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嫁入り支度 37

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「お待たせ致しました」

執事長の声にハッ!と首を巡らせて見る。

「あら、もうなの?」

「はい。食堂に行かれますか?」

お母様の早いわね!からの執事長の今すぐ行く?のやり取りですが、誰も動かない。
勿論、私もルークも動きません。

「揃ってからにしよう」

はい、お父様が分かりやすく仕切ってくれました。ようは側近と侍女待ちです。別に先に行っても良いのだけど、お互いの立場とか親密さとか色々あるんです。
一緒にいるアニスとキースは立ち上がって私達のソファの後ろに回って待機してます。

「畏まりました」

執事長はそう折り目正しく言うと、一歩下がって姿勢を正す。

「楽しみだわぁ~」

お母様が嬉しそうにお父様の元へと向かい出します!そしてお父様がまた超笑顔でお母様を抱きとめて踊り出しそうな雰囲気になってる!
仲良いなぁ……チラッとルークを見れば、目が合って。

「何か……スゴイ目が合うのだけど……」

「当然だろ。見てるんだから」

あぁぁ~~イケメンはぁ!酔ってる訳じゃないから素面で言ってるのは分かる!分かるからこそ照れるしかなくて!何も言えなくなるじゃないの!
思わず視線をずらしてしまう。

「エリーゼ、もっと俺の事見ろよ」

耳元で囁かれて全身が熱くなる。何?今の何?乙女ゲーみたいな事言わないでよ!
きっと、今の私真っ赤だ!イケメンは!これだからイケメンは!もう!

「真っ赤になって可愛いね、俺のエリーゼは」

思わず見上げて、しまったと!と思う。間近にあるルークの顔に何もかもが飛んで、ギュッと瞼を閉じた。だって、あんなに間近にあるルークの顔……直視出来ない。
頬に温かい手のひらを感じて、顔が少し上がる。
唇に柔らかい感触……キスしてるって分かる。私とは違う温度、ルークの体温。
思わず開いた口にヌルリと何かが……何かじゃない、ルークの舌だって分かる……分か……ん?

「んっ……ちょっ……ンッ!」

グイとルークの体を押してもビクともしない。気のせいじゃない!ルーク飲んでる!私と同じブドウジュースだった筈なのに呼気が違う!

「そこまでにしとけよ」

キャスバルお兄様の声にルークの舌の動きが止んで、ゆるゆると離れていった。
キャスバルお兄様から冷気と、それと同じ位冷たい視線を頂きました。私が悪い訳じゃないけど飛び上がりそうになりました!

「ルークッ!ワイン飲んでるでしょ!」

「何言ってるんだ。同じジュース飲んでただろう?」

あれ?ルーク……クル~リとキースを見る。慌てて注いでた瓶を見て絶望感丸出しで私を見たキースに、私も瓶を見て納得した。
キース、それジュースの瓶と違う。ワインの瓶や。
事故でルーク、アルコール摂取。隣の瓶がジュース。
キース、アニスに夢中でルークのグラスにワイン注いでたのね……
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