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春が来た! 69

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テーブルに所狭しと並べられた何となく見覚えがあるような料理や甘味。
教えた覚えが無い物だけど、前世に似た様な物はあった。
正に料理バカとは恐ろしい。
ありとあらゆる想像力と確かな技術でもって作り上げたのだと分かる!分かるけど、試食会にしては派手ではありません?男性陣は皆派手に酔っ払い。
女性陣はお淑やかに酔っておりますけどぉ!

「あら?エリーゼ。新しい甘味はどれもシャンパンに合っていて、お母様とっても気持ち良くなってしまったわ」

お母様……それは単にシャンパンの飲みすぎだと思います。いつもなら紅茶と一緒に頂く甘味(スイーツ)をシャンパンで流し込んで……クッ!空いた皿やら器はサッサとメイドが下げてるから、飲酒量の想像すらつかない!
普段はおっとりしているお祖母さまも頬を赤らめ、上機嫌で笑ってますけど笑い上戸の可能性大ですわ!

「お母様……どれ位飲まれましたの?」

「ホホホ……大した量では無い筈よ」

ウッソだぁ!いつもの量と違うのはお見通しよ!お母様本人に聞くよりメイドに聞いた方が確かか!
チラッと見て、目が合ったメイドを手招きする。
無言で近付いてきたメイドがスッと頭を下げる。

「お祖母さまとお母様でどれ位飲んだのかしら?」

「五本空いた瓶をお下げ致しました」

テーブルには二本の飲みかけ。かなりの量だわよ!

「お父様達は?」

「大瓶を十本以上」

十升かっ!そりゃヨイヨイになるわ!樽じゃないだけマシだけど、あの短時間に随分と……

「姫様が来たらしまわれるから……と」

私かぁーーっっ!普段から出し惜しみしていた弊害がここにっ!

「おー!ルークが来たぞぉ!父上、ルークにも飲ませましょう!」

「ハハハ!ルークもこっちに来て飲めぇい!」

ビキィ💢
ルークと良い雰囲気だったのに、ヨッパが私の男を誘ってる……

「ルーク……お父様達と飲んだくれたりはしないわよねぇ……」

ん?誰の声かしら?何だか大分ドスの効いた声だわ。

「ヒッ!……勿論だよ、エリーゼ」

笑顔でルークを見てる筈なんですけど、ルークが青い顔して震えてるのは気のせいかしら?
でも、ルークに声を掛けたトールお兄様ったら……
と思ってトールお兄様を見たらガタガタ震えてるじゃない。

「トールお兄様、どうなさったの?」

「ヒエッ……」

乙女に向かってヒエッ……て何よ!
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