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嫁入り支度 80

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「馬車の用意は出来ております」

ドアマンがお母様に告げ玄関の扉を開ける。外にはお母様専用の馬車が待ってました。遠距離用ではなく、近距離用の小さい……と言うか六人が乗るには丁度良いサイズの白い馬車です。

「フェリシア様、お待たせ致しましたか?」

後ろからエミリの声がして、ドキッとしたのは足音がしないからで不意に声がしたからじゃないから!
振り返って見たら、エミリの後ろにシンシアとソニアとアニスがいました。

「さて、揃ったし行きましょうか」

お母様が和やかに玄関から外に出て行く。
スッとエミリが馬車の開けられた扉の横に立ち、お母様の手を支え馬車に乗り込む介助をする。
お母様が入った後は私の番なので、馬車に乗り込もうとしたらアニスがドヤ顔で手を出して来ました。勿論、アニスの手をグッと掴み馬車に乗り込む。
お母様の横にエミリとシンシアが座り、私の横にはアニスとソニアが座ってます。
私達が座ったのを確認したドアマンが馬車の扉を閉めると、ゆっくりとだけど馬車が動き出す。
ちなみに、この馬車ですが。前面の御者台に御者が一人座っております。で、馬車の後ろには御者見習いが立って乗る場所に立ってます。
御者見習いは出掛けた先で扉を開けたり閉めたりする役目もあります。ちなみに後ろの乗り場は背もたれみたいなのがついてて、しがみついてる訳じゃないのです。

「あ~楽しみだわ。そろそろ春めいて来たから、何かしら可愛い小物が出てるかしら?」

何気にお母様のテンションが高くなってる気がします。

「そうですね。日傘とか手布の新作が出てるのでは?」

さすがエミリは情報通なのかしら?

「リボンやレースも出てるでしょうね」

「刺繍糸もきっと沢山出てますよ」

シンシアとソニアは手芸情報ですか……チラッとアニスを見たら、ニコニコしてるばかりでした。
アニス……何にも無いの?

「あ!楽しみですねっ!ねっ!エリーゼ様!」

あれ?情報よりも楽しみですね!ってアニス……可愛いけど……いや、私が適度に暇を与えてないのが失敗だったか……それじゃあ怒れないや……

「そうね、楽しみね」

お母様の所の侍女トリオはそれなりに領都に出てるのかしら?私もアニスにちゃんとお休みあげないとダメね……
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