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嫁入り支度 76
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お母様は大層気に入ったらしく、おかわりしてました。私?私はこの一皿で十分です。
はぁー……コーヒーが飲みたいものです、いえ、今はまだ時期尚早だと思ってますよ。本当です。
何とか紅茶を口の中をサッパリさせます。……お抹茶でも良いのかも知れませんね。
「ンフ♡美味しいわ。ね、エリーゼ。このクリームとスポンジケーキだけで味わったらどんな感じかしら?」
「……スポンジケーキではなく、薄く焼いた物に挟んで貰ったらどうでしょう?」
言わばどら焼きですよ。前世でお使い物として頂いたどら焼きに似せたんですから、どら焼きとしてなら食べやすいでしょうしね。
「まあ!素敵ね!早速、厨房に伝えて頂戴」
間髪入れずにお母様オーダーしました。素早いですね!そんなに気に入ったのですか……
私、見てるだけで胸焼けしそうです……
とにかく紅茶でも飲んで、落ち着こう……
「お待たせ致しました!」
メイドが勢い良く持って来ました。厨房内もお母様のオーダーとあって優先的に作ったのかしら……
お母様の前のお皿は既に空でサッ!と入れ換えられました。
ケーキ二皿の次にどら焼き……あれ?待てよ……どら焼き、焼き立てなら熱くて生クリーム溶けちゃうんじゃないの?
ドキドキしてお母様を見守る。
優雅にフォークを使って、どら焼きを一口大にして口に運ぶ。
「あら?どら焼きを冷ましたのね、ちっとも熱くないわ。それにしてもクリームだけでもとても美味しいわ……時々このどら焼きを頼もうかしら?」
そんなにぃ!頼むって、仕事中の一息とかのお茶請けですよね!あれ?最近、お母様にお茶請け頼まれて無い……って事は厨房に直で頼んでるのかしら?松露とか最近作ってないもの。あれはジムも作れるし……覚えてしまえば日持ちもするものね……
「ねぇ、エリーゼ。このクリームは素晴らしいわね!このどら焼きって日持ちするのかしら?」
「え?……いえ、日持ちはしないでしょうけど……どうかなさいましたか?」
「そう……残念ね」
本当に残念そうな顔をしました。えー……どうしたのかしら?気になるぅ!
「お母様?」
「いえ、あちこちに贈りたいと思ったのよ」
送る?……そういや、そろそろ王都に送っても良い頃合い!よし!今度は魔改造した箱を作ってどら焼き入れてみようかな!
一回こっちで試作品作ってから、消費期限決めて……うん、物は試しよ!
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