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春が来た! 95

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「今着てるドレスよりも少し落ち着いた物が良いわね」

何気に気合い入ってるものね。もう少しラフで良いと思うのよ。こう……薄手の綿を重ねた様な物とか。

「色が……ですか?それとも作りがでしょうか?」

それな。ホント、困るのよね……

「どちらもって言うのは無理だから帝国風のドレスに近い作りの物ってあるかしら?」

「帝国風ですか……何着かこちらに持って来ますね」

何着か……ときたもんだ。帝国風はAラインドレスが主流であんまりゴテゴテしてない筈なのよね。

「お待たせ致しました!」

…………また、随分あったわね…………
五……六着?思ったよりあったわ。色もバラバラだし、どうしようかしら?

「水色と青色、薄い若緑色以外は戻して頂戴」

「はい!」

さすがにピンクとか赤とか紫は嫌。後、生成りと白も除外です。何で白とかあるのかしら?誰の差し金かしら?デビュタントでもなければウェディングでもないのよ、いや、こちらではウェディングドレスは白って極まってる訳じゃないから良いんだけど。
アニスがわちゃわちゃしてるのを横目に残されたドレスを見る。
うん。ドレープも美しいし、フリルも長めで上品。刺繍や重ねられたレースも品が良くて良いわね。
デザインは少しずつ違うけれど、どれも悪くない。
青色はちょっと早い様な気がするから水色と若緑色のどちらかがベストよね。今着てるドレスと被るのは良くないから水色にしようかしら?

「アニス、今日は水色のドレスが良いと思うのだけど」

戻ってきたアニスに言うと、大きく頷いてニコニコしながら青色と若緑色のドレスを手に戻って行く。

「さすがエリーゼ様です。ついでにお飾りを幾つか持って参りますね」

そう言うと十箱以上のお飾りの箱を持ってきて、更に追加とばかりに違う大きな箱以上まで持ってきた。
アニスと二人でお飾りの箱を開けてはドレスに当てて見てみる。

「これは迷いますね……」

「ええ……とりあえず、コレとコレは残しておいて……」

真珠のセットとホワイトオパールのセットで迷ってます。濃い青系の宝石のセットもあるけど、それだと厳つい感じになりそうなのよね……さすがにそれは良くないと思うのよね……
やっぱり、年齢とか立場とか色々考えると厳ついのはねぇ……やっぱり淡い色とか優しい色が良いと思うのよね。
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