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嫁入り支度 79

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キャスバルお兄様がもりもり食べてる間にトールお兄様がやって来て、お父様とルークとカワイコちゃん達がやって来ました。
……ただ……あえて言うなら、お父様がデレデレしながらノエルを抱っこしていた事にちょっとだけ家族の視線が冷たくなった事だけは言っておきます。

「さ、エリーゼ。食事も済みましたし行きましょうか」

お母様の笑顔がちょっとだけ怖いけど、気にしたら負けです。
キャスバルお兄様だけが笑顔でしたから私、軽く手を振っておきました。ルーク?ルークはどこか疲れた様な顔でしたから、ソッとしておきましたわ。

「タマ、皆と仲良くね」

「はいにゃ!」

元気いっぱいの返事を聞いて一安心です。カワイコちゃん達は皆、お行儀良くご飯待ちです。
……それにしても、ちょっと疲れてるイケメンって……どことなくセクシーに見えてドキドキしちゃうわね(笑)

「気を付けてな……」

「ルークも頑張ってね♡」

一応手を振ってから食堂を出る。

「困った人よね」

お母様が苦笑いしてるけど、怒ってる訳じゃないのは分かってしまった。お母様はお父様の事、凄く愛してる……たまにじゃれ合うけど愛し合ってると分かってしまった。

「お母様はお父様の事、本当に愛してらっしゃるのね」

エントランスホールをゆっくり歩いて、お母様と並んで歩く。

「ええ……エリーゼも分かるでしょう。好きになった人を追いかけて追いかけて、決して手放さない自分の事を」

「はい」

私をチラリと見上げてくるお母様の目は優しくて、すこしだけ私を心配してる目だった。
私もルークを逃すつもりも、手放すつもりも無い。どこまでも追いかけて行くし、いつまでも側に居続けると心の底で思っている。
シルヴァニアの女とはそういう生き物なのだと……寝物語の様にアニスに聞かされ、理解した。
ルークは帝国皇子としてシルヴァニアの女の事を知っていたからこそ、私の側で生きる事を決めてくれたんだと思う。

「フフッ……エリーゼはまだ婚約中なのだから、そんな不安そうな顔しなくても大丈夫よ。いざとなったらお母様が使える手を全て使ってでも捕まえてあげますからね」

お母様……サラリと怖い事言ってます。本当にそういう所が頼りにもなるし、おっかないのです……

「私、ルークの事信じてますから。きっと大丈夫ですわ」

うん、大丈夫。きっと、大丈夫。
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