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嫁入り支度 63

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私とルークが会話している間にもお母様は朝ご飯を優雅だけど手早く平らげていくのを横目で確認する。
まるでヒラヒラと蝶が舞う様な手付きなのに、どんどん消えて行く食事……
やはりお母様には敵わない……あの速度なのに優雅さ。私ももっと精進しないといけませんわ!

「さすがお義母上だ」

ルークがお母様の事を褒めてます。ちょっとだけ心がザワついてしまいます。
でも、ルークからはお母様はどんな風に見えるのかしら?

「ルーク、さすがって?」

「ん?ああ、お義母上のご実家は我がゴルゴダ家と対を成すお家柄だからね。マナーはもとより様々な教養も凄くてね、帝国王国の両国合わせた王侯貴族の中でトップと言っても差し支えないな」

「そう……なのね……」

王国だけじゃなくて、帝国でも……やはりお母様は凄い!

「私、お母様にもっと手解きを受けたいわ!」

「まあ!エリーゼったら、なんて可愛いのかしら?でも、十分に出来ていてよ」

お母様の手が少しだけ止まり、コロコロと笑いながら声を掛けてくれる。
……お母様……もう、食後のデザートになるんですね。そのタイミングで声を掛けて下さったのですね。
ってお母様!食後のデザートがデザートの量じゃありません!なんで、お月見団子みたいにお饅頭が山積みで出されてるんですか!
お母様が何等躊躇う事なくヒョイパクで食べてて泣きたいような笑いたいような気持ちです。

「キャスバルとトールはお義母上に似たのかな?」

ルーク……何て事言うのよ。

「お父様だって!……いえ!お父様だって食べるのだから、お母様に似たって事は!」

「ホホホ……愉快な事仰るのね」

ヒエッ!ほら!お母様がオコになったじゃないの!

「申し訳ありません。シュバルツバルト家の血筋の濃さと言うか、男系の強さが表れてると思うのですが」

あれ?ルーク?

「ええ、そうね。シュバルツバルト家は殆ど完全と言っても良い男系です。特徴は必ず男子であれば受け継ぐと言って良いでしょう。それ故、女児は滅多に生まれずエリーゼは本当な久しぶりに生まれた女児故に姫と言われ……」

ふぅ……とお母様がため息をつく。

「ですがエリーゼはシュバルツバルト家と言うより、我がシルヴァニア家の血が色濃く出た娘です。その特異性をも受け入れる事の出来る者は限られています。分かるでしょう?」

一口、緑茶を飲んだお母様の目がルークを射貫く。
お母様……おっかないです。
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