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オビオのありがたみ
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「早く隠し扉を見つけろ。お前が輝ける時間は、今だけだろ」
ふん。普段は全く活躍しないくせに、得意分野でもグズグズしおって。
「うるさいなぁ。だったら、サーカも手伝えよ。岩の上で大股開きで座ってないでさぁ。俺からはパンツ丸見えだぞ? ウヒヒ。白かぁ。 下着は、髪と同じ色じゃないんだな?」
「貴様ーーッ!」
ぐきゅう! ピーターめッ! 私がこれ以上魔法を使えないとわかっているから、舐めた態度をとる。
「なぁ」
「なんだ! 獅子人!」
「オビオがここにいないとなると、明日の朝飯は誰が作るんだ?」
「一食ぐらい我慢できんのか? 大食らいの猫め!」
「なぜ食べないという選択肢、一択なんだい?」
「そうだよぉ! プンプン!」
「そこ、ウィングとメリィ。煩い!」
ふん。オビオが甘やかすから、バカタレ共は、食事こそ人生の楽しみと勘違いするようになったのだ。
「そこまで言うなら、今のうちに食材を集めて準備しておけばいいだろう。さぁ散れ」
「簡単に言うけどね、君ぃ。このしみったれた洞窟で、食材が見つかると思うかい?」
「私に言われてもな? 見つける見つけないは、お前ら次第だろう? 少々他力本願過ぎるのではないか?」
ウィングが黙った。
それはそうだろう。私はいつも正論しか言わないからな。ククク。
「わかったよ。取り敢えず適当に見つけてこようか」
不貞腐れたな? ウィングめ。本当に適当な物を持ってきたら、その時は怒鳴ってやろう。
皆、渋々だが食材探しに出かけたか。
私は、岩の上でゆっくりと休ませてもらう。何か文句を言われたら、その辺にある苔でも毟って、これが食材だと良い通せばいい。
「はぁ~」
まったく、湿気が酷いな。洞窟はこれだから嫌いなのだ。苔の上はフカフカだ。どれ横になろう。
「ん?」
天井にキノコが生えているぞ。あれは、確か・・・。オビオが料理に使っていたキノコだな。
キノコ・・・。あれは・・・。何キノコだったかな?
キノコといえば、オビオのアソコは大きかった・・・。あんなのが入ってきたら、私はどうにかなってしまうだろう。危ないブツを持ちおってからに。
馬鹿! 何を想像しているのだ、私は!
・・・そういえば、一度オビオと繋がりかけたな。熱り立つ奴の股間がもう少しで私の・・・。
ひっ! 卑猥な! さっきから変なことばかり思い出して! 恥を知れ、私!
「えぇい! 体を動かさんから、愚かな妄想をするのだ。あのキノコを採ることに集中しろ!」
石でもぶつけよう。
「そらっ!」
――――コン!
「生意気だぞ! キノコのくせに、当たらないとは! それ!」
――――ドン!
「フハハッ! 卑猥なオビオのキノコめ! 見事、退治してやった!」
よし、キノコを得た。これは中々どうして、上物のキノコだぞ。
魔法のトーチで照らして、異常はないかを確認しよう。
いいぞ。これを焼けば副菜ぐらいにはなるだろう。
――――うじうじうじうじうじ!
「ぎゃぁぁぁ!!」
キノコの傘にある管孔から、蛆虫が大量に頭を出している! こここ、こんなものを! オビオは我らに食わせていたというのか? ぎひぃぃぃ!!
う、蛆虫ごときで腰が抜けた・・・。
普段は幼児退行化でもしない限り、何が起きても平気なのに! ふにーーん!
「あれ? どうしたの? サーカ。さっきから一人で悲鳴あげて」
ピーターは人が弱っている時に、いつも現れるな。
そうだ。こいつにも、蛆虫うじうじを見せてやろう。
「いや、滑って尻もちをついただけだ。ところで、このキノコを見つけたのだが、どう思う?」
「ウホッ! 凄く・・・。大きいです・・・」
頬を染めるな、気持ちの悪い!
「もっとよく見てみろ。毒があるかどうか、私だけの判断では難しいのでな」
「わかった」
ピーターがキノコを手に取り、傘の裏を見た。
――――うじうじうじうじうじじい!
「すぎゃあああ!!」
「キャハーー! 愚か者! 蛆虫ごときで腰を抜かすとは、何事か!」
「うるさい! ちょっと驚いただけだよ! そういえば、サーカ。俺も食材を見つけたので、確かめてくれ」
「ふん、いいだろう。キノコ以上の食材でなければ、即捨てるからな」
ピーターは腰袋から、何かを鷲掴みにして出した。
――――ギチギチギチ!
「ギャヒーーー!」
カマドウマ! 沢山のカマドウマ! あわわわ。気持ち悪い! 腰の曲がり具合と、虎柄模様がキモい!
「てぇぇい!」
不浄なるピーターの手に天誅!
「あぅ! せっかく集めたのに!」
「誰が食うか! そんなものッ!」
「あのなぁ。お前ら」
なんだ、トウスめ。偉そうに腕を組みよって。
「俺達はよぉ、冒険者の中でもSランクなんだわ。英雄レベルが、何人も同じパーティにいるのは稀なんだぞ。そんな後人の手本になるべく俺らが、蛆虫やカマドウマにビビってどうすんだ?」
クッ! こいつは一部始終を見ていたのか。許せん。
私が反論しようとすると、どこからかズルズルと音がする。
「皆ぁ~、運ぶの手伝って~」
メリィか。何か大きな獲物を仕留めてきたようだな。
立ち上がって、メリィを見ると、何か白い物を押している。
「すわっ!!」
今度はトウスが叫んだ。なんだ?
「わぁぁ! そんなもの直ぐに捨てろ! メリィ!」
私は両手で追い返すような仕草をした。
「なんでよぉ。焼いたら美味しそうじゃない~」
「寄生虫がウネウネと出ているナメクジなんて! 誰が食べるかッ! 大体、そんなナメクジ、どこにいた!」
「天井に張り付いてたよぉ~?」
まさか! 天井にびっしり張り付いていたりしないか?
トーチを手に取り、天井を照らすも、巨大ナメクジはいなかった。
「くそっ! こんな事で、明日の食事がどうなるのか!」
くぅ。これだけは言いたくはなかったが・・・。思わず口から溢れ出てしまう・・・。
「オビオぉ・・・。早く帰ってきてくれ・・・。こんなグロテスクな食事はしたくない・・・」
今更ながら、オビオの有り難みがわかったような気がする。
ふん。普段は全く活躍しないくせに、得意分野でもグズグズしおって。
「うるさいなぁ。だったら、サーカも手伝えよ。岩の上で大股開きで座ってないでさぁ。俺からはパンツ丸見えだぞ? ウヒヒ。白かぁ。 下着は、髪と同じ色じゃないんだな?」
「貴様ーーッ!」
ぐきゅう! ピーターめッ! 私がこれ以上魔法を使えないとわかっているから、舐めた態度をとる。
「なぁ」
「なんだ! 獅子人!」
「オビオがここにいないとなると、明日の朝飯は誰が作るんだ?」
「一食ぐらい我慢できんのか? 大食らいの猫め!」
「なぜ食べないという選択肢、一択なんだい?」
「そうだよぉ! プンプン!」
「そこ、ウィングとメリィ。煩い!」
ふん。オビオが甘やかすから、バカタレ共は、食事こそ人生の楽しみと勘違いするようになったのだ。
「そこまで言うなら、今のうちに食材を集めて準備しておけばいいだろう。さぁ散れ」
「簡単に言うけどね、君ぃ。このしみったれた洞窟で、食材が見つかると思うかい?」
「私に言われてもな? 見つける見つけないは、お前ら次第だろう? 少々他力本願過ぎるのではないか?」
ウィングが黙った。
それはそうだろう。私はいつも正論しか言わないからな。ククク。
「わかったよ。取り敢えず適当に見つけてこようか」
不貞腐れたな? ウィングめ。本当に適当な物を持ってきたら、その時は怒鳴ってやろう。
皆、渋々だが食材探しに出かけたか。
私は、岩の上でゆっくりと休ませてもらう。何か文句を言われたら、その辺にある苔でも毟って、これが食材だと良い通せばいい。
「はぁ~」
まったく、湿気が酷いな。洞窟はこれだから嫌いなのだ。苔の上はフカフカだ。どれ横になろう。
「ん?」
天井にキノコが生えているぞ。あれは、確か・・・。オビオが料理に使っていたキノコだな。
キノコ・・・。あれは・・・。何キノコだったかな?
キノコといえば、オビオのアソコは大きかった・・・。あんなのが入ってきたら、私はどうにかなってしまうだろう。危ないブツを持ちおってからに。
馬鹿! 何を想像しているのだ、私は!
・・・そういえば、一度オビオと繋がりかけたな。熱り立つ奴の股間がもう少しで私の・・・。
ひっ! 卑猥な! さっきから変なことばかり思い出して! 恥を知れ、私!
「えぇい! 体を動かさんから、愚かな妄想をするのだ。あのキノコを採ることに集中しろ!」
石でもぶつけよう。
「そらっ!」
――――コン!
「生意気だぞ! キノコのくせに、当たらないとは! それ!」
――――ドン!
「フハハッ! 卑猥なオビオのキノコめ! 見事、退治してやった!」
よし、キノコを得た。これは中々どうして、上物のキノコだぞ。
魔法のトーチで照らして、異常はないかを確認しよう。
いいぞ。これを焼けば副菜ぐらいにはなるだろう。
――――うじうじうじうじうじ!
「ぎゃぁぁぁ!!」
キノコの傘にある管孔から、蛆虫が大量に頭を出している! こここ、こんなものを! オビオは我らに食わせていたというのか? ぎひぃぃぃ!!
う、蛆虫ごときで腰が抜けた・・・。
普段は幼児退行化でもしない限り、何が起きても平気なのに! ふにーーん!
「あれ? どうしたの? サーカ。さっきから一人で悲鳴あげて」
ピーターは人が弱っている時に、いつも現れるな。
そうだ。こいつにも、蛆虫うじうじを見せてやろう。
「いや、滑って尻もちをついただけだ。ところで、このキノコを見つけたのだが、どう思う?」
「ウホッ! 凄く・・・。大きいです・・・」
頬を染めるな、気持ちの悪い!
「もっとよく見てみろ。毒があるかどうか、私だけの判断では難しいのでな」
「わかった」
ピーターがキノコを手に取り、傘の裏を見た。
――――うじうじうじうじうじじい!
「すぎゃあああ!!」
「キャハーー! 愚か者! 蛆虫ごときで腰を抜かすとは、何事か!」
「うるさい! ちょっと驚いただけだよ! そういえば、サーカ。俺も食材を見つけたので、確かめてくれ」
「ふん、いいだろう。キノコ以上の食材でなければ、即捨てるからな」
ピーターは腰袋から、何かを鷲掴みにして出した。
――――ギチギチギチ!
「ギャヒーーー!」
カマドウマ! 沢山のカマドウマ! あわわわ。気持ち悪い! 腰の曲がり具合と、虎柄模様がキモい!
「てぇぇい!」
不浄なるピーターの手に天誅!
「あぅ! せっかく集めたのに!」
「誰が食うか! そんなものッ!」
「あのなぁ。お前ら」
なんだ、トウスめ。偉そうに腕を組みよって。
「俺達はよぉ、冒険者の中でもSランクなんだわ。英雄レベルが、何人も同じパーティにいるのは稀なんだぞ。そんな後人の手本になるべく俺らが、蛆虫やカマドウマにビビってどうすんだ?」
クッ! こいつは一部始終を見ていたのか。許せん。
私が反論しようとすると、どこからかズルズルと音がする。
「皆ぁ~、運ぶの手伝って~」
メリィか。何か大きな獲物を仕留めてきたようだな。
立ち上がって、メリィを見ると、何か白い物を押している。
「すわっ!!」
今度はトウスが叫んだ。なんだ?
「わぁぁ! そんなもの直ぐに捨てろ! メリィ!」
私は両手で追い返すような仕草をした。
「なんでよぉ。焼いたら美味しそうじゃない~」
「寄生虫がウネウネと出ているナメクジなんて! 誰が食べるかッ! 大体、そんなナメクジ、どこにいた!」
「天井に張り付いてたよぉ~?」
まさか! 天井にびっしり張り付いていたりしないか?
トーチを手に取り、天井を照らすも、巨大ナメクジはいなかった。
「くそっ! こんな事で、明日の食事がどうなるのか!」
くぅ。これだけは言いたくはなかったが・・・。思わず口から溢れ出てしまう・・・。
「オビオぉ・・・。早く帰ってきてくれ・・・。こんなグロテスクな食事はしたくない・・・」
今更ながら、オビオの有り難みがわかったような気がする。
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