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春が来た! 160

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シュバルツバルト侯爵家はまあ、そうなんだけど。シルヴァニア公爵家令嬢ってのは、私のあずかり知らない所で決定事項で確定されてる現実なのよね……お母様だってシルヴァニア公爵家令嬢って肩書きのまんまらしいし……
それで良いの?ゴルゴダ帝国よ……
てか、まだ泣いてるの……ん?チラッチラッ私の事見てるわね。
何が言いたいのかしら?

「ねぇ……エリーゼ様、その……待ってる方達を案内するようにした方が良いんじゃないのかしら?」

「えっ?ええ……そうよね?って……キャスバルお兄様もトールお兄様も何で距離取ってコソコソ相談してるのよ!」

何という事でしょう!私のお兄様で次期侯爵ななろうと言う人が指示出しもせずに弟とコソコソ内緒の相談なんかしてるんですよ!何か腹立たしいです!

「ああ!済まない。中々に面白い見せ物だったからつい」

爽やか笑顔でサラッと言いましたよ。

「レイ。父上の執事に言って彼等の部屋へと案内させてくれ。ラーラルーナ嬢、一度部屋に戻り休むと良い……が、その前に私の所のサロンに来ないか?エリーゼはトールと一緒にお茶でもしたらどうかな?」

ぬぅ……キャスバルお兄様は婚約者と距離を縮めようってか……まぁ、ならば良し!だけど。私、ぼっちにならないようにさり気なくフォローって事?

「エリーゼ、たまには一緒にお茶しようよ。王都以来、二人っきりでお茶を飲んだりしてないよね?」

キュルンって目で見て来ないで下さい。イケメンの瞳キュルンは攻撃力高くて、元喪女の私にはキッツいです。

「まあ……そうですね。トールお兄様とは二人でお茶を飲む機会が無かったものね……」

「じゃあエリーゼ、一緒にゆっくり話そうね。じゃあ兄貴、先に行かせて貰うよ」

そう言うと私の手を取って優雅にエスコートして行くトールお兄様はさすが公爵家令息と言うに相応しいイケメンです。

「お側に!」

「私もお願いします!」

アニスが慌ててついて来ましたが、ルークについて行くタイミングを逃して取り残されたキースもついて来ました。
チラッとトールお兄様を見たけど、問題無さそうにバチコーン!とウィンクされました。

「早くいらっしゃい。ではスミスさん、失礼致しますわ」

深々とお辞儀したスミスさんは既に泣いてませんでした。
とにかく、後の事はキャスバルお兄様に任せます!
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