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肉まん

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 俺はトウスさんがなんでウォークライを発動させたのかわからなかったが、皆のために料理を作り始めた。

 昼飯に皆が殺到してきた時は、マジで押しつぶされるかと思ったわ。昼飯食べた奴らからは「オビオのご飯最高!」つって崇め奉られるしよ・・・。

 行き届いてないのは、あと50人くらいか?

 トウスさんが、メッチャ皆を威嚇してくれてるから、料理しやすいわ~。

 肉多いし、ミンチにして肉まん作るか。大きな肉まんな!

 加速アクセラレーターを使えば、十分ぐらいで作れるか?

 ――――ウォォン!

 突然サイレンみたいな音が辺りに響いた。・・・町の外の平原にある守り人が哭いている!

「霧の魔物じゃ! 正体を確認するまで皆、待機!」

 辺境伯は使い魔の鳩を、街を守る高い壁にまで飛ばした。

 本来、ブラッド領のエリート達は、霧の魔物と戦う事を生き甲斐としている。ヒドラ星人は専門外。

「霧の魔物が気になるな」

 俺が揉みくちゃにされている時にニヤニヤしていたサーカが、バルコニーから館前に来てそう言う。

「ああ、そうだな。まぁ戦うかどうかは皆に任せる。ギルドから緊急依頼があるかもしれねぇし」

「オビオは後方支援か?」

「ミトンの効果をもうちょっと確かめたいからな」

 街の壁で直接敵を視認することはできねぇが、今俺が出来ることは一つ。料理を作って、お腹を空かした人に食わせる事!

 森から二機の鉄傀儡がやってきた。

「変な蛇人の殲滅完了~!」

 オネェ声が鉄傀儡から響く。

「おお? モッコスさんにミャロスさん!」

 あの頭部の形状は、絶対に俺が知っている二人だ。

「あらやだ! オビオちゃん!」

 ちゃん付けは止めろ。丸っこい頭部から戦車の砲身が伸びている機体は、オネェ樹族であるモッコスさんの専用機。

「ミャロミャロミャロ! 久しぶりだにゃ!」

 独特の笑い方と語尾が特徴的なミャロスさんは可愛い猫人だ。機体の頭部には猫耳が付いている。

「今、肉まん作ってんだけど、食っていく?」

「肉まん!」

 ミャロスさんが、機体のハッチを開けて、液体のように滑り出てきた。

「食うにゃ!」

「やだ、ミャロスは意地汚い。ごめんなさいね、オビオ」

 モッコスさんもハッチを開けて出てきた。歩くとガシャンガシャンと音が鳴る。

 二人とも生まれつき体に欠損があって四肢がない。義手と義足が必須で、移動するとそれが音を立てる。

「いいんですよ。二人増えたところで、殆ど変わりありませんから」

「んも~。相変わらずいい男ねぇ。・・・ひぇ! なにこの獅子人!」

 俺は慌てながら、周囲を威嚇するトウスさんに声をかけた。

「もういいよ、トウスさん。後は肉まんを蒸すだけだから」

「えっ?」

 トウスさんが、凄く驚いている。

 その理由が分からないので、俺も「えっ?」と返したが、暫くそのやり取りが続いたあと、場が有耶無耶になってしまった。

「とにかく、トウスさんも食べるだろ? 肉まん。肉人の肉まんだから再生効果があるよ!」

「うん? あぁ・・・。はて? どこで間違えた・・・」

 なんか独り言を言って、首をひねる獅子人が可愛い。猫科の可愛さ、ずるいぞ!

 ドスンドスンと遠くから、地響きが聞こえてくるが、ちょっと待ってほしい。もう少し遅く来てくれ、霧の魔物。そろそろ蒸し器の中の肉まんに火が通るからさぁ。

「できた!」

 地球から持ってきた蒸し器が大活躍だ。縦長に伸びて何段にもできるので、沢山の蒸し物が作れる。しかもどういう仕組かわからないが、蒸らしムラは無いときたもんだ。

「さぁ! 皆できたぞ! 肉人の肉まん! 熱々ジューシーだから気をつけて食ってくれよな!」
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