため、わずかに線をずらしてしまい、効果が歪んでフォークなどと言う形になってしまった。
 だが、変わったのは形だけで、そこに籠められた効果はなんら変わりない。むしろ、父が使用しているものにさらに研究を重ねたものであり、〝異界の知恵〟すらも籠めたのだから、私の魔創具の方が効果は高い。

「黙れ。これは決定だ。すでに、お前の代わりの養子は見つけてある」

 だがそれでも父は私のことを認めず、言葉を遮りそう告げてきた。

「もう一度だけ言う。今後、お前はトライデンの名を名乗ることを禁ずる。せめてもの情けだ。一週間やろう。その間に準備を整え、出て行け」

 そうして、私は……俺は、二度目の人生の生家を追い出されることとなった。

 ——◆◇◆◇——

「はっ! この雑魚が。ダイン魔法熱力学書の物理的炎と魔法的炎の相違点すら理解していないのに火炎系統の術をまともに放てるわけがないだろうが。調子に乗るのは構わないが、せめてそれだけの実力を備えてからにすべきだったな」

 学園にある訓練場の一角で、私は目の前で息を切らせながら膝をついている少年に向かって言葉を叩きつける。

「これに懲りたら、身の丈に合わぬ魔法など使おうとするな。貴様には才能がないのだ。挑戦してみたらできたなどという奇跡を求めるな。他者に自慢をできるほど強くなどないくせに、研鑽を忘れるなど、愚かすぎて笑い話にもならん」

 私の言葉に悔しそうに唇を噛みながらこちらを見上げてくる少年だが、睨み返すことで黙らせる。

「……ありがとう、ございました」

 悔しそうにしながらも、出てきた言葉は感謝の言葉だった。
 その言葉に何か返事をするでもなく、私はその少年に背を向け、従者を伴って訓練場を去っていく。

「——そこの愚物ども。こっちに来い」

 寮の自室へと戻る道中、たまたま目についた者どもがいたので呼びつける。

「はあ? んだてめえ——は?」
「トライデン!? なんでここに!」

 声をかけてきたのが私だと理解するなり、その三人組は驚きのあまり目を見開き、悲鳴のように声を出した。

「来いと言ったのが聞こえなかったか?」
「ま、待ってください! 俺たちはあなたに何もしていないじゃないですか!」

 公爵家の嫡男である私が声をかけたにも関わらず、驚いた様子を見せるだけで言葉に従おうとしない下級の生徒達は後退りしながら反論してきた。

 私には何もしていない、か。確かにその通りかもしれん。だが、それはお前達の主観だろう?

「視界に入ったではないか」
「は? そ、それだけで?」
「それだけだと? 公爵家の次期当主である俺の視界に入り、気分を害させたのだ。それは罪であるとは思わないか?」

 貴族の視界に入ったからというだけで平民が殺されることなど、よくあることだ。
 その見た目が気に入らない。態度が気に入らない。むしゃくしゃする気持ちを鎮めるための八つ当たり先が欲しかった。ただなんとなく。
 そんな理由でお前達もやってきたことのはずだ。それが今度は自分の番になったというだけのことだろうに。

 因果応報というものだ。と考えながら三人組へと炎の魔法を放ち、三人組の体は炎に包まれた。炎に包まれたといっても、死ヌほどの熱ではない。ただ、全身に軽い火傷を負わせる程度のもの。まあ服は萌えるかもしれないが、あの者らの家であればすぐに替えを用意することができるだろう。

「害するなとは言わん。だが、鬱陶しい。俺の目や耳に入れば〝こう〟なるのだと理解しておけ」

 魔法を使い、攻撃したことで多少は満足した私は、その場に〝四人〟を残して去ることにした。

「アルフレッド様……」

 だが、その帰り道。三人組を処理してから数十メートルほど歩いた先で、背後から声がかけられた。
 振り返った先には、見覚えのある美しい少女の姿があった。
 全生徒共通の服装である制服を着ているにも関わらず、他とは一線を画した美しさを感じさせるこの少女は……

「これは、ミリオラ王女殿下。本日もお美しいお姿を拝見できて光栄です」

 この国の王女であり、トライデン公爵家の次期当主たる私の婚約者である『ミリオラ・オル・エルドラーシュ』様。
 その側には、彼女の護衛役という名目で、数人の女性騎士と、一人の男子生徒が侍っていた。

 通常この学園では従者のような部外者は禁止だが、相手は立場が立場だ。王族をなんの護衛もなしに歩かせるわけがない。
 そして、それは高位貴族である私にも適用される。事実、先ほどから私の背後には一人の女性が従者としてついてきている。
 もっとも、その数は一人だけと、王族に比べれば少ないものではあるが。

「ありがとうございます。それよりも……先ほどのはどういったことでしょうか?」
「先ほどの、とは?」
「他の生徒に暴力を振るっていたことについてです」

 婚約者とはいえど、普段はあまり仲良くお話をする、という関係ではないのでなぜ話しかけてきたのかと思ったら、どうやら先ほどの光景を見られていたようだ。

 しかし……さて、なんと答えたものか。素直に話すわけにはいかず、かといってこの様子では誤魔化したところで、な……。

「暴力など、そのようなものは決して」

 わずかな時間ではあったが、考えを巡らせ、結局誤魔化すのが最善だと判断し、とぼけることにした。婚約者であるとはいえ、流石にこの状況で先ほどのことについて話すつもりはない。

「惚けないでください! 先ほどの生徒達もそうですが、その前の生徒にも、その努力を貶すような暴言を吐き、否定していたではありませんか!」

 私が惚けると、次は先ほどの三人組の前にあった生徒との模擬戦について話が移っていった。
 ここは人通りが少ないとはいえ、王女である彼女が声を荒らげるのはいかがなものかと思うが、それだけ不満が溜まっていたのだろう。

「いいえ。あれは暴言ではなく、助言ですよ。身の丈に合わぬ努力など、努力とは言えませんので。分相応のことをすべきでしょう。と、そう申しただけです」
「それが暴言だと言っているのです! なぜ他者の努力を否定するのですか!」
「ですから、努力の否定はしておりませんよ。ええ、努力する。そのこと自体は素晴らしいことですから」

 貴族が婚約者に向けるに相応しい笑みを浮かべながら答えた。

「っ……! そう、ですか」
「殿下?」
「少々気分が悪くなりましたので、失礼させていただきます」

 だが、そんな私の態度が気に入らなかったようで、ミリオラ殿下は側付き達を引き連れてどこかへと行ってしまった。

「ミリオラ王女も、いい加減王族に相応しい振る舞いを身につけていただければ良いのだがな……」

 王族に対する言葉としては失礼であると理解しながらも、『俺』はそう口にしてからため息を吐き出した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

鬼神の刃──かつて世を震撼させた殺人鬼は、スキルが全ての世界で『無能者』へと転生させられるが、前世の記憶を使ってスキル無しで無双する──

ノリオ
ファンタジー
かつて、刀技だけで世界を破滅寸前まで追い込んだ、史上最悪にして最強の殺人鬼がいた。 魔法も特異体質も数多く存在したその世界で、彼は刀1つで数多の強敵たちと渡り合い、何百何千…………何万何十万と屍の山を築いてきた。 その凶悪で残虐な所業は、正に『鬼』。 その超絶で無双の強さは、正に『神』。 だからこそ、後に人々は彼を『鬼神』と呼び、恐怖に支配されながら生きてきた。 しかし、 そんな彼でも、当時の英雄と呼ばれる人間たちに殺され、この世を去ることになる。 ………………コレは、そんな男が、前世の記憶を持ったまま、異世界へと転生した物語。 当初は『無能者』として不遇な毎日を送るも、死に間際に前世の記憶を思い出した男が、神と世界に向けて、革命と戦乱を巻き起こす復讐譚────。 いずれ男が『魔王』として魔物たちの王に君臨する────『人類殲滅記』である。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

お持ち帰り召喚士磯貝〜なんでも持ち運び出来る【転移】スキルで異世界つまみ食い生活〜

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ひょんなことから男子高校生、磯貝章(いそがいあきら)は授業中、クラス毎異世界クラセリアへと飛ばされた。 勇者としての役割、与えられた力。 クラスメイトに協力的なお姫様。 しかし能力を開示する魔道具が発動しなかったことを皮切りに、お姫様も想像だにしない出来事が起こった。 突如鳴り出すメール音。SNSのメロディ。 そして学校前を包囲する警察官からの呼びかけにクラスが騒然とする。 なんと、いつの間にか元の世界に帰ってきてしまっていたのだ! ──王城ごと。 王様達は警察官に武力行為を示すべく魔法の詠唱を行うが、それらが発動することはなく、現行犯逮捕された! そのあとクラスメイトも事情聴取を受け、翌日から普通の学校生活が再開する。 何故元の世界に帰ってきてしまったのか? そして何故か使えない魔法。 どうも日本では魔法そのものが扱えない様で、異世界の貴族達は魔法を取り上げられた平民として最低限の暮らしを強いられた。 それを他所に内心あわてている生徒が一人。 それこそが磯貝章だった。 「やっべー、もしかしてこれ、俺のせい?」 目の前に浮かび上がったステータスボードには異世界の場所と、再転移するまでのクールタイムが浮かび上がっていた。 幸い、章はクラスの中ではあまり目立たない男子生徒という立ち位置。 もしあのまま帰って来なかったらどうなっていただろうというクラスメイトの話題には参加させず、この能力をどうするべきか悩んでいた。 そして一部のクラスメイトの独断によって明かされたスキル達。 当然章の能力も開示され、家族ごとマスコミからバッシングを受けていた。 日々注目されることに辟易した章は、能力を使う内にこう思う様になった。 「もしかして、この能力を金に変えて食っていけるかも?」 ──これは転移を手に入れてしまった少年と、それに巻き込まれる現地住民の異世界ドタバタコメディである。 序章まで一挙公開。 翌日から7:00、12:00、17:00、22:00更新。 序章 異世界転移【9/2〜】 一章 異世界クラセリア【9/3〜】 二章 ダンジョンアタック!【9/5〜】 三章 発足! 異世界旅行業【9/8〜】 四章 新生活は異世界で【9/10〜】 五章 巻き込まれて異世界【9/12〜】 六章 体験! エルフの暮らし【9/17〜】 七章 探索! 並行世界【9/19〜】 95部で第一部完とさせて貰ってます。 ※9/24日まで毎日投稿されます。 ※カクヨムさんでも改稿前の作品が読めます。 おおよそ、起こりうるであろう転移系の内容を網羅してます。 勇者召喚、ハーレム勇者、巻き込まれ召喚、俺TUEEEE等々。 ダンジョン活動、ダンジョンマスターまでなんでもあります。

かつてダンジョン配信者として成功することを夢見たダンジョン配信者マネージャー、S級ダンジョンで休暇中に人気配信者に凸られた結果バズる

竜頭蛇
ファンタジー
伊藤淳は都内の某所にあるダンジョン配信者事務所のマネージャーをしており、かつて人気配信者を目指していた時の憧憬を抱えつつも、忙しない日々を送っていた。 ある時、ワーカーホリックになりかねていた淳を心配した社長から休暇を取らせられることになり、特に休日に何もすることがなく、暇になった淳は半年先にあるS級ダンジョン『破滅の扉』の配信プロジェクトの下見をすることで時間を潰すことにする. モンスターの攻撃を利用していたウォータースライダーを息抜きで満喫していると、日本発のS級ダンジョン配信という箔に目が眩んだ事務所のNO.1配信者最上ヒカリとそのマネージャーの大口大火と鉢合わせする. その配信で姿を晒すことになった淳は、さまざまな実力者から一目を置かれる様になり、世界に名を轟かす配信者となる.

若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双

たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。 ゲームの知識を活かして成り上がります。 圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。

転生令嬢の食いしん坊万罪!

ねこたま本店
ファンタジー
   訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。  そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。  プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。  しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。  プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。  これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。  こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。  今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。 ※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。 ※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

処理中です...