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絶望の鑑定結果
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ステコとサーカから離れ、全身を襲う怠さに抗って歩みを進める俺は、ビャクヤをの後ろにいるカクイの後頭部を睨む。
「ウィングはあんたの愛弟子だったんだろ! それに、なんで白ローブを着てんだよ! お前は黒ローブの司祭だろ!」
この期に及んで善人を装う悪の司祭に、俺は怒りを抑える事ができなかった。
「・・・」
カクイは何も言わず、ただ被告席に立って前を見ている。
俺が憤っていると、シルビィさんの父親が金棒で床を叩いた。
「陛下の御前である。控えろ! 今のお前に発言権はない」
くそっ! と心の中で吐き捨てて、もどかしさで更に苛立つが、脳内の感情制御チップが珍しく作動した。
「失礼しました」
下唇を噛みながら、俺は一歩後ろに下がる。
「ウィング・ライトフットという者が、オビオにとってどれほど大事だったか、我々が知ることはない。それが今回の件と何か関係があるのかね?」
茶色い猫毛の小さな王は、冷たくそう言い、指だけを組んで椅子に深く座った。そして彼の目線は発言権の無い俺ではなく、ビャクヤに向いている。
「はぁい、陛下。これを御覧ください」
ビャクヤは無限かばんから、二本の短剣を取り出して見せると、王の盾が陛下を守るようにして彼の前に立った。そのリューロックの後ろで、シュラス国王は顔をヒョコヒョコと出して、こちらを覗いている。
「なんじゃ、その短剣は」
「存在消しの短剣です。効果は一度限りで、既にただの短剣と化しております。ご安心を」
メイジが盗賊の真似事をしてナイフを投げたところで当たりはしない。安心したのか、王の盾は定位置に戻った。
「それで?」
「これはかつて、ロケート団との戦いで、修道女の存在を消し去った短剣と同様のものかと。修道騎士メリィ殿曰く、姉のメリア殿がその存在を消されたと、聖騎士見習いのフラン殿が証言しております」
「サベリフェ家のフランが? それにメリア? はて? そんな修道女がおったかの?」
シュラス国王が左手を椅子の横へ差し出すと、裏側の一人が羊皮紙を渡して消えた。
丸まった羊皮紙を縦に広げ、王は「メリア、メリア」と名前を連呼しつつ、上から下まで見ている。どうやら騎士修道会の名簿のようだ。
「名前は無いのう」
「ここにおられるウィザードの皆様なら、このアイテムがどういった物かご存知かと思われますが、説明させて頂きます。これは刺した相手の存在を消す恐ろしい短剣です。即死や石化ではなく、存在そのものを消す極悪なる短剣。なので、名簿からメリア殿の名前が消えていて当然なのですよ、陛下」
「しかしじゃな、存在していないのに、どうしてメリアとやらを知っている者がおるんじゃ」
「縁の深かった者ほど、その存在を長く記憶していられるのです。聖騎士見習いのフラン殿は、メリア殿に憧れて聖職者の道を選びました」
「フランが憧れた修道女・・・」
聖騎士見習いとはいえ、その実力は聖騎士そのものと言って良い彼女が憧れた修道女は、相当な人物だ。シュラス陛下も重要人物だと気づき始めたように見える。
「存在消しの短剣は、オーガの自由騎士を消滅させる為に使われたのですが、メリア殿が庇って身代わりとなりました。そんな慈愛と献身に満ちた修道女を、樹族国は失ったのですよ? バトルコック団の司祭であるウィングも、この司祭のせいでッ!」
ビャクヤの言葉に、傍聴席から僧侶達の嘆きの声が聞こえてくる。
・・・ちょっと待てよ。今ビャクヤはなんつった? 修道女を樹族国は失ったと言ったぞ。そしてウィングも、と。
じゃあ何か? ウィングはあの短剣によって、存在を消されたって事か? なんで? それに効果を失った短剣は二つあるぞ。一つがメリィの姉を消した短剣なわけない。メリィの姉、メリアを消した短剣は、自由騎士が持っていってしまったはずだ。
自由騎士は神出鬼没。そう簡単には出会えない存在だ。この短期間で彼を探し出して、短剣を譲ってもらったとは思えないな。となるともう一つの短剣は誰に使われたんだ?
サーカやステコさんに詳細を訊くべきだったんだ・・・。この裁判で、俺が無意識だった時の内容がわかると思い、何一つ情報を頭に入れていない。
横に立つサーカを見たが、彼女も俺の考えに気づいたのか、視線を合わそうとはしてくれない。
「自由騎士、騎士修道会、英雄子爵の妹。誠実なるこの三者が関わるのであれば、その話の信憑性は高いじゃろう。が、やはり物的証拠は必要。ではこうしよう。モティの使者、グランデモニウム王国の闇魔女、そして上位鑑定の指輪を持つオビオが、この短剣を鑑定して、皆の前で情報を公開してもらう。どうじゃ?」
モティの使者は勿論、カクイの優位になる情報しか言わないだろうな。
イグナちゃんは、この為に樹族国に呼び出されたのか・・・。だが、イグナちゃんと俺なら、カクイの不利な情報を引き出せるはず。俺は先の戦いで実力値が32になった。なら上位鑑定の指輪が多くの情報を提供してくれるはずだ!
「異議あり!」
これまでずっと黙っていたモティの樹族が、シュラス国王を見つめて手を上げた。
「異議を認める。申せ」
使者は、手を上げた事でずり落ちた白ローブの袖を元に戻しながら、席を立った。
「この鑑定は樹族国にとってあまりに有利であります、陛下。闇魔女は我らが敵対視している存在なので、信用なりません。それに、カクイ司祭と戦ったそのオーガの料理人も、嘘をつく可能性があります」
「では対案を申せ」
「そこの大魔法使いビャクヤ殿の参加を願います」
シュラス国王陛下は首を捻っている。そりゃそうだろう。どちらかといえば、ビャクヤは俺たち側の立場。
「なぜ大魔法使い殿を指名する?」
モティの使者の腹の底を探ろうとする陛下の顔は、困惑に満ちていた。
そんな陛下を見て、使者は一瞬ニヤリと笑ってから、口を開く。
「大魔法使い殿は、遠い国から来た者。そして戦いの最後になって手を貸そうとはせず、見届人となる事を選びました。つまりは、第三者の視点で物事を見れますゆえ、選んだまでの事です」
それを聞いたビャクヤの仮面は無表情だ。しかし、俺はなんだか嫌な予感しかしない。この仮面のメイジ、裏切ったりしないだろうな?
いや、それはない。
以前、ビャクヤを視た時、彼が善人だった事を記憶している。そして、世界の裏でとてつもない戦いを繰り広げてきた真の英雄だって事も。
・・・信じるぞ。俺はビャクヤを信じる。証明してくれ! ウィングの存在を!
「それでは鑑定を始めぃ」
王の命令で、【鑑定】の魔法が使える三人はビャクヤの持つ短剣に近寄り、手をかざす。
真っ先に鑑定を止めたのは、モティの使者だった。その次にビャクヤ、イグナちゃん。
ビャクヤとイグナちゃんは繰り返し鑑定をしていたのか、手が何度も光っていた。
俺は意気揚々と指輪を右手にはめ、短剣を触って鑑定し、製作者と付魔師の名前を探って・・・。
――――左手で口を押さえつつ、嘔吐した。
脚に力が入らない。それは戦いでの披露からくるものではなく、精神的なものだ。今回は感情制御チップが作動してくれなかった。
すぐにメイドが現れて、俺の手と口を布で拭い、床を掃除して去っていく。
俺の異変に気づいた傍聴席の貴族たちが、静寂の中、結果を見守る。
「では、モティの使者から」
王の盾リューロック・ウォールの芯の通った低い声が法廷に響き渡る。
「この件に関してカク・カクイ司祭は関わりがありません」
「続いて大魔法使いビャクヤ殿」
「・・・製作者はカクイではありません」
「闇魔女イグナ殿」
「付魔師も同じく」
鼻でため息を付いてから、王の盾は暫く髭をなぞり、俺が証言出来る状態になるまで待ってくれた。
「では、バトルコック団のオビオ。短剣の製作者、付魔師、最後の所有者の名を証言せよ」
俺は悔しくて、眉間と鼻の横に皺を作りながら、涙を零した。
「うぐぅ。・・・短剣の製作者は、ドワーム・ステインフォージ、付魔師はダイ・ダイア、そして最後の所有者もダイ・ダイアです」
最後の所有者は本来ならば、短剣の使用者であるカク・カクイのはず。なのに! 誰だ! ダイ・ダイアって!
すまない、ウィング。
俺は何もしてやれなかった・・・。
「うわぁぁぁ! くそ! くそ! お前の仇を討てなかった!」
俺は皆の前で、子供のように泣いてしまった。床を何度も叩いて。
「オビオを立たせろ、ステコ・ワンドリッター」
王の盾が静かにそう言うと、ステコさんが俺の背中を優しく叩いて、陰気な声で囁いた。
「まだ裁判は終わっていない」
ソラスに似た声だが、ステコさんの声は深いところに優しさを感じる。
そうだ・・・。公の場で恥ずかしい事をしてしまった。俺は急いで涙をハンカチで拭く。
「すみません、ステコさん」
「よい。それに・・・」
――――ドゴーン!!
「うわぁぁ!」
外の廊下が騒がしい。近衛兵達の悲鳴が聞こえる。
バン! と大扉を開いて入ってきたのは、顔を真赤にして肩で息をするメリィと、ムクを抱いたまま片手で近衛兵を投げ捨てたトウスさんだった。
そして最後に入ってきたのは「俺は何もやってないよ?」という顔で後ろ手を組み、口笛を吹くピーターである。
「な?」
何が「な?」なのかはわからないが、ステコさんがニヤリと笑って、俺の肩を叩いた。
「ウィングはあんたの愛弟子だったんだろ! それに、なんで白ローブを着てんだよ! お前は黒ローブの司祭だろ!」
この期に及んで善人を装う悪の司祭に、俺は怒りを抑える事ができなかった。
「・・・」
カクイは何も言わず、ただ被告席に立って前を見ている。
俺が憤っていると、シルビィさんの父親が金棒で床を叩いた。
「陛下の御前である。控えろ! 今のお前に発言権はない」
くそっ! と心の中で吐き捨てて、もどかしさで更に苛立つが、脳内の感情制御チップが珍しく作動した。
「失礼しました」
下唇を噛みながら、俺は一歩後ろに下がる。
「ウィング・ライトフットという者が、オビオにとってどれほど大事だったか、我々が知ることはない。それが今回の件と何か関係があるのかね?」
茶色い猫毛の小さな王は、冷たくそう言い、指だけを組んで椅子に深く座った。そして彼の目線は発言権の無い俺ではなく、ビャクヤに向いている。
「はぁい、陛下。これを御覧ください」
ビャクヤは無限かばんから、二本の短剣を取り出して見せると、王の盾が陛下を守るようにして彼の前に立った。そのリューロックの後ろで、シュラス国王は顔をヒョコヒョコと出して、こちらを覗いている。
「なんじゃ、その短剣は」
「存在消しの短剣です。効果は一度限りで、既にただの短剣と化しております。ご安心を」
メイジが盗賊の真似事をしてナイフを投げたところで当たりはしない。安心したのか、王の盾は定位置に戻った。
「それで?」
「これはかつて、ロケート団との戦いで、修道女の存在を消し去った短剣と同様のものかと。修道騎士メリィ殿曰く、姉のメリア殿がその存在を消されたと、聖騎士見習いのフラン殿が証言しております」
「サベリフェ家のフランが? それにメリア? はて? そんな修道女がおったかの?」
シュラス国王が左手を椅子の横へ差し出すと、裏側の一人が羊皮紙を渡して消えた。
丸まった羊皮紙を縦に広げ、王は「メリア、メリア」と名前を連呼しつつ、上から下まで見ている。どうやら騎士修道会の名簿のようだ。
「名前は無いのう」
「ここにおられるウィザードの皆様なら、このアイテムがどういった物かご存知かと思われますが、説明させて頂きます。これは刺した相手の存在を消す恐ろしい短剣です。即死や石化ではなく、存在そのものを消す極悪なる短剣。なので、名簿からメリア殿の名前が消えていて当然なのですよ、陛下」
「しかしじゃな、存在していないのに、どうしてメリアとやらを知っている者がおるんじゃ」
「縁の深かった者ほど、その存在を長く記憶していられるのです。聖騎士見習いのフラン殿は、メリア殿に憧れて聖職者の道を選びました」
「フランが憧れた修道女・・・」
聖騎士見習いとはいえ、その実力は聖騎士そのものと言って良い彼女が憧れた修道女は、相当な人物だ。シュラス陛下も重要人物だと気づき始めたように見える。
「存在消しの短剣は、オーガの自由騎士を消滅させる為に使われたのですが、メリア殿が庇って身代わりとなりました。そんな慈愛と献身に満ちた修道女を、樹族国は失ったのですよ? バトルコック団の司祭であるウィングも、この司祭のせいでッ!」
ビャクヤの言葉に、傍聴席から僧侶達の嘆きの声が聞こえてくる。
・・・ちょっと待てよ。今ビャクヤはなんつった? 修道女を樹族国は失ったと言ったぞ。そしてウィングも、と。
じゃあ何か? ウィングはあの短剣によって、存在を消されたって事か? なんで? それに効果を失った短剣は二つあるぞ。一つがメリィの姉を消した短剣なわけない。メリィの姉、メリアを消した短剣は、自由騎士が持っていってしまったはずだ。
自由騎士は神出鬼没。そう簡単には出会えない存在だ。この短期間で彼を探し出して、短剣を譲ってもらったとは思えないな。となるともう一つの短剣は誰に使われたんだ?
サーカやステコさんに詳細を訊くべきだったんだ・・・。この裁判で、俺が無意識だった時の内容がわかると思い、何一つ情報を頭に入れていない。
横に立つサーカを見たが、彼女も俺の考えに気づいたのか、視線を合わそうとはしてくれない。
「自由騎士、騎士修道会、英雄子爵の妹。誠実なるこの三者が関わるのであれば、その話の信憑性は高いじゃろう。が、やはり物的証拠は必要。ではこうしよう。モティの使者、グランデモニウム王国の闇魔女、そして上位鑑定の指輪を持つオビオが、この短剣を鑑定して、皆の前で情報を公開してもらう。どうじゃ?」
モティの使者は勿論、カクイの優位になる情報しか言わないだろうな。
イグナちゃんは、この為に樹族国に呼び出されたのか・・・。だが、イグナちゃんと俺なら、カクイの不利な情報を引き出せるはず。俺は先の戦いで実力値が32になった。なら上位鑑定の指輪が多くの情報を提供してくれるはずだ!
「異議あり!」
これまでずっと黙っていたモティの樹族が、シュラス国王を見つめて手を上げた。
「異議を認める。申せ」
使者は、手を上げた事でずり落ちた白ローブの袖を元に戻しながら、席を立った。
「この鑑定は樹族国にとってあまりに有利であります、陛下。闇魔女は我らが敵対視している存在なので、信用なりません。それに、カクイ司祭と戦ったそのオーガの料理人も、嘘をつく可能性があります」
「では対案を申せ」
「そこの大魔法使いビャクヤ殿の参加を願います」
シュラス国王陛下は首を捻っている。そりゃそうだろう。どちらかといえば、ビャクヤは俺たち側の立場。
「なぜ大魔法使い殿を指名する?」
モティの使者の腹の底を探ろうとする陛下の顔は、困惑に満ちていた。
そんな陛下を見て、使者は一瞬ニヤリと笑ってから、口を開く。
「大魔法使い殿は、遠い国から来た者。そして戦いの最後になって手を貸そうとはせず、見届人となる事を選びました。つまりは、第三者の視点で物事を見れますゆえ、選んだまでの事です」
それを聞いたビャクヤの仮面は無表情だ。しかし、俺はなんだか嫌な予感しかしない。この仮面のメイジ、裏切ったりしないだろうな?
いや、それはない。
以前、ビャクヤを視た時、彼が善人だった事を記憶している。そして、世界の裏でとてつもない戦いを繰り広げてきた真の英雄だって事も。
・・・信じるぞ。俺はビャクヤを信じる。証明してくれ! ウィングの存在を!
「それでは鑑定を始めぃ」
王の命令で、【鑑定】の魔法が使える三人はビャクヤの持つ短剣に近寄り、手をかざす。
真っ先に鑑定を止めたのは、モティの使者だった。その次にビャクヤ、イグナちゃん。
ビャクヤとイグナちゃんは繰り返し鑑定をしていたのか、手が何度も光っていた。
俺は意気揚々と指輪を右手にはめ、短剣を触って鑑定し、製作者と付魔師の名前を探って・・・。
――――左手で口を押さえつつ、嘔吐した。
脚に力が入らない。それは戦いでの披露からくるものではなく、精神的なものだ。今回は感情制御チップが作動してくれなかった。
すぐにメイドが現れて、俺の手と口を布で拭い、床を掃除して去っていく。
俺の異変に気づいた傍聴席の貴族たちが、静寂の中、結果を見守る。
「では、モティの使者から」
王の盾リューロック・ウォールの芯の通った低い声が法廷に響き渡る。
「この件に関してカク・カクイ司祭は関わりがありません」
「続いて大魔法使いビャクヤ殿」
「・・・製作者はカクイではありません」
「闇魔女イグナ殿」
「付魔師も同じく」
鼻でため息を付いてから、王の盾は暫く髭をなぞり、俺が証言出来る状態になるまで待ってくれた。
「では、バトルコック団のオビオ。短剣の製作者、付魔師、最後の所有者の名を証言せよ」
俺は悔しくて、眉間と鼻の横に皺を作りながら、涙を零した。
「うぐぅ。・・・短剣の製作者は、ドワーム・ステインフォージ、付魔師はダイ・ダイア、そして最後の所有者もダイ・ダイアです」
最後の所有者は本来ならば、短剣の使用者であるカク・カクイのはず。なのに! 誰だ! ダイ・ダイアって!
すまない、ウィング。
俺は何もしてやれなかった・・・。
「うわぁぁぁ! くそ! くそ! お前の仇を討てなかった!」
俺は皆の前で、子供のように泣いてしまった。床を何度も叩いて。
「オビオを立たせろ、ステコ・ワンドリッター」
王の盾が静かにそう言うと、ステコさんが俺の背中を優しく叩いて、陰気な声で囁いた。
「まだ裁判は終わっていない」
ソラスに似た声だが、ステコさんの声は深いところに優しさを感じる。
そうだ・・・。公の場で恥ずかしい事をしてしまった。俺は急いで涙をハンカチで拭く。
「すみません、ステコさん」
「よい。それに・・・」
――――ドゴーン!!
「うわぁぁ!」
外の廊下が騒がしい。近衛兵達の悲鳴が聞こえる。
バン! と大扉を開いて入ってきたのは、顔を真赤にして肩で息をするメリィと、ムクを抱いたまま片手で近衛兵を投げ捨てたトウスさんだった。
そして最後に入ってきたのは「俺は何もやってないよ?」という顔で後ろ手を組み、口笛を吹くピーターである。
「な?」
何が「な?」なのかはわからないが、ステコさんがニヤリと笑って、俺の肩を叩いた。
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