婚約破棄されまして(笑)

連載

春が来た！ 32

「そんな話しよりも花見を楽しもう！」

何か切り替えたいのかしら？まぁ、良いわ。せっかくのお花見だもの、パァッとやりたいわね！
チラッとテーブルを見れば、飲み物は紅茶しかない……と思う。準備だけはされてるけど、まだ淹れてはいない様ね。

「ね、ルークは何が飲みたい？」

「ん？やっぱりお花見と言えばアルコールだけど、昼間だし婚姻前に失態を見せるのはちょっとな……」

扱く全うな事を仰ってます。

「そうね。でもお父様やお母様はきっと期待してると思うわよ、ほら……」

「あ……」

お父様とお母様だけじゃなく、トールお兄様もお祖父さまも期待に満ちた目で私を見てます。

「そのままいける日本酒？とビールかしら？」

再度テーブルの上を見て出すアルコールを決めようと思った……

「後はシャンパンだな」

「なんで？」

「イチゴがあるから」

「イチゴがあるから？なんで？」

「え？昔、映画であったろ？シャンパングラスにイチゴ入れてってシーンがさ」

「へぇ……」

そんな映画があったのね。
ちょっとだけ想像して、オシャレだな……と思う。

「じゃあ、シャンパンも出すわね」

四阿の側近くにちょっとしたテントが張られていて、そこで飲食物を準備したりしてる様なので一人で入って行きます。

「お邪魔するわよ」

そう言って入り込んだ所で、誰も何にも言いません。私の行動に制限はついてませんから！
忙しく立ち回るメイド達をスルーして、空いてるテーブルまで行きます。これは私が何か用意する前庭だからです。
タライをドスンと出して、細かい氷をザラッと出してからシャンパンやビールを出す。テーブルの下にビールをわんさか出して置いて行きます。
でも、日本酒はぬる燗が良いと思うのですよ……まぁ、そのままでも良いんですけどね。
タライ横の空いてるスペースに日本酒を何本か置いておきます。
後は濃い紫色のブドウジュースを出して、タライにさしておきます。

「このブドウジュースは私とルーク用だから、もし無くなったら教えて頂戴。勿論他の物が無くなりそうになったら教えて頂戴」

「はい、畏まりました」

少しだけお姉さんなメイドがそう受け答えるのを聞いて、テントを出る。

「エリーゼ、もう良いのかしら？」

お母様の問いに笑顔で頷く。

「はい、お待たせ致しましたわ」

私の言葉にお父様が頷いた。

「では久方ぶりの桃の花を愛でようか！」

お父様の言葉でお花見開催です！