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春が来た! 187

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あちらこちらで食事が済みだしたのか、気になる者や喋りたい者達の所へと移動する者がちらほら出て来た。
皇太子殿下は美味い!ペロリと完食なさいました。他にも色々食べていたのか、大婆様の方をさっきからチラチラ見てます。
同じ帝国なのだからそれなりに会ったり話したりした事あるのよね?

「私も混ぜて貰えないだろうか?」

行った!いや、言った?かしら?皇太子殿下が立ち上がって大婆様の所に行ったわ!

「ふむ……良いでおじゃる。今宵は可愛い姫達がおるでの」

「シルヴァニアの長老たる貴女様とこうして話しが出来るのは光栄の極みで御座います」

は?え?大婆様の方が立場上なの?

「エリーゼ」

静かにルークが隣にやって来ました。

「不思議そうな顔だね。シルヴァニアの女性達、特に年齢的に上の人達は領地にある高山から出て来ないから話せる機会が無いんだ。だから父上がソワソワしてたんだよ。どうにか話す機会がないかって」

「そうだったのね。とても気安い感じで話しかけてきたりしてたから……」

「あー……エリーゼはシルヴァニア家の中でも優位なお姫様ポジだからね。しかも前世記憶持ちだから余計にって事だしね」

ん?ルークよ……今さり気なく重大発言しましたよね?

「それ秘密なんですけど」

「今さら……だよ。俺だけじゃない、ディモス嬢も転生者なんだろ。しかも前世の地域も被ってる」

「ええ。でも、ルーク……ラーラルーナ様の事はルークの方が詳しいんじゃないかと思ってるわ。見て……あのチラチラとキャスバルお兄様とレイを見る目。あれはターゲットを見る腐女子の目よ」

「クッ!俺を……殺せっ!」

「何、クッ殺さんしてるのよ。現実を見なさいよ。ラーラルーナ様はキャスバルお兄様の婚約者なのよ、将来義理のお姉様になるのよ」

「クッ!……やはり俺を殺してくれ……」

「……ねぇ……今、どんな気持ち?ねぇねぇ?」

「蘇る暗くて腐った記憶!」

「ガンッ!バレッ!そしてドンマイ♡」

「俺の婚約者が鬼メンタルで厳しい!」

「誰が鬼か!こんなに可愛くてボインボインなのに!」

「……間違ってません。スッゴく可愛くて俺好みで俺は幸せ者です」

「ふふっ……私もルークみたいな優しくて格好いい殿方と結婚出来て幸せ者だわ」

二人して見つめ合いながら微笑む。
こんな風に軽口を言い合えるのも良いと思うの。
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