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嫁入り支度 39

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「構いませんよ、エリーゼなら」

ウボァ……甘ったるい笑顔で何かおかしげな事言ってますよ。私なら転がされても良いって?キャスバルお兄様、そろそろ妹離れをしようという気持ちにはならない……ならないわね……今更だわ。私が今何かを言った所で、キャスバルお兄様の気持ちが変わったりするとは到底思えない。

「キャスバルお兄様、キャスバルお兄様の愛が重い時があります」

ちょっと言ってみた。僅かに目を見開いた後、ドロリと何か気配が重くなって……え?いや、何?

「エリーゼ。俺の可愛いお姫様。俺の気持ちは重いかい?」

体が重く見えない何かで包まれてる気がする……キャスバルお兄様の目を見てゾクリと背中に冷たいモノが走る。
え?キャスバルお兄様なの……?

「お待たせいた……って何をやってるんですかーーっ!」

バシーンッ!という音と共に重い何かが消えた。
キョトキョトと見回すと目が据わっているお母様とお母様を守るかの様に立つシンシアとソニア。緊張した顔のお父様とトールお兄様。青い顔のルークにカタカタと小さく震えてるキースと良く分からない武器を手にしてるアニス。私達の足元に固まって私を守ろうとしてるカワイコちゃん達。
そして毒気の抜け出した顔のキャスバルお兄様とゼェハァと荒い息をしてるレイがいた。
何が起きた?

「エリーゼ、キャスバルに迂闊な事を言ってはいけません」

お母様の一言で私がピンチなのを瞬時に理解した。この緊張状態を引き起こしたのはキャスバルお兄様ではなく、そのトリガーになる様な事を言った私だ。
私がキャスバルお兄様の気持ちを重いと言ったからだろうなと思う。あの時空気と言うか、何かが私の周りに……あれはキャスバルお兄様の気配?

「キャスバルお兄様は私が思うよりもずっと我慢なさってる?」

まさかね?だって、今までだって随分私甘やかされてた気がするもの!
ハァ……とキャスバルお兄様のため息が吐きだされる。

「してるよ。俺の思いがエリーゼの妨げになってはいけないとずっと我慢してる。これ以上我慢は出来ない」

おっも!キャスバルお兄様のシスコンが酷すぎてツラい!

「でも、バレたんだから我慢はしないよ♡」

ヒュッ!と息を飲んでしまった。やぶ蛇踏んだ!ドロリと甘い気配に包まれ身動きがとれなくなる。
これはヤバイ……ガチ重シスコン愛お兄様の本気が怖いです!
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