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闘技場跡地 2

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 当たり前だが、俺がどう足掻いてもダン・ムダンという豪傑臭をプンプンと漂わせる騎士に敵うわけはなく、木刀を体のあちこちにられている。

 そう。打ち込まれるのではなく当てられているのだ。技量の差が雲泥どころか宇宙と深海に沈むプランクトンの死骸並みに。

 闘技場に差し込む太陽光を青い鎧の飾り部分が反射する度に、木刀を俺の心臓やわき腹に当てるムダンさんの顔は期待外れといったものだった。

 というか料理人に武芸を期待するのはお門違いだぞ・・・。何を期待しているんだ、このオッサンは。

 樽のような体のどこに俊敏性を備えているのか、俺が本気になって(ムキになって)剣を振りまわしてもムダンさんは簡単に回避してしまう。

 時々視界に入るサーカは腕を組んで監督気取りだ。

「今の攻撃は盾で弾けただろう!ウスノロのオビオめ!」

 お前目線でそう言われても困るんだよ。と言い返したかったが、その余裕は全くない。41世紀地球人の優れた動体視力や反射神経をもってしても先を読まれて木刀を当てられる。

 ムダンさんは最後の一撃とばかりに俺の額を木刀の先で小突いた。

「あたっ!」

「ふむ、杞憂であったか・・・」

 俺が額を押さえてよろめいていると、向こうから樹族の騎士が大慌てで走り寄って来る。

「閣下!こんなところで何を!闘技場の者が半狂乱になって閣下をお探しになられておりましたぞ!」

「半狂乱になるほどか!ガハハ!すまん!闘技場が広すぎて途中ではぐれてしまったんじゃ。なので騎士の待機所で待っておったんじゃが・・・」

 閣下と呼ばれて嬉しそうな顔をして真っ先に振り向いたのがサーカだったが、自分の事ではないと知るといつもの仏頂面になった。

 いきなり現れた高級そうな鎧を着る騎士は、闘技場の警備をしている騎士のダン・ムダンに走り寄って跪く。なんだ?どういう事だ?どう見ても跪いている騎士の方がお偉いさんだろ。そういやムダンさんも闘技場跡地の警備を任されているにしては良い鎧着てるし・・・。

「あぁ!」

 そのタイミングでずっと何かを思い出そうとしていたピーターが手をポンと叩いた。

「そそそ、その人、ダン・ムダンなんて騎士じゃないよ!ムダン・ムダン侯爵本人だ!確かダンは家族内で使う愛称みたいなものだと魔法水晶のインタビューで見た事がある!」

 そう言うとピーターは素早く跪いた。こいつ意外と世渡りが上手いタイプか?

 跪かない俺達を見て、お付きの騎士らしき樹族が声を荒げた。

「控えおろう!この方はイストリアンの領主、ムダン・ムダン侯爵であるぞ!頭が高いわ!」

 侯爵って事はシルビィ様のお父さんと同じくらい偉いのか?よくわかんねぇけど取りあえず跪いておこう。

 最後まで立っていたのは意外にもサーカだった。驚き過ぎたのか呆けたまま突っ立っている。

 跪いて振り返る騎士の顔は怒りで赤い。

「貴様!」

「よい!オビオ達も楽にせい」

 楽にせいって言ってるけど、本当に楽にしたら無礼打ちにされるんでしょ?知ってるぞ。時代劇で見たからな。

「しかし、なぜ・・・ムダン侯爵様がこんな闘技場跡地に?」

 サーカは今頃になって慌てて跪くと、お付きの騎士がそれに答える。

「陛下はとある宿敵を追ってアルケディアに来ておるのだ。これ以上の詳細をお前たちが知る必要はない」

「いや、サーカ殿と・・・オビオ殿はウォール家に関わりのある者だ。話しても問題はあるまい」

 なんだ?語るのか?俺達に自分語りを始めるのか?ムダンさん。よくも闘技場警備の騎士を装って俺たちを騙してくれたな。・・・。でもコネを作れそうな予感。いいでしょう、聞きましょうか、ムダン侯爵閣下。(手のひらクルッ)

「長話になる。詰め所にで話そう」

 そう言うとムダン侯爵はさっきの部屋まで歩いて行った。




 詰め所に入ってムダン侯爵はソファーに座ると皆も座れと命令するのでそれぞれが適当な椅子やソファーに座る。

(詰め所にお茶か何かは・・・。無いな・・・。このまま話を聞くのも退屈な気もするし・・・。よし)

 サーカ達が座って話を聞く中、俺は紅茶を入れる事にした。亜空間ポケットから急須と紅茶を出す。

 侯爵の部下は最初は俺が良からぬ事をしようとしているのではないかとワンドを抜こうとしたが、侯爵がそれを止める。

「オビオ殿は料理人のオーガだ。茶でも入れてくれるのだろう。茶器を出した時点で察しろ、馬鹿者」

「ハッ!申し訳ありません」

 部下は頭を下げて侯爵の後ろに立った。まぁムダン侯爵を守るのが仕事だもんな。しゃあない。本当だったら大勢引き連れていてもおかしくないのに、警備しているのがこの人と闘技場跡地に何人かいる警備兵や騎士だけじゃピリピリもするわ。

 紅茶なのになぜ日本茶の急須を出しているのかというと、カップやティーサーバー等は試練の塔の野営地で紅茶を出した時に騎士達にプレゼントしてしまったからだ。

 初陣だった数人の騎士が記念に欲しいと頭を下げてきた時は流石に驚いたな。樹族はプライドが高くて格下相手に滅多に頭を下げない。しかも敵種族のオーガなら猶更だ。

 それなのに頭を下げて頼んでくるんだから断れねぇっつーの。

 トレーやマグカップなら沢山あったので幾らでもあげたのだが、やはり紅茶セットをあげてしまったのは勿体なかったか・・・。ワンセットぐらいは残しておくべきだったかもしれない。一緒に戦った仲間意識でついつい気前よくあげてしまったが・・・。俺、昔からこういうところあるな。気を付けないと・・・。

 仕方がないので日本茶のお茶セットで我慢してもらう。茶葉は樹族も大好きな紅茶だからいいだろ?イギリスから取り寄せた高級アールグレイなんだぞ?貰い物だけど。

 俺は熱が自動的に発生する急須を保温モードにして茶葉を適量入れた。そこに六甲の名水を沸かしたお湯を魔法瓶から注いで直ぐに蓋をして茶葉を躍らせる。二分ほど経ったら紅茶をスプーンでかき回して完成。日本茶を飲む小さな湯飲みに紅茶を人数分注いで侯爵に差し出した。辺りには柑橘系のいい香りが漂っている。

「ほう、ベルガモットの良い香りがするな。茶葉に香りを付けるという発想はなかったわい。若干邪道な気がしないでもないが・・・どれ」

 砂糖入れから角砂糖を摘まんで入れ、スプーンでかき混ぜた後、侯爵は紅茶を一口飲む。

「少々男臭かったこの部屋が、まるで柑橘系果物が生える夏の庭のように思えてくる。涼しい木陰のテーブルでこれを飲む自分がすぐに想像できたわい!爽やかな香りと軽めの口当たり。冷やして飲んでも美味そうではあるな。ダナス、お前も飲んでみろ。そしてアルケディア城であの憎たらしいワンドリッターの部下に出会ったら自慢してやれ。ガハハ!」

「ハッ!」

 侯爵の後ろに立っていた部下も紅茶を一口飲む。途端に表情が和らいだ。

「爽やかな香りの余韻に浸った後、気分が落ち着いていくのが解ります。水も柔らかくて紅茶を円やかにしておりますな」

「うむ、美味い。オビオ殿は何処の国出身なんじゃね?こんな美味しい紅茶を作る国の名を知りたい」

「オビオは記憶喪失なので解りかねます、ムダン侯爵様」

 サーカがそう答えると、俺を不憫に思ったのか侯爵の眉毛が下がった。

「そうか、何か大変な目に遭ったから記憶を失くしたのじゃろうな。苦労したのだな。ウォール家の庇護下に入ったのは正解だったかもしれん。しかしどういう縁でそうなったか気になるな」

「ウォール家の色とは知らずに赤いバンダナを身に着けていた事でウォール家の者に捕まってしまいました。しかしシルビィ様との取引で俺は自由な身を約束されています。良い出会いだったと今は神に感謝しております」

「なんと!その出会いは運命の神が紡いだものかもしれんぞ」

 少し離れたところでヤンスさんがくしゃみをした。我慢しながら出したくしゃみなのでブリュッ!と変な音がして俺は危うく笑いそうになった。いい加減にしろ!

 そんなヤンスさんを気にせずムダン侯爵は話を続ける。

「あの一族は昔からオーガと関わりがある。現人神と噂されるヒジリ殿と親しいのもそうだ。大昔、ウォール家がまだ外様の田舎貴族だった頃、グランデモニウム王国の奴隷商人に大事な娘をさらわれたそうな。その時、娘を救ったのが当時のブラッド領の領主と奴隷のオーガだったらしい。そんな遥か昔からウォール家はオーガと繋がりがあるのだから、あの一族はオーガには寛容なのかもしれんな」

 俺が出しておいたスポンジ生地にオレンジジャムを挟んでチョコでコーティングしたお菓子に侯爵は手を出した。

「お待ちを、閣下。私はシュラス国王陛下から貴方を守るよう命令されております。城の毒見役のような毒見の術は知りませんが、この命をもってして毒見をさせていただきます」

 え、このダナスって人はムダン侯爵の部下じゃなかったのか。城から派遣されているってこと?

「紅茶の時はそんな事はしなかったくせに、急になんじゃ?」

「紅茶を入れる際は一挙手一投足、怪しい挙動がないかを見張っておりましたので。しかしこの菓子は既に作られたもの。毒が入っているやもしれません」

「そこまで言うなら食うが良い」

 もう、面倒くさいオッサンだなぁ、ダナスさんは。まぁ豪傑っぽいムダン侯爵と違って細面で神経質そうな顔してるもんな。

「闇樹族を連想する不吉な色・・・。チョコレートは本来、色付けして出すものだろう。無礼者め。いいか、オーガ。私は城でもそれなりの地位である事を忘れるなよ。ここで私が毒で死ねばどうなるか。貴様は・・・ムグッ!」

「はよう、食えい!ガハハ!」

 ムダン侯爵がグダグダ言うダナスさんの口にお菓子を無理やりねじ込んだ。

「ぐむぅ!ごはぁ!・・・もぐもぐ・・・。!!!」

 明らかに美味しいって顔してるな、ダナスさんよぉ。目がキラキラしてる。そりゃそうだろ。俺が作ったんだからな。

「少し苦みのあるパリッとしたチョコの下からフワッとしたスポンジ生地の触感。そして生地に少し染み込んだオレンジジャムの風味豊かで強すぎない甘み。美味い!・・・しかし閣下!これはきっと毒ですぞ!食べない方がよろしいかと!いくらか食べて毒の症状が出るまでお待ちください!」

 ダナスさんはもう一つ食べようと手を出したが、ムダン侯爵はその手をぴしゃりと叩いた。

「毒などと嘘をつくでない!そう言って自分だけで食うつもりじゃろうが!そもそもわしを殺す気なら、こやつらはここで出会った時にすぐに襲い掛かってきとるわ!」

 侯爵は三センチ四方のキューブ状のチョコ菓子を摘まんで齧った。

「うむ、確かにこれは美味い!わしは菓子をあまり好まないが、これは別じゃ。城や屋敷で出されるのと何が違うのじゃろうか・・・。洗練されておるというか・・・雑味がなく風味がはっきりしておる。そして何より砂糖を沢山使えば嬉しいだろうという作り手の押しつけがましさがこの菓子にはないんじゃ。控え目なのに存在感がある不思議な味。食べる者の気持ちを考えて作られておるかのような。さぁ皆もわしに気を使わず食べなさい」

 ムダン侯爵が気さくな性格だと解ったのか、皆もお菓子を手に取って食べる。

「うん、オビオは料理も菓子もうめぇな!」

 ありがとさん、トウスさん。孤児院に帰る時は子供たちのお土産用に作るわ。

「うめぇでやんす!こんなのを食べてしまうと野草や味のしない魚を食べる日々には戻れないでやんす!」

 他の2人は黙って食べているが、目が輝いているし、鼻腔が若干開いている事から美味しいと言っているようなもんだ。

「いい茶会だったわい。さて帰るか・・・」

 ムダン侯爵は残りの紅茶を一気に飲むと腰を上げた。

 え?自分語りをするんじゃなかったっけ?お茶飲んで忘れちゃったか?あぁ、つっこみてぇ。

 俺の気持ちを汲んだかのように、サーカがいつもの冷ややかな目でムダン侯爵を見ている。さっきまでムダン侯爵に見せていた明るい顔や声はどこにいった?

「閣下、先程宿敵を追っているという話でしたがもしよければ、その話をお聞かせ願えませんか?私は仮隊員とはいえウォール隊の一員。万が一国防に関わるような内容ですとシルビィ様に報告する義務がありますので」

「一騎士が偉そうに・・・」

 ダナスさんが怒りでプルプルと震えている。

「相手が王国近衛兵独立部隊隊員である以上は身分の差があまり意味をなさい事を知っておろう?ダナン。シルビィ隊は、必要とあれば独自権限で上位貴族すら逮捕して取り調べをする事もできる。取り調べや尋問程度で済めばいい方じゃがな」

 え、何それ、やだ怖い。シルビィ様の隊ってそんな恐ろしい隊だったの?

「くっ・・・。貴族殺しのシルビィ・・・」

「そうじゃ。あの隊は王の為なら何だってする。そういう役割なんじゃ。・・・ふて、そうじゃの。先程は宿敵を追ってここへ来たと言ったが当てがあったわけではない。さて何から話そうか・・・」

 ムダン侯爵は遠い目をする。複雑な過去や人間関係が関わってくる話なのだろうか?もし国防に関わる内容だったら俺たちに何ができる?料理人がタンクしているようなパーティだぞ?

 はぁ・・・とヤンスさんが溜息をついた。これ以上ない真面目な顔だ。何かこの件に関して知っているのかな?流石は世界を渡り歩く吟遊詩人。いつ何を訊いてもすぐに答えてくれるもんな。

「オビオ。お菓子のおかわりでやんす」

 空気読めよ、ヤンスさん!
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