婚約破棄されまして(笑)

連載

春が来た！ 33

フンワリと香る桃の花に見渡す限りのピンク色。穏やかな風にチラリチラリとピンク色の花びらが舞っている。
その様をルークと共に並んで見てる。
ふと賑やかな笑い声に声のする方向を見れば、お祖父さまがお父様とトールお兄様と一緒に日本酒を飲み始めていました。
何故に男衆はすぐ酒を飲むのか……ちょっとは花を愛でる気持ちは無いのか？と思う。

「うむ！桃の花もアナスタシアも美しい！今日の酒はいつもより美味い！」

……お祖父さま……お酒の勢いですか？

「うむ！桃の花は勿論美しいが、それよりもフェリシアの方が遥かに美しいな！」

……お父様のお母様への愛が爆発してますね。

「俺は桃の花の様に可憐なエリーゼを忘れてはいないよ！」

「え……トールお兄様？」

おかしい……いくら何でも……って、三人共一升瓶片手に持ってました。気持ち良くラッパ飲みしてますね。でも、お祖母さまもお母様も上機嫌なので何も言わずに微笑んでます。

「既に出来上がっているな……桃の花の妖精みたいに可愛いよ、エリーゼ」

男衆で唯一の素面、ルークが甘ーーい！事言いました。ついついテレテレしちゃいます。

「ありがと……」

「失礼致します」

キースがさり気なくブドウジュースの入ったグラスを差し出して来ました。ルークと二人でグラスを受け取り、カチンとグラスを合わせる。
はい！どこからどう見てもワインですが、ノンアルコールです！
クスクスと笑いながら一口飲む。あー……濃い……濃くて美味しい。これでワイン作ったら絶対美味しいと思う。

「あら？これは何かしら？」

「ワイン……ではないのね……」

おっと、お祖母さまとお母様がシャンパンに食い付きました。
スイッとルークがお祖母さまとお母様の所へと歩いて行くので、私も慌ててついていきます。

「エリーゼ、マドラーはある？」

素早く無限収納を確認して頷く。

「あるわよ」

「じゃあ、マドラーを二本」

ふぅん？と言われるままにマドラーを二本出す。

「そちらはシャンパンと言うお酒ですよ」

和やかな笑顔でお祖母さまとお母様に話し掛ける皇子様。うん、イケメンプリンスです。

「こちらのイチゴをグラスに入れて、マドラーで軽く潰すと甘くなって美味しいですよ」

なんと！イチゴ風味（強め）のシャンパンか！それは女性ウケする飲み物じゃあないの！