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歴史的瞬間
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「あれはアラクネだね・・・。まさか・・・。となるとあの地走り族の女性はッ!」
ビャクヤが周囲のゾンビを軽く【闇の火炎】で消し炭にして、蜘蛛女と地走り族を見て、何かを思い出そうとしている。
「お前がいると楽でいいわ」
俺は何もせずに周囲のゾンビが灰になったのでニヤリとする。ゾンビは一撃で倒せないとしぶといし、奴らに襲われて死ぬとゾンビになるからな。映画で見た知識だが。
「言っておくがキリマル! 吾輩ッ! アンデッドは得意ではないよッ! あまり期待しないでくれたまえッ! 相手が雑魚ゾンビだからッ! 何とかなっているだけでドラゴンゾンビなどの大物に出てこられるとお手上げだッ!」
―――ギギャァァァ!
「ドラゴンゾンビってあんな鳴き声してそうだな」
どこか遠くで何かが鳴いた。そのくぐもった声は意外と腹に響いて不安な気持ちにさせる。
「嫌な事をいわないでくれッ! キリマルッ! そうだ! 思い出した! あれはヒジリ様の主のタスネ様。確か帝国と樹族との戦争で命を落とされたという・・・」
ビャクヤはアラクネに乗る地走り族の名前を思い出した。
「神様なのに主がいるのは変じゃねぇか?」
「前にも説明したような気がするがッ! ヒジリ様は樹族国在籍時には奴隷の身分だったのでねッ! 当然主がいるのだよッ!」
「ふ~ん」
後方から迫りくるゾンビを俺らが倒した事を知らないタスネは、アラクネを操ってあちこちに粘着糸を飛ばすとゾンビを地面に縛り付けて去って行った。
「あ! 行ってしまわれた! 流石にアラクネに追いつくのは無理だねッ! というか、タスネ様はあの樹族のメイジを援護せずに去ってしまわれたッ!。 彼の存在に気づいてなかったのかッ?」
視界の中でちょこまかと動き回る禿げ頭のメイジは魔法が尽きたのか、肩から下げる大きな斜め鞄から、火炎びんを取り出してはゾンビに投げつけて対抗していた。
しかしアラクネの粘着液に足を取られて転び、自分の手に持っていた火炎びんの炎で全身を焼いてのたうち回っている。
「ぎゃあああ!!」
おほ~。いい悲鳴。はっはっは! これは間抜けな死に方だぞ。笑える。
「ただでは死なん! ただでは死なんぞぉぉ!!」
恰幅の良い禿メイジは素早く立ち上がって動くとゾンビの中を縫って走る。そして自分の体を焼く炎をゾンビ達に移して、水溜まりまで来ると息絶えた。
「お前の得意な氷魔法で炎を消してやれよ、ビャクヤ」
「彼はもう無理だねッ! 残念ながら助からない。というか君が生き返らせてあげたまえよッ!」
「生き返らせていいのか? 俺の力が知られれば厄介な事になるんだろう?」
「今は問題ないッ! 周りに誰の気配もないのでッ!」
「まぁ良いけどよ」
俺はどこから現れて群がって来るゾンビどもを、無残一閃で薙ぎ払い、ついでに禿げ頭の樹族の背中を刀で突いた。
「なぁ。死体を刀で斬って蘇生すると五体満足で生き返るけどよ。生き返るまでにダメージを受けたらどうなるんだ? こいつ、今も炎で焼けているが?」
「君が知らないのに、吾輩が知るわけないだろうッ!」
ビャクヤはメイジに水溜まりの水を掛けて火を消した。そして火が消えた事を確認すると、急に禿樹族の火傷の少ない首筋に指を当てて生死を確認しだした。
「い、いんどる!」
なんだぁ?急に。
「いんどる?」
いや、そいつが火傷のショックで死んだのを見ただろ。いんどるってなんだ? 方言か?
「名探偵ワカランに出てくるインドルおじさんの台詞だよッ! ほらッ!毎回被害者の首筋に指を当てて、脈があるかどうかを調べている髭のおじさんがいるだろうッ! 『いんどる!(死んでいる)』というセリフを言う以外に、なにも出番が無い助手のおじさんさッ! 魔法水晶で番組ぐらいは見た事あるだろう?」
「ねぇよ。ってか俺は異世界から来たって知ってるだろ? どうしたビャクヤ」
「おっと! そうだった! ヒジリ様に会えるかもしれない喜びで、吾輩はテンションが上がり過ぎていたようだッ!」
まだその辺にゾンビが潜んでそうなこの状況で、なにふざけてんだ、こいつは・・・。
「さぁヒジリ様を探しに行こうッ!」
「でも、この禿をほっといたらゾンビに齧られるんじゃねぇの? そんな可哀想な事、ビャクヤにできるのかね? ん~?」
俺はこいつの邪魔をするといつも気分が良くなる。少しでもヒジリと会うのを遅らせてやるぜ。ヒヒヒ。さぁて善人のビャクヤが、この禿メイジを放置して立ち去るのかどうか。
「確かにッ! さてッ! どうしたものかッ!」
まぁ見捨てるわけないか、こいつの性格なら。
ビャクヤが迷っていると、突然辺りを強烈な光が包んだ。
「なんだ?」
「おお! あれはッ!」
どこからともなく荘厳な音楽が聞こえてきたと思うと、上空に両手を広げる人影が見える。光が眩しくてよく見えないが、俺と同じくポニーテールの大男が浮かんでいるのが解った。
「ありゃあ誰だ?」
光る天使の羽まで降ってきたぜ。なんかアニメの過剰過ぎる演出みたいだねぇ。
「おあぁぁぁ! これはッ! ああ、なんてことだ! 吾輩は今ッ! 歴史的瞬間に立ち会っている! という事は今日はッ! 亡者の行進と呼ばるグランデモニウム王国崩壊の日! しかし、あれは半年後に起きる出来事だったはずだがッ!」
なんのこっちゃ。俺はビャクヤが何を言っているか、さっぱりわからなかった。
ビャクヤは未来から来たから、過去の出来事を知っているかもしれねぇが、お前に取っちゃ俺は異世界人で過去の人間なんだわ。もうちょっとわかりやすく説明しろってんだ。
「キリマル。君の腕時計は月と日付まで解るのかね?」
「ん? ああ。こっちの世界のカレンダーに合わせてあるぜ? なんでだ?」
「いいから今日が、何月何日か確認してくれたまえッ!」
「今日は・・・十二月・・・だと? はぁ? 五月だったはずだろ?」
「やはり・・・。どうやら吾輩はッ! 長距離の転移をすると時間移動もしてしまうようだ」
「んな、バカな。どういう原理でだ?」
「さぁ・・・。だが、そう考えないと辻褄が合わないねッ! 転移魔法以外で思い当たる節はないのだからッ! あの神の子ヤイバ様もッ! 自然発生した時間移動の渦や、転移魔法の事故で過去に行った事があるらしいしッ!」
そういやヤイバは、転移魔法がどうたらこうたらブツブツ言ってたな。
「この世界は予測不能な事がよく起きるんだな」
「君の元いた世界でもそうじゃなかったのかねッ?」
「いや、急に魔物が発生したりタイムワープしたりなんてしねぇ。割かし安定した世界だぜ?」
ビャクヤは仮面に退屈そうな無表情を作り出した。
「そんなハチャメチャが押し寄せて来ない世界のッ! 何が楽しいのかッ!」
いや、この出鱈目な世界よりは心穏やかに生きられるだろうよ。まぁその安定は言い換えれば、停滞や淀みでもあるがな。
「で、ヒジリはあそこで何やってんだ?」
「帝国のミスでゾンビになった人々をッ! ヒジリ様は慈愛の奇跡で浄化しているのだッ!」
「帝国ってお前の爺の国だろ? って事は爺がこの国に戦争を仕掛けたって事か?」
「この時代のツィガル帝国皇帝は大魔法使いのゴブリンなのだッ! だからナンベルお爺様は関係ないッ! 寧ろ被害者側なのだよッ! この街に住んでらっしゃったのだからッ!」
「それにしてもこのゾンビの多さは、ミスってレベルじゃなさそうだけどよ・・・。近くにゾンビがいなくてもうめき声だけで数の多さが解るぜ」
浄化される間際の断末魔の呻き声が、荘厳な音楽と混ざり合って奇妙なハーモニーを奏でている。
「グランデモニウム城だけを狙って、ゾンビ化の巻物を使ったツィガル帝国魔道騎士団だったがッ! 何かの手違いでッ! グランデモニウム王国の九割の国民をッ! ゾンビにしてしまったのだからッ! 当然さッ!」
何をどうしたらそんな事になるんだよ。ハチャメチャどころか、ゾンビが押し寄せてきてんじゃねぇか。
俺たちを包み込んでいた光の柱はどんどんと広がっていく。
まだ消えそこなっていたゾンビが近くに現れた。ゾンビは光に触れて数秒で消えていく。これは・・・、浄化なのか? 強引な何かの力で粉微塵にしているようにも見えるがよ。
俺に首を刎ねられて動かなくなったゾンビ達は消されていない。どうやら活動中のゾンビだけが、ターゲットのようだ。
「ヒジリは・・・、国全体を浄化できるから神様なのか?」
「当たり前だろう。それに彼は空を飛んでいる。神以外の何者だというのかね?」
ビャクヤは空のヒジリに跪いて、手を合わせている。
「あれが神様ねぇ・・・。胡散臭い」
ようやく光に目が慣れて、ヒジリを観察する事ができるようになった。
ドラえもんに出てくる、未来の住人が着てそうなぴっちりとした黒い服。方には稲妻のマーク。そして何より腹が立つのが、ヤイバによく似た顔。父親だから当然だが、あの面を刀で剥ぎ取ってやりてぇもんだ。
ビャクヤが周囲のゾンビを軽く【闇の火炎】で消し炭にして、蜘蛛女と地走り族を見て、何かを思い出そうとしている。
「お前がいると楽でいいわ」
俺は何もせずに周囲のゾンビが灰になったのでニヤリとする。ゾンビは一撃で倒せないとしぶといし、奴らに襲われて死ぬとゾンビになるからな。映画で見た知識だが。
「言っておくがキリマル! 吾輩ッ! アンデッドは得意ではないよッ! あまり期待しないでくれたまえッ! 相手が雑魚ゾンビだからッ! 何とかなっているだけでドラゴンゾンビなどの大物に出てこられるとお手上げだッ!」
―――ギギャァァァ!
「ドラゴンゾンビってあんな鳴き声してそうだな」
どこか遠くで何かが鳴いた。そのくぐもった声は意外と腹に響いて不安な気持ちにさせる。
「嫌な事をいわないでくれッ! キリマルッ! そうだ! 思い出した! あれはヒジリ様の主のタスネ様。確か帝国と樹族との戦争で命を落とされたという・・・」
ビャクヤはアラクネに乗る地走り族の名前を思い出した。
「神様なのに主がいるのは変じゃねぇか?」
「前にも説明したような気がするがッ! ヒジリ様は樹族国在籍時には奴隷の身分だったのでねッ! 当然主がいるのだよッ!」
「ふ~ん」
後方から迫りくるゾンビを俺らが倒した事を知らないタスネは、アラクネを操ってあちこちに粘着糸を飛ばすとゾンビを地面に縛り付けて去って行った。
「あ! 行ってしまわれた! 流石にアラクネに追いつくのは無理だねッ! というか、タスネ様はあの樹族のメイジを援護せずに去ってしまわれたッ!。 彼の存在に気づいてなかったのかッ?」
視界の中でちょこまかと動き回る禿げ頭のメイジは魔法が尽きたのか、肩から下げる大きな斜め鞄から、火炎びんを取り出してはゾンビに投げつけて対抗していた。
しかしアラクネの粘着液に足を取られて転び、自分の手に持っていた火炎びんの炎で全身を焼いてのたうち回っている。
「ぎゃあああ!!」
おほ~。いい悲鳴。はっはっは! これは間抜けな死に方だぞ。笑える。
「ただでは死なん! ただでは死なんぞぉぉ!!」
恰幅の良い禿メイジは素早く立ち上がって動くとゾンビの中を縫って走る。そして自分の体を焼く炎をゾンビ達に移して、水溜まりまで来ると息絶えた。
「お前の得意な氷魔法で炎を消してやれよ、ビャクヤ」
「彼はもう無理だねッ! 残念ながら助からない。というか君が生き返らせてあげたまえよッ!」
「生き返らせていいのか? 俺の力が知られれば厄介な事になるんだろう?」
「今は問題ないッ! 周りに誰の気配もないのでッ!」
「まぁ良いけどよ」
俺はどこから現れて群がって来るゾンビどもを、無残一閃で薙ぎ払い、ついでに禿げ頭の樹族の背中を刀で突いた。
「なぁ。死体を刀で斬って蘇生すると五体満足で生き返るけどよ。生き返るまでにダメージを受けたらどうなるんだ? こいつ、今も炎で焼けているが?」
「君が知らないのに、吾輩が知るわけないだろうッ!」
ビャクヤはメイジに水溜まりの水を掛けて火を消した。そして火が消えた事を確認すると、急に禿樹族の火傷の少ない首筋に指を当てて生死を確認しだした。
「い、いんどる!」
なんだぁ?急に。
「いんどる?」
いや、そいつが火傷のショックで死んだのを見ただろ。いんどるってなんだ? 方言か?
「名探偵ワカランに出てくるインドルおじさんの台詞だよッ! ほらッ!毎回被害者の首筋に指を当てて、脈があるかどうかを調べている髭のおじさんがいるだろうッ! 『いんどる!(死んでいる)』というセリフを言う以外に、なにも出番が無い助手のおじさんさッ! 魔法水晶で番組ぐらいは見た事あるだろう?」
「ねぇよ。ってか俺は異世界から来たって知ってるだろ? どうしたビャクヤ」
「おっと! そうだった! ヒジリ様に会えるかもしれない喜びで、吾輩はテンションが上がり過ぎていたようだッ!」
まだその辺にゾンビが潜んでそうなこの状況で、なにふざけてんだ、こいつは・・・。
「さぁヒジリ様を探しに行こうッ!」
「でも、この禿をほっといたらゾンビに齧られるんじゃねぇの? そんな可哀想な事、ビャクヤにできるのかね? ん~?」
俺はこいつの邪魔をするといつも気分が良くなる。少しでもヒジリと会うのを遅らせてやるぜ。ヒヒヒ。さぁて善人のビャクヤが、この禿メイジを放置して立ち去るのかどうか。
「確かにッ! さてッ! どうしたものかッ!」
まぁ見捨てるわけないか、こいつの性格なら。
ビャクヤが迷っていると、突然辺りを強烈な光が包んだ。
「なんだ?」
「おお! あれはッ!」
どこからともなく荘厳な音楽が聞こえてきたと思うと、上空に両手を広げる人影が見える。光が眩しくてよく見えないが、俺と同じくポニーテールの大男が浮かんでいるのが解った。
「ありゃあ誰だ?」
光る天使の羽まで降ってきたぜ。なんかアニメの過剰過ぎる演出みたいだねぇ。
「おあぁぁぁ! これはッ! ああ、なんてことだ! 吾輩は今ッ! 歴史的瞬間に立ち会っている! という事は今日はッ! 亡者の行進と呼ばるグランデモニウム王国崩壊の日! しかし、あれは半年後に起きる出来事だったはずだがッ!」
なんのこっちゃ。俺はビャクヤが何を言っているか、さっぱりわからなかった。
ビャクヤは未来から来たから、過去の出来事を知っているかもしれねぇが、お前に取っちゃ俺は異世界人で過去の人間なんだわ。もうちょっとわかりやすく説明しろってんだ。
「キリマル。君の腕時計は月と日付まで解るのかね?」
「ん? ああ。こっちの世界のカレンダーに合わせてあるぜ? なんでだ?」
「いいから今日が、何月何日か確認してくれたまえッ!」
「今日は・・・十二月・・・だと? はぁ? 五月だったはずだろ?」
「やはり・・・。どうやら吾輩はッ! 長距離の転移をすると時間移動もしてしまうようだ」
「んな、バカな。どういう原理でだ?」
「さぁ・・・。だが、そう考えないと辻褄が合わないねッ! 転移魔法以外で思い当たる節はないのだからッ! あの神の子ヤイバ様もッ! 自然発生した時間移動の渦や、転移魔法の事故で過去に行った事があるらしいしッ!」
そういやヤイバは、転移魔法がどうたらこうたらブツブツ言ってたな。
「この世界は予測不能な事がよく起きるんだな」
「君の元いた世界でもそうじゃなかったのかねッ?」
「いや、急に魔物が発生したりタイムワープしたりなんてしねぇ。割かし安定した世界だぜ?」
ビャクヤは仮面に退屈そうな無表情を作り出した。
「そんなハチャメチャが押し寄せて来ない世界のッ! 何が楽しいのかッ!」
いや、この出鱈目な世界よりは心穏やかに生きられるだろうよ。まぁその安定は言い換えれば、停滞や淀みでもあるがな。
「で、ヒジリはあそこで何やってんだ?」
「帝国のミスでゾンビになった人々をッ! ヒジリ様は慈愛の奇跡で浄化しているのだッ!」
「帝国ってお前の爺の国だろ? って事は爺がこの国に戦争を仕掛けたって事か?」
「この時代のツィガル帝国皇帝は大魔法使いのゴブリンなのだッ! だからナンベルお爺様は関係ないッ! 寧ろ被害者側なのだよッ! この街に住んでらっしゃったのだからッ!」
「それにしてもこのゾンビの多さは、ミスってレベルじゃなさそうだけどよ・・・。近くにゾンビがいなくてもうめき声だけで数の多さが解るぜ」
浄化される間際の断末魔の呻き声が、荘厳な音楽と混ざり合って奇妙なハーモニーを奏でている。
「グランデモニウム城だけを狙って、ゾンビ化の巻物を使ったツィガル帝国魔道騎士団だったがッ! 何かの手違いでッ! グランデモニウム王国の九割の国民をッ! ゾンビにしてしまったのだからッ! 当然さッ!」
何をどうしたらそんな事になるんだよ。ハチャメチャどころか、ゾンビが押し寄せてきてんじゃねぇか。
俺たちを包み込んでいた光の柱はどんどんと広がっていく。
まだ消えそこなっていたゾンビが近くに現れた。ゾンビは光に触れて数秒で消えていく。これは・・・、浄化なのか? 強引な何かの力で粉微塵にしているようにも見えるがよ。
俺に首を刎ねられて動かなくなったゾンビ達は消されていない。どうやら活動中のゾンビだけが、ターゲットのようだ。
「ヒジリは・・・、国全体を浄化できるから神様なのか?」
「当たり前だろう。それに彼は空を飛んでいる。神以外の何者だというのかね?」
ビャクヤは空のヒジリに跪いて、手を合わせている。
「あれが神様ねぇ・・・。胡散臭い」
ようやく光に目が慣れて、ヒジリを観察する事ができるようになった。
ドラえもんに出てくる、未来の住人が着てそうなぴっちりとした黒い服。方には稲妻のマーク。そして何より腹が立つのが、ヤイバによく似た顔。父親だから当然だが、あの面を刀で剥ぎ取ってやりてぇもんだ。
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