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王国との戦争
288ー裏:クリスティア王女1
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毒を喰らって倒れた王女様のお話です。
__________
私は部屋の外から感じる騒がしさを感じて目を覚ましました。
顔だけを動かしてゆっくりと部屋の中を見回すと、そこには一人のメイドが居るだけで、他には誰もいません。
いつも通りの寂しい部屋。それはこんな状況でも変わらないみたいです。いえ、こんな状況だからでしょうか?
こんな状況──。
私は外から感じる慌ただしさの原因を知っています。
基本的に私はこのベットの上から動けず寝たきりですが、これでも王女です。
それに全く人と話さないというわけではないのですから、何も知らないわけではないのです。
「こほっこほっ!」
どうにかしなきゃ。これは自分が果たすべき役割だ。
そう思って体を起こそうとしましたが、まったくと言っていいほどに力が入りません。それどころか、体を動かそうと力を入れると、それだけで全身に酷い痛みが走ります。
「姫さま!」
咳の音に反応した侍女が、私が動こうとしているのに反応して駆け寄ってきます。
「何をされているのですか! 大人しくしていなければなりません!」
「廊下が、騒がしいので、気に、なったのです」
「……申し訳ありません。後ほど注意しておきます。ですから姫さまはゆっくりとお休みくだ──」
「戦争が、始まったの、ですよね」
私に言葉を遮られた侍女は私を寝かせつけようとしていた手が止まり、驚愕により大きく見開かれたその目は、何故知っているのかと問うかのように私を見ていました。
「分かりますよ。それくらい」
私はそんな侍女の様子がおかしくて、くすりと笑おうとして、でもその途中で感じた全身の痛みによって失敗しました。
痛みによって顔を顰めてしまいましたが、仕方がないと割り切り今度は真剣な表情で侍女を見つめます。
「だから、私は行かなければ、ならないのです。廊下の騒がしさも、私が居ないから、起きている事なのでしょう?」
言葉を吐くたびに全身を痛みが襲う。
そもそも、喋るどころか呼吸をするだけでも痛い。そのせいでここ最近は痛みの感じない日なんてなかった。
私は生まれつき体が弱かったのですが、これはそのせいで起こった病気というわけではありません。ではなんなのかと言われると、その原因なんてわかっている。
以前、大体一年半ほどでしょうか? その頃に毒を盛られてしまったのです。
その毒は特殊で、主治医の方に言わせるとその毒はとても複雑な構成をしていたみたいで、下手に手を加えればさらに悪化してしまう可能性があるらしく、何もできずにいるのが現状です。
お父様が言うにはひとつだけ方法はあるみたいですが、その方法はとても難しく、どれほど時間がかかるのか分からないような状況だそうです。
だとしても。国を襲っているものを退けるのが私の役目。王の娘として、ここで休んでいることなどできません。したくありません。
今行かなくて、いつ行くと言うのでしょうか。
「そんな体で何をすると、何ができるというのですが!」
「ですが、それでも行かなければ……」
そこで不意に私は言葉を止め部屋の扉の方へと視線を向けると、それを疑問に思った侍女も同じようにそちらを見ました。
突然扉の外が騒がしくなってきたのです。元々騒がしさを感じていましたが、これは誰かが部屋の外で言い争いをしているように感じました。
「誰か、きたのでしょうか?」
私がそう呟くと、まるで図っていたかのようなタイミングで乱暴に扉が開け放たれ誰かが入ってきました。
「ひ、姫さま!」
「止まれ!」
護衛でもあるメイドが何処から取り出したのか剣を取り出し、入って来た者へと突き付け誰何します。
ですが、その剣はすぐに下されました。
「……貴方は、ターニャ? なんで貴方がここに?」
「ひ、姫さま! 薬がっ! 薬が届きました!」
ターニャと呼ばれた彼女は問いに答える事なく、興奮した様子で大事そうに持っていた箱を差し出して来ました。
「なっ! 本当ですか!?」
メイドもその言葉を聞いてその手の中にある箱に食い入るように視線を向けます。
箱を開くと、中には赤い液体の入った小瓶がありました。
「……これが……よく、手に入りましたね」
お父様から聞いていた状況はかなり悪いものでした。だから手に入らないだろう。そう思っていたのですが、どうやったのかうまく交渉できた様です。
「あ……」
私は箱の中にあった薬にスッと手を伸ばし薬の封を開け、躊躇う事なく飲み干しました。
「姫さま! それが本物かどうか確認してないんですよ!?」
「何!? なぜそんなものを持ってきた!」
「だ、だって、少しでも早く姫様にお知らせしたいと思ったら、自然とここに……」
「構いませんよ。どうせ、これが毒であったところで、今死ぬか後で死ぬかの、違いでしかありません。自身の役目を、果たす事ができず役に立てないのであれば、死んだところで問題などないでしょう」
私は王の娘です。なので、たとえまともに動く事もできず、なんの役に立てなかったとしてもいるだけで色々な費用がかかります。
そして、治らないとわかっていても治すための方法を探さなくてはならないのですから、そこにも余計な人とお金と時間がかかってしまいます。
そんな余計な存在は、いない方が国のためです。
「何を馬鹿なことを言っているのですか! その様な事があるわけがありません! 仮に問題がなかったとしても、姫さまが亡くなってしまえば多くのものが悲しみます! ですから、戯れであってもその様なことを言わないでください!」
「……そうですね。ごめんなさい」
謝ってからふと話した際の痛みがないことに気がつきました。それどころか、少し動くだけでも全身を襲っていた痛みまでもが消えています。
試しに腕を動かし、握ったり開いたりを繰り返してみるとかなりの痛みが感じられましたが、それでも動かせないわけではない。
「……本当に治ったのですね。まだ、多少の痛みなどはありますが、それでも動けないことはありませんね」
飲んだ直後にこれなのですから、時間が経てば完全に治るでしょう。
ならば、私のやるべきことは一つだけです。
「まさか、動かれるおつもりですか!? ダメです。良くなったとはいえ、まだ薬を飲んだばかりなのですから安静にしていなければなりません!」
「ええ、わかっていますよ。……ところで、お父様は如何されているかしら? 治ったわけですし、直接お会いして話をしたいのですけど……」
「陛下は戦争への対応でお忙しくされていますので直ぐに、というわけにはいかないかと」
「そうですか。……でしたらゼファー達を呼んでいただけますか?」
私は口元に手を当てて考え事をし、そして今までそんなことすらも出来なかったのにと思うと自然と笑みが溢れ、そんな笑みを浮かべたまま侍女に一つの頼み事をしました。
「それは構いませんが……如何されるのですか?」
「国境で戦っている者達に私の体が治ったと使いを出そうと思いまして。届くのがお父様が書かれた手紙よりも、私が直接の方が安心できるのではないですか?」
「そうですね。陛下も対策をされていた様ですが、姫さまからのお手紙をもらった方が喜ばれるでしょう。わかりました只今呼んできます。ですが、まだ治ったわけではありません。くれぐれも安静にお願いします」
メイドは私の言葉に納得すると頷き、薬を持ってきたターニャと共に部屋を出て行きました。
よかった。これでなんとかなりそうです。
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私は部屋の外から感じる騒がしさを感じて目を覚ましました。
顔だけを動かしてゆっくりと部屋の中を見回すと、そこには一人のメイドが居るだけで、他には誰もいません。
いつも通りの寂しい部屋。それはこんな状況でも変わらないみたいです。いえ、こんな状況だからでしょうか?
こんな状況──。
私は外から感じる慌ただしさの原因を知っています。
基本的に私はこのベットの上から動けず寝たきりですが、これでも王女です。
それに全く人と話さないというわけではないのですから、何も知らないわけではないのです。
「こほっこほっ!」
どうにかしなきゃ。これは自分が果たすべき役割だ。
そう思って体を起こそうとしましたが、まったくと言っていいほどに力が入りません。それどころか、体を動かそうと力を入れると、それだけで全身に酷い痛みが走ります。
「姫さま!」
咳の音に反応した侍女が、私が動こうとしているのに反応して駆け寄ってきます。
「何をされているのですか! 大人しくしていなければなりません!」
「廊下が、騒がしいので、気に、なったのです」
「……申し訳ありません。後ほど注意しておきます。ですから姫さまはゆっくりとお休みくだ──」
「戦争が、始まったの、ですよね」
私に言葉を遮られた侍女は私を寝かせつけようとしていた手が止まり、驚愕により大きく見開かれたその目は、何故知っているのかと問うかのように私を見ていました。
「分かりますよ。それくらい」
私はそんな侍女の様子がおかしくて、くすりと笑おうとして、でもその途中で感じた全身の痛みによって失敗しました。
痛みによって顔を顰めてしまいましたが、仕方がないと割り切り今度は真剣な表情で侍女を見つめます。
「だから、私は行かなければ、ならないのです。廊下の騒がしさも、私が居ないから、起きている事なのでしょう?」
言葉を吐くたびに全身を痛みが襲う。
そもそも、喋るどころか呼吸をするだけでも痛い。そのせいでここ最近は痛みの感じない日なんてなかった。
私は生まれつき体が弱かったのですが、これはそのせいで起こった病気というわけではありません。ではなんなのかと言われると、その原因なんてわかっている。
以前、大体一年半ほどでしょうか? その頃に毒を盛られてしまったのです。
その毒は特殊で、主治医の方に言わせるとその毒はとても複雑な構成をしていたみたいで、下手に手を加えればさらに悪化してしまう可能性があるらしく、何もできずにいるのが現状です。
お父様が言うにはひとつだけ方法はあるみたいですが、その方法はとても難しく、どれほど時間がかかるのか分からないような状況だそうです。
だとしても。国を襲っているものを退けるのが私の役目。王の娘として、ここで休んでいることなどできません。したくありません。
今行かなくて、いつ行くと言うのでしょうか。
「そんな体で何をすると、何ができるというのですが!」
「ですが、それでも行かなければ……」
そこで不意に私は言葉を止め部屋の扉の方へと視線を向けると、それを疑問に思った侍女も同じようにそちらを見ました。
突然扉の外が騒がしくなってきたのです。元々騒がしさを感じていましたが、これは誰かが部屋の外で言い争いをしているように感じました。
「誰か、きたのでしょうか?」
私がそう呟くと、まるで図っていたかのようなタイミングで乱暴に扉が開け放たれ誰かが入ってきました。
「ひ、姫さま!」
「止まれ!」
護衛でもあるメイドが何処から取り出したのか剣を取り出し、入って来た者へと突き付け誰何します。
ですが、その剣はすぐに下されました。
「……貴方は、ターニャ? なんで貴方がここに?」
「ひ、姫さま! 薬がっ! 薬が届きました!」
ターニャと呼ばれた彼女は問いに答える事なく、興奮した様子で大事そうに持っていた箱を差し出して来ました。
「なっ! 本当ですか!?」
メイドもその言葉を聞いてその手の中にある箱に食い入るように視線を向けます。
箱を開くと、中には赤い液体の入った小瓶がありました。
「……これが……よく、手に入りましたね」
お父様から聞いていた状況はかなり悪いものでした。だから手に入らないだろう。そう思っていたのですが、どうやったのかうまく交渉できた様です。
「あ……」
私は箱の中にあった薬にスッと手を伸ばし薬の封を開け、躊躇う事なく飲み干しました。
「姫さま! それが本物かどうか確認してないんですよ!?」
「何!? なぜそんなものを持ってきた!」
「だ、だって、少しでも早く姫様にお知らせしたいと思ったら、自然とここに……」
「構いませんよ。どうせ、これが毒であったところで、今死ぬか後で死ぬかの、違いでしかありません。自身の役目を、果たす事ができず役に立てないのであれば、死んだところで問題などないでしょう」
私は王の娘です。なので、たとえまともに動く事もできず、なんの役に立てなかったとしてもいるだけで色々な費用がかかります。
そして、治らないとわかっていても治すための方法を探さなくてはならないのですから、そこにも余計な人とお金と時間がかかってしまいます。
そんな余計な存在は、いない方が国のためです。
「何を馬鹿なことを言っているのですか! その様な事があるわけがありません! 仮に問題がなかったとしても、姫さまが亡くなってしまえば多くのものが悲しみます! ですから、戯れであってもその様なことを言わないでください!」
「……そうですね。ごめんなさい」
謝ってからふと話した際の痛みがないことに気がつきました。それどころか、少し動くだけでも全身を襲っていた痛みまでもが消えています。
試しに腕を動かし、握ったり開いたりを繰り返してみるとかなりの痛みが感じられましたが、それでも動かせないわけではない。
「……本当に治ったのですね。まだ、多少の痛みなどはありますが、それでも動けないことはありませんね」
飲んだ直後にこれなのですから、時間が経てば完全に治るでしょう。
ならば、私のやるべきことは一つだけです。
「まさか、動かれるおつもりですか!? ダメです。良くなったとはいえ、まだ薬を飲んだばかりなのですから安静にしていなければなりません!」
「ええ、わかっていますよ。……ところで、お父様は如何されているかしら? 治ったわけですし、直接お会いして話をしたいのですけど……」
「陛下は戦争への対応でお忙しくされていますので直ぐに、というわけにはいかないかと」
「そうですか。……でしたらゼファー達を呼んでいただけますか?」
私は口元に手を当てて考え事をし、そして今までそんなことすらも出来なかったのにと思うと自然と笑みが溢れ、そんな笑みを浮かべたまま侍女に一つの頼み事をしました。
「それは構いませんが……如何されるのですか?」
「国境で戦っている者達に私の体が治ったと使いを出そうと思いまして。届くのがお父様が書かれた手紙よりも、私が直接の方が安心できるのではないですか?」
「そうですね。陛下も対策をされていた様ですが、姫さまからのお手紙をもらった方が喜ばれるでしょう。わかりました只今呼んできます。ですが、まだ治ったわけではありません。くれぐれも安静にお願いします」
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