婚約破棄されまして(笑)

連載

春が来た！ 72

「お母様、私思うのですけど。甘味に合うお酒と言うのは難しいです。でも、紅茶にブランデーをお好きな量を入れて甘味と味わってはいかがでしょう？私はそれが一番良いかと思いますが、お酒の種類としてはあまり甘くない物の方が甘さが引き立つのではないかと……」

そう、例えば辛口の日本酒やワイン。苦みの効いたビール。
生菓子にお抹茶の様に。何かしら苦みのある物……コーヒーとか……
お母様が甘味甘味言うから甘い物に拘っていたけど、よくよく考えたらその甘味に合う飲み物はまだまだだったわ……ぬかったわね……
紅茶だって基本のお茶っ葉が数種類あるだけでフレーバーティーもハーブティーもまだまだ少ない。ここに緑茶や中国茶が加わったら、もっと選択肢が増えて楽しめるんじゃないかしら？

「エリーゼ。ブランデーって先程渡していたお酒よね？同じ物かしら？」

「え？」

しまった。考え事していてお母様の事ほったらかしにしていたわ。

「いえ、違うブランデーを出すつもりです。ですが、その前にお祖父さまにウイスキーを出しておきますね！」

テーブルにゴトゴトとウイスキーを十本出す。二本ずつ銘柄が違うウイスキーを五種類。現代日本で口にした事のある銘柄ばかりで驚いたのだけ、かなりの銘柄があって私的にはポピュラーな物ばかりをチョイスして出しました！
お母様の前にコトリとブランデーを置いた瞬間、ルークが「これめっちゃ高いヤツじゃん！」と言いましたが黙りやがれ！ですわ。
この際値段はどうでも良いのです。そう！美味しければ良いのです！

「これならば紅茶に入れても美味しい筈です」

隣からそのままでも美味しい！とか呟きが聞こえますが、この際無視です。
恐ろしい事にボトルデザインまでそっくりに作られたブランデーは丸に近い楕円で凸凹してます。

「俺もそれ飲みたい！」

「だまらっしゃい！ルーク！私が飲めないのに、何飲もうとしてるのよ！」

全くもって飲んだらダメ！なのに、前世成人済みで飲んでた事が足枷にっ！出したブランデーが美味しい事位、知ってるわよ！高かったしね！それにこれ、どういう魔法を使ったのかどこからどう見てもXOの色合いだしね！
……さっきジムに渡したのはVSOP位だったんですけどね。いえ、別にお母様が怖い訳じゃないのよ。ホントよ！

「成人したら好きなだけ飲ませるから今は我慢！」

「はいっ！」

良いお返事だけど、どれだけ飲むか分からないから貯めれるだけ貯めておこうっと！