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嫁入り支度 93

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白桃美味しかったものね……お母様の食い付き……分かる気がする。
て言うか、お母様はスイーツ女王でした……忘れてた私が良くない。
そう言えば、あの白桃のシロップ漬けってどうなったのかしら?
サクサクとしたメレンゲに黄桃ジャムをつけながら咀嚼し、桃の香り豊かな紅茶で喉を潤す。

「ハフ……お母様、先日お渡しした白桃のシロップ漬けはどうでしたか?」

ピクンッ!とお母様の顔が固まった様に見えましたが気のせいだったかの様に笑顔になりました。

「エリーゼ、とても気に入って頂けたらしく出来れば度々融通して貰えないかと連絡が来たのよ。でもね……私ですらあれから口にしてないのよ!」

お母様……食いしん坊ですか。

「お母様、お母様が食べたかったのは良く分かりました。ですがお譲りする事で得られる何かがあるのならば私、僅かばかりですが出しますよ?」

「お母様の分は?」

「勿論、ちゃんと出します」

お母様ったら、そんな甘えたお顔で仰らなくても私いつでも……は出せないわね。下手したらお母様、毎日食べたいって言いそうですもの。さすがに毎日とかだと、私自慢のお母様がぷくぷくしそうなんですもの。

「じゃあ、私毎日……「はダメです」……え……」

今度は私がぶった切って拒否ります。全くお母様は……

「毎日毎日毎日、白桃のシロップ漬けを食べたら……」

「た……食べたら?」

「頭の天辺から足先までぷくぷくに太ってしまいましてよ」

カッ!と両目を見開いて凍りましたよ。久しぶりですね、お母様。お母様のその感じ、凄く久しぶりです。

「頭の天辺から足先まで……ですって……」

「お母様、シロップとは砂糖を煮溶かした物です。只でさえ甘い桃が砂糖で更に甘くなると言う事は、それだけ太りやすくなる……と言う事です。ですから毎日はダメです」

カロリーオバケなんですから、お母様は毎日甘い物食べてるんですから今の朝のジョギング程度では追っつかなくなりますよ。私だって運動不足にならないよう気をつけてるのに……いえ、頭脳労働のお母様が甘い物欲するのは分かりますけど限界あります。
毎日食べるなら和菓子系統で我慢して欲しい所ですが、お母様の場合和菓子と言ってもあんこなので大丈夫だと信じてますけど。そうは言ってもジムは最近洋菓子のスキルも上がってきてて、私のアイデア?をさらに練り上げて予想以上の美味なスイーツを作り上げて来るから油断ならないのよね……
餅は餅屋って事よね……怖いわ……
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