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春が来た! 76

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「エリーゼ様の美しさにきっと驚かれるでしょうね!楽しみです!」

何の楽しみよ。ドッキリさせるんじゃないのよ?もう。
立ち上がって部屋を移動したらカワイコちゃん達のお団子からリコがピョコンッ!と飛び出して来た。

「キレイコン!すてきコン!」

滅茶苦茶尻尾を振ってソロソロと近寄って……って距離取られてお座りされました。

「ありがとう。そんなにキレイ?」

「キレイコン……おひめさまコン……」

もう目がウットリしてます。

「でしょう、でしょう!エリーゼ様の美しさが分かるのって素晴らしいわ!」

アニスもリコも褒めすぎよ……

「ありがとう……でも照れるわ」

「照れないで下さい。さ、エントランスに向かいましょう。きっと皆様お揃いですわ」

「そうよね!リコ、ちょっと行って来るから皆と待っていてね」

「わかったコン!おへやでまってるコン!」

リコのお返事にニッコリ笑って頷いてからアニスを連れて階下のエントランスへと向かう。
廊下に出て思ったのは薄くて軽いドレスが意外にも保温に優れてる事だった。さすがに廊下は暖房が効いて無い、我が家の本館は石造りで冷え冷えとしているのです。
全館空調等という便利なシステムは導入されてません。

「エリーゼ様」

「なぁに?アニス」

階段を下りてる途中にアニスから声を掛けられる。

「安心して下さい!相手は格下ですよ!」

……安心して下さい!とか言われてもね……

「格下って婚約者様だって侯爵令嬢じゃない、どうして格下なんて言うのよ」

「エリーゼ様は確かに侯爵令嬢ですが、帝国に行けばシルヴァニア公爵家の令嬢と同格として扱われます。ですからエリーゼ様の方が格上なんですよ」

は?と動きを止めてチラリと見やったアニスの表情は至って真面目でした。

「シルヴァニア公爵家って本当に特別なのね」

「勿論です」

とりあえず難しい事は考えずにエントランスへと行き、お母様の側へと移動する。
それにしてもどれだけ権力あるのよシルヴァニア公爵家。

「お母様、お待たせ致しました」

「あら、素敵な仕上がり具合ね。エリーゼ、いつもみたいに堂々としてらっしゃい。あちらは只の侯爵令嬢ですもの、気にする事はないわよ」

うん、お母様。言ってる言葉の端々からおかしげな圧を感じます。何ですか、ただの侯爵令嬢って……それだと私がただの侯爵令嬢じゃないみたいじゃないですか。
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