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嫁入り支度 60

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「出来上がりでございます」

アニスの言葉にニッコリと微笑む。鏡の中の私が華やかな笑顔で何だかテンションが上がる。

「ありがとう、今日も良い出来上がりだわ。では朝ご飯に行きましょうか」

立ち上がればアニスがドレスの裾を直してくれる。アニスがドレスコートを手に持ち側近くまで来るのを待つ。
化粧台の上に置かれた扇を手に持ちゆっくりと歩き出す。カワイコちゃん達がゾロゾロとついてくる。
部屋を出て、食堂に向かう。
エントランスホールでドレスコートをドアマンに預けに素早く私の所に戻ってくる。
いつもの様に食堂に入り、席につく。カワイコちゃん達も自分達の席につくと、大人しく待っている。
食堂には私一人でルークも家族もいなかった。昨日、深酒してたから?まさかね……

「今日は皆遅いのね」

いや、でもお母様とは朝一緒に走ったんだからお母様がそろそろ来てもおかしくないのだけど……

「エリーゼ、おはよう」

「ああ、おはようルーク」

ルークがやって来ました。

「にいに!おはようピカァ!」

ルチルが小っちゃい足でトタタタタとピカ太郎の向かって走って行きました。ルークの横で「ルチル……」って呟いたノエルがションボリしてます。同じ兄ポジションにいるピカ太郎とノエルの微妙な気持ちが出ちゃってます。
隣の椅子に座ったルークの顔はいつもと同じ……同じかしら?んー……?

「何か良い事でもあった?」

ルークの笑顔がちょっとだけはにかんでる様で少し可愛い。

「今かな?」

「今?」

ニッコニコですよ。今、良い事?

「二人きりだろ。もう少ししたら、二人きりの朝を迎えるだろ。この状態の朝を想像したら嬉しくて」

!!何ですと!ルークったら、ルークたらっ!もう!……でも、そうよね。こんな風な朝、二人きりで朝ごはん食べたりするのよね……私達。

「今日は可愛い格好だな、凄く似合ってる」

「本当?今日初めて袖を通したの。春っぽい色柄でテンション上がっちゃった」

ルークの優しい眼差しとかドキドキしちゃう。

「いつもドレスでも良いと思うけど、昼間あれだけ動いてたらドレスはキツいよな。今日は浅から見れてラッキーだけど」

「ほら、今日はお母様とずっと一緒だもの。やっぱりドレスでないと」

「そうだったね。楽しんで来ると良いよ、俺も少しやる事あるから」

やる事?

「そうなの?」

「ああ……ちょっと夫人に頼まないといけないが、侍女殿でも大丈夫だろうしな」

侍女?エミリ達か……帝国への便り……だよね。

「そうね、スムーズに行くと良いわね」

大丈夫だと思うけど、お母様達がどれ程動いてるのか分からないのが困るわね……
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