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嫁入り支度 56

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検証とか鑑定とかもしません。普通に暮らしていたら必要無いと思うのよ。

「からいみずピカ?」

ん?辛いに飛び付いたのがいたわよ。ピカ太郎、何期待した目で見てるのよ。

「口を開けて待つが良い」

「ピィカァ……」

……大きく口ん開けて待ってるピカ太郎、可愛いけど……ってスラ道、ピュッ!て何か吐き出した!赤い液体吐き出した!透明度高いから、何かキレイに見えるけど!
口の中に入った瞬間、ピカ太郎がパクンッ!と口を閉じて……

「~~♡」

声にならない叫びを発しながら、フルフルと体を震わせて喜ぶピカ太郎。

「おいしいピカ!すごいピカ!」

……ピカ太郎が滅茶苦茶喜んでる。凄い辛いんだ……

「ならば毎日特訓した後は飲ませるとしよう!」

……スラ道、ピカ太郎の扱い上手いのかも知れないわね。

「わかったピカ!まいにちがんばってとっくんするピカ!」

釣られた。スラ道、ピカ太郎の事良く分かってる。でも、あの辛い水ってずっと出せるのかしら?

「スラ道、その辛い水はいつでも出せるのかしら?」

クリンッ!と私を見たスラ道はニコニコしながらグインッ!と体を逸らして見せた。

「主よ!安心して欲しい、どうやらこの先いつでも出せるから攻撃としても使える!」

何かドヤァって感じだわ。

「いえ、とりあえずはピカ太郎のご褒美としてあげて貰えるかしら」

だって特訓嫌いなピカ太郎にご褒美として与えるのが、この平和な状態では一番効果的だと思うのよね。

「良かったなピカよ!主の許可も出たぞ!」

「やったピカァ!」

……まぁ、どっちもやる気あるなら良いわよね。

「エリーゼ様、どうぞ」

差し出された紅茶のソーサーを手に取り、取っ手を摘まんで一口ゆっくりと飲む。喉を通り過ぎて上がってくる香りはミントと紅茶が混じって、前世で遊びに行った先で飲んだミントティーを思い出して少し切なくなった。友人達と行った万博、楽しかったな……

「エリーゼ様?どうかなさいましたか?」

心配そうなアニスの顔が私を覗き込んでいる。

「どうもしないわ。ミントの葉っぱを沢山使ったお茶、ミルクと砂糖をたっぷり入れたら美味しいんじゃないかな……と思って。それだけよ」

嘘じゃないわよ。あの味に似たミントティーなら冷やして飲んでも美味しそうだし、熱いお茶でも後味がサッパリして良いんじゃないかしら?

「ミントティー……ですか?そう言えば、食後に配られた小さな飴みたいなの、口の中スースーして面白いですね!」

「そう?気に入ってくれたかしら?」

「はいっ!」

食な関してはアニスは嘘をつかない。なら、この先作れる様にして領内で簡単に手に入るようにしようかしら?
そんな事を考えながら紅茶をゆっくり飲み干していく。
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