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春が来た! 30

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「ん?エリーゼがあんまり可愛いからって抱き締め過ぎるなよ」

トールお兄様がルークを揶揄ってますが、私が離れたくないんです!
思わずギュッ!とやんわり手に力を込めてルークを抱き締めました。
アピールです!私から抱き付いてるアピールです!

「ハハハ!エリーゼがくっついてるのか、それじゃあ仕方ないな!」

「皆も揃った事だし、そろそろ馬車に乗るか」

お父様の声にそろりと手から力を抜いて一歩下がってルークを見詰める。

「エリーゼ、行こう」

「はい」

ルークのエスコートで馬車へと向かう。
本日は家族で一台の馬車です!
なので、大っきい馬車なのです。側近や侍女達は別の大きい馬車で来ます。家族だけは久しぶりです!

「今日は二人共、桃の花を誂えた物にしているな。とても似合っている」

お父様が私とお母様の装いを見てご機嫌です。

「ええ、折角なんですもの。久しぶりに桃の花を愛でるんですもの、装いもそのように致しましたのよ」

お母様もニコニコとご機嫌です。
今でもラブラブな雰囲気を隠しもせずに過ごしてますから、当たり前と言えば当たり前なんですけどね……
前世日本人の感覚からしたら、当てられて恥ずか死ぬレベルですよ!

「エリーゼも桃の花の精霊みたいで可愛いよ」

……ルークよ……チミは前世日本人じゃったろうが……さすがイケメンはこの世界に染まりきって甘いセリフ吐きまくってるじゃないのっ!

「……アリガトウゴザイマス」

「え?何でカタコト?」

「……恥ずか死ねる……」

ここで座ってる位置を説明します!
扉から入って右(所謂進行方向を向いてる方ですよ!)にお祖父さまとお父様とお母様の三人。左(馭者側、進行方向を背にしてます)にトールお兄様とお祖母さま、ルークと私の四人。
乗った順番に奥から座ってます。
お祖父さまの体が大柄なのでお祖母さまを隣に座らせれませんでした。
お祖父さまとお祖母さまは始終ニコニコしてるばかりで、会話には加わりませんでした。

「ま、郷に入っては郷に従えって言うし……環境がな……」

小っさい声で言われれば、そうだルークは皇子様だもんね……

「ソウデシタ……思いっきり抜けてたわ」

チラッと見上げたルークはうんと優しげで胸がドキンと鳴ってしまう。
イケメンずるいなぁ……
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