婚約破棄されまして(笑)

連載

春が来た！ 155

あー……ドンドン近付いて来た……
外から「捧げー！」とか聞こえる。きっと外ではお客様に向かって敬礼とかしてると思う。
近付いてく近付いてく決戦の……って軽くリズム刻んでたんですが、隣のラーラルーナ様が「……曜日……」って呟きが聞こえました。

「分かってるのね……」

「結構、好きなんで……」

「カラオケ行きたくなってきたけど、こっちには無いのよね」

「そうですね。あ！でも生バンドでなら！」

「楽譜無いのにですか？」

「あ～……そうだったわ」

「二人とも、そろそろお止めなさい」

「「はいっ！」」

私とラーラルーナ様のトークはここで打ち切りです！それにしても生バンドカラオケなら行けるけど、歌詞もあやふやで曲はもっと分からないのがツラい！
娯楽が少ないと何か楽しい事あると人気出ちゃうのが旨味あって良いのよね。
とりあえずはスーパー銭湯よ！
お客様達には我が家のスーパー銭湯に入って貰って、是非とも流行らせて欲しい！
お風呂が沢山は幸せよ。
あ……来た……玄関前に馬車停まった！
来る……来……来たぁぁぁぁぁ！
扉が開く音と共に頭を下げておく。だって、うちはまだ王国貴族で侯爵家なんで！
お客様は帝国皇太子殿下とその則妃とその他、それにお母様の実家関係でやっぱり帝国貴族で公爵家だから我が家より上なんですよ！
なのでちゃんと頭を下げるのです！

「お初にお目に掛かる。ゴルゴダ帝国皇太子ジョルジオと申します、この度は我が息子ルークを受け入れて下さると聞いて来ました」

うわ……思ったより渋めの良い声。うん、聞き覚えのある渋イケボだわ。

「お初にお目に掛かります、ルークの母でジョルジオ殿下の第三則妃でノーマと申します。こちらにいる間はよろしくお願い致しますね」

ホワホワした可愛らしい声です。やっぱり聞き覚えのある声です。

「お待ちしておりました。此度の婚姻式には帝国から大勢のお客様がいらっしゃるので、私も久し振りに華やかな気持ちでここに立っております」

お父様が挨拶してます。二人の渋イケボがとっても幸せです。
ありがとう神様！

「まあ、堅苦しい挨拶は良いじゃないか。シュバルツバルト侯、久しいな！積もる話しもあるし、美酒美食の領地だと聞き及んでる！楽しみにしてたんだ！」

あれ？ルークのお父様、急に砕けたわ……