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嫁入り支度 86

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「そんなに見詰められたら困ってしまうわ」

「あ……!はい!同じ事考えてたのかと思って驚いてしまって……」

「まぁ!ホホホ……母親とはいつだって可愛い我が子の可愛い姿を留めておきたいものですよ、でもだからと言って本当に留めるなんて愚の骨頂ですけどね」

さすがです!お母様!……でもこちらでも愚の骨頂なんて言葉使わ……いや、前世ありの人が過去にも存在してたなら意味とか伝わる……よね?
それにしてもお母様も私の小さい頃の絵画とか飾っておきたかったのかと思うと胸熱です!
壁一面に飾るとかじゃなくても、執務机の上とかに飾って疲れた心の為の癒しにしたいわよね~♡やっぱり癒しは大切なのよね!
……ん?癒し……チラリとよぎったのはお昼ご飯時のお父様とノエルの姿です。仕事……してたのよね?お父様。いや!ルークもいたし、うちのカワイコちゃん達は良い子にしてたし大丈夫よね!……大……丈夫だって信じたいわ!

「エリーゼ、さっきからお顔が大変よ?」

ひゃぁ!お母様から注意されましたわ!私、そんなに顔に出ていたなんて!恥ずかしいわ!

「ごめんなさい、お母様」

「あら、良いのよ。たまにはね」

うぅ~……お母様から優しいフォローされました。恥ずかしい~……淑女たるもの、気持ちを顔な出すなんてあってはいけないのに!つい出ちゃった……やっぱりいつもとテンション違う~。

「エリーゼ様!これ見て下さい!この小物入れ可愛くないですか!?」

足音も立てずに近づいて来たアニスの手には、手に収まる大きさのピンク色の小物入れが乗っていて蓋の摘まみになる部分がバラの花で凄く可愛いの!

「可愛いわね!これ買って行きましょう!」

「はい!エリーゼ様とお揃いで嬉しいです!」

ん?お揃い?……とか思ってたらアニスの後ろにソニアがいて、その手に同じ色の同じ物がその手に乗ってました。

「コレ、アニスの」

言葉短に伝えられた言葉にクスリと笑ってしまった。全く同じに見える小物入れが二つ。

「今日の記念にはとても素敵よね、嬉しいわアニス」

「私も嬉しいです!エリーゼ様」

「ホント?私も嬉しいわ!」

クスクスとアニスと笑い合う。この可愛らしい雑貨達と可愛い私の専属侍女のアニスとの時間がとても楽しくて幸せで笑顔が自然と溢れてこぼれ出る。
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