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もう一つの異世界召喚
ガルヴェーブの心情
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己の……というより、一族の過去を話したガルヴェーブは、話をしたその後、部屋を後にして長い廊下を歩いていた。過去といっても、先祖の先祖の……そのまた先祖の、昔の話である。
それでも先祖であることに代わりはなく、そして子孫である自分には、関わりがないなど口が避けても言えないことだ。
そう、口が避けても……関わりがないとは言えないし、本来なら誰にも話すことのなかったことだ。それがなぜ……ケンヤには、話してしまったのか。
なぜ……そうした疑問は、この数時間の間に何度だって浮かび、何度だって同じ答えで静めてきた。彼が異世界の人間だから? この世界に無知だから?
そう、それだけだ……だが、それだけで本当に、話をする必要があっただろうか。
……私は、なぜ……
「やぁガルヴェーブ、どうしたんだい一人で」
「!」
ふと、ガルヴェーブの背後から声をかけられる。これでも、魔力を察知する能力は高い方だが……気配を感じなかった己に不甲斐なさを感じる。それだけ、考え事に没頭していたということだろうか。
軽くため息をつきたくなる……のを内心で抑えつつ、振り向く。
「……サーズ」
「やぁ」
振り向いた先にいたのは、壁に寄りかかった一人の魔族。名をサーズと言う、女の魔族だ。彼女はガルヴェーブよりも頭一つ背が低く見た目は少女だが、その態度はとても大きく、敬語なんてものとは無縁の口調だ。
小生意気で、誰に対しても大きな態度を崩さない……そんな性格だ。思ったことを正直に言うその性格から、敵は多いが味方も結構多いのだ。
「なにか、用でも?」
「やぁ、用と言うほどでも。たまたまケンヤ殿の部屋から出てきたのが見えたから、あとを追ってきただけさ」
サーズがガルヴェーブに声をかけてきたのは、背後……つまりは、さっきケンヤの部屋から出てきた方角だ。だから、もしかしたら部屋から出るところを見られたかもしれない……その予感は、当たっていたようだ。
だが、それだけ。別に部屋でなにをしていたか、なにを話していたなんかはわからないはずだ。
ケンヤの部屋から出たこのタイミングで声をかけてきたのが少し疑問ではあるが。実は、部屋内の会話を気配を殺して聞いていたとか……あり得ない。
ガルヴェーブは、気配察知能力に優れている。それが、サーズほどの魔力の持ち主相手ならばなおさらだ。いくら気配を消しても、完全に消すことはできないし、部屋の付近にいたならば気づかないはずがない。
あの部屋には、周辺には、他に誰もいなかった。
「そう……用がないなら、これで……」
「おーっと待った待った。連れないこと言うなよ。せっかく会ったんだから話でもしようぜぇ、な?」
「……」
素っ気なく去ろうとするガルヴェーブを、サーズは正面に回ることで行く手を防ぐ。捕まってしまったと、ガルヴェーブは内心再びため息。
ガルヴェーブは、別にサーズが嫌いというわけではない。が、どうにも苦手なのだ……ぐいぐいと距離感を詰めてきて、こちらの内心を覗こうとする。それはこちらに後ろめたいことがある場合、下手に口を滑らせてしまいかねない。
とはいえ、サーズはなにも腹芸が得意なキャラではない。別にこちらの口を滑らそうなど考えてもいないし、鎌をかける、なんて高度なこともしないはずだ。
ガルヴェーブはついつい、あの話をした直後で身構えてしまうが……サーズに聞かれたわけでもなし。聞かれていたら、まずこのように距離を詰めてくることなく、ガルヴェーブの秘密を知ったと得意気にひけらかすはずだ。
「やぁ、しっかしまあ、あんたも物好きだねぇ。いくら次期魔王になる男とはいえ、人間に、それも異世界の奴に、ご執心とは」
「……は?」
「いやいや、別にあんたの趣味をどうこう言うつもりはねぇよ。同族だろうと、異世界の人間だろうと……」
「いや……ちょっと、待って……」
なんだ……いきなり、この小生意気魔族はなにを言っているのだ。ご執心? 趣味?
……どうやらサーズは、ガルヴェーブが異世界人にお熱で、足しげく部屋に通っている、と思ったらしい。あの話のことを考えていたガルヴェーブは、的外れな物言いに内心ほっとする。
「なにを、バカなことを言っているのですか。ケンヤ様は、次期魔王となるお方……それに、私が召喚したのです。私がお世話するのは、当然でしょう」
「ふーん。お世話っていうのは口実で、実は愛しい相手の側にいたいためじゃないの? あ、お世話ってもしかして夜の方も?」
……この子、こんなに下品だっただろうか。ケラケラと笑うサーズを、ガルヴェーブは冷たい視線で見下ろす。
だいたい、サーズが言うことなど、あり得ない。
「あり得ません。人間を恋愛対象として見るなど。確かに私は、外見は人間で言うところの二十代前後、ケンヤ様とそう変わりはありません。が、我々魔族は、中身は長い年月を経ています。そんな我々と、人間が……」
そう、魔族とは外見と中身の年齢は一致しない。それこそ、同じ姿で何十、何百の時を生きるのだ。
それはガルヴェーブも例外ではない。だから、あの一族の話は……もしかしたら、何千年という単位で、昔の話ではないのだろうか……
「やぁ、あり得ない、ねぇ。人間を対象として見ない……なら、同じ人間であるケンヤ殿も、対象として見るわけないよなぁ」
「……その通りです」
「なら、ちゃあんと言ってくれよ。ケンヤ殿のことは恋愛対象として見てないって」
そんなこと、簡単だ。ケンヤは敬うべき相手ではあっても、そういった浮わついた考えを持つ相手ではない。
そう、言おうとして……開いた口からは、なぜかなにも出てはこなかった。
「っ……」
「ぷっ。あはははっは! 悪い悪い、からかいすぎちまった。そもそも恋愛云々だの、どうしてそんなくそみたいな話題になったんだか」
お前が始めたんだろう、と思わず言いたくなるが、ガルヴェーブは必死に言葉を呑み込む。
「もう、いいですか。私も暇ではないので」
「ははは、あぁ。悪かったな引き留めて」
なんだったんだ、いったい……結局たいした話をすることもなく、サーズはガルヴェーブの道を開けた。彼女は悪いと言いつつ、悪気はなさそうだ。
……悪い子では、ないのだ。ただ、程度を知らないだけ。ただ、遠慮がないだけ。……ガルヴェーブは足を進め、サーズの横を通りすぎていく。
もしかして、ただ話をしたかっただけなのだろうか。その内容があれというのはいささか納得しにくいものがあるが、話をしたいだなんてかわいいところもあるではないか……そんな気持ちを、抱いていた。
「……」
そう思い始めたガルヴェーブから、警戒が消えていく……結局他愛もない話をしただけで、こちらが勝手に警戒していただけだと、その場を後にする。だから、気づけなかった。
遠ざかる、ガルヴェーブの背中……それを見つめながら、サーズが呟いたのを。その言葉の、内容を。
「ケンヤ殿への気持ち、それに……やぁ、いーいこと聞いちゃったなぁ」
それでも先祖であることに代わりはなく、そして子孫である自分には、関わりがないなど口が避けても言えないことだ。
そう、口が避けても……関わりがないとは言えないし、本来なら誰にも話すことのなかったことだ。それがなぜ……ケンヤには、話してしまったのか。
なぜ……そうした疑問は、この数時間の間に何度だって浮かび、何度だって同じ答えで静めてきた。彼が異世界の人間だから? この世界に無知だから?
そう、それだけだ……だが、それだけで本当に、話をする必要があっただろうか。
……私は、なぜ……
「やぁガルヴェーブ、どうしたんだい一人で」
「!」
ふと、ガルヴェーブの背後から声をかけられる。これでも、魔力を察知する能力は高い方だが……気配を感じなかった己に不甲斐なさを感じる。それだけ、考え事に没頭していたということだろうか。
軽くため息をつきたくなる……のを内心で抑えつつ、振り向く。
「……サーズ」
「やぁ」
振り向いた先にいたのは、壁に寄りかかった一人の魔族。名をサーズと言う、女の魔族だ。彼女はガルヴェーブよりも頭一つ背が低く見た目は少女だが、その態度はとても大きく、敬語なんてものとは無縁の口調だ。
小生意気で、誰に対しても大きな態度を崩さない……そんな性格だ。思ったことを正直に言うその性格から、敵は多いが味方も結構多いのだ。
「なにか、用でも?」
「やぁ、用と言うほどでも。たまたまケンヤ殿の部屋から出てきたのが見えたから、あとを追ってきただけさ」
サーズがガルヴェーブに声をかけてきたのは、背後……つまりは、さっきケンヤの部屋から出てきた方角だ。だから、もしかしたら部屋から出るところを見られたかもしれない……その予感は、当たっていたようだ。
だが、それだけ。別に部屋でなにをしていたか、なにを話していたなんかはわからないはずだ。
ケンヤの部屋から出たこのタイミングで声をかけてきたのが少し疑問ではあるが。実は、部屋内の会話を気配を殺して聞いていたとか……あり得ない。
ガルヴェーブは、気配察知能力に優れている。それが、サーズほどの魔力の持ち主相手ならばなおさらだ。いくら気配を消しても、完全に消すことはできないし、部屋の付近にいたならば気づかないはずがない。
あの部屋には、周辺には、他に誰もいなかった。
「そう……用がないなら、これで……」
「おーっと待った待った。連れないこと言うなよ。せっかく会ったんだから話でもしようぜぇ、な?」
「……」
素っ気なく去ろうとするガルヴェーブを、サーズは正面に回ることで行く手を防ぐ。捕まってしまったと、ガルヴェーブは内心再びため息。
ガルヴェーブは、別にサーズが嫌いというわけではない。が、どうにも苦手なのだ……ぐいぐいと距離感を詰めてきて、こちらの内心を覗こうとする。それはこちらに後ろめたいことがある場合、下手に口を滑らせてしまいかねない。
とはいえ、サーズはなにも腹芸が得意なキャラではない。別にこちらの口を滑らそうなど考えてもいないし、鎌をかける、なんて高度なこともしないはずだ。
ガルヴェーブはついつい、あの話をした直後で身構えてしまうが……サーズに聞かれたわけでもなし。聞かれていたら、まずこのように距離を詰めてくることなく、ガルヴェーブの秘密を知ったと得意気にひけらかすはずだ。
「やぁ、しっかしまあ、あんたも物好きだねぇ。いくら次期魔王になる男とはいえ、人間に、それも異世界の奴に、ご執心とは」
「……は?」
「いやいや、別にあんたの趣味をどうこう言うつもりはねぇよ。同族だろうと、異世界の人間だろうと……」
「いや……ちょっと、待って……」
なんだ……いきなり、この小生意気魔族はなにを言っているのだ。ご執心? 趣味?
……どうやらサーズは、ガルヴェーブが異世界人にお熱で、足しげく部屋に通っている、と思ったらしい。あの話のことを考えていたガルヴェーブは、的外れな物言いに内心ほっとする。
「なにを、バカなことを言っているのですか。ケンヤ様は、次期魔王となるお方……それに、私が召喚したのです。私がお世話するのは、当然でしょう」
「ふーん。お世話っていうのは口実で、実は愛しい相手の側にいたいためじゃないの? あ、お世話ってもしかして夜の方も?」
……この子、こんなに下品だっただろうか。ケラケラと笑うサーズを、ガルヴェーブは冷たい視線で見下ろす。
だいたい、サーズが言うことなど、あり得ない。
「あり得ません。人間を恋愛対象として見るなど。確かに私は、外見は人間で言うところの二十代前後、ケンヤ様とそう変わりはありません。が、我々魔族は、中身は長い年月を経ています。そんな我々と、人間が……」
そう、魔族とは外見と中身の年齢は一致しない。それこそ、同じ姿で何十、何百の時を生きるのだ。
それはガルヴェーブも例外ではない。だから、あの一族の話は……もしかしたら、何千年という単位で、昔の話ではないのだろうか……
「やぁ、あり得ない、ねぇ。人間を対象として見ない……なら、同じ人間であるケンヤ殿も、対象として見るわけないよなぁ」
「……その通りです」
「なら、ちゃあんと言ってくれよ。ケンヤ殿のことは恋愛対象として見てないって」
そんなこと、簡単だ。ケンヤは敬うべき相手ではあっても、そういった浮わついた考えを持つ相手ではない。
そう、言おうとして……開いた口からは、なぜかなにも出てはこなかった。
「っ……」
「ぷっ。あはははっは! 悪い悪い、からかいすぎちまった。そもそも恋愛云々だの、どうしてそんなくそみたいな話題になったんだか」
お前が始めたんだろう、と思わず言いたくなるが、ガルヴェーブは必死に言葉を呑み込む。
「もう、いいですか。私も暇ではないので」
「ははは、あぁ。悪かったな引き留めて」
なんだったんだ、いったい……結局たいした話をすることもなく、サーズはガルヴェーブの道を開けた。彼女は悪いと言いつつ、悪気はなさそうだ。
……悪い子では、ないのだ。ただ、程度を知らないだけ。ただ、遠慮がないだけ。……ガルヴェーブは足を進め、サーズの横を通りすぎていく。
もしかして、ただ話をしたかっただけなのだろうか。その内容があれというのはいささか納得しにくいものがあるが、話をしたいだなんてかわいいところもあるではないか……そんな気持ちを、抱いていた。
「……」
そう思い始めたガルヴェーブから、警戒が消えていく……結局他愛もない話をしただけで、こちらが勝手に警戒していただけだと、その場を後にする。だから、気づけなかった。
遠ざかる、ガルヴェーブの背中……それを見つめながら、サーズが呟いたのを。その言葉の、内容を。
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